全日本軟式野球連盟(JSBB)は、2027年から学童カテゴリーで同一試合中の投手と捕手の兼任を禁止すると正式に通知しています。目的は、肘・肩への負担が大きい投手と捕手を同じ選手が担うことを避けるためです。
ただし、「すべての少年野球団体で一律に適用」「第3の捕手を必ず登録」と発表されたわけではありません。この記事では、2026年8月7日時点のJSBB一次情報に沿って、決まったこととチームで確認すべきことを分けて解説します。
2027年の投手・捕手兼任禁止で正式に決まったこと
根拠は、JSBBが2026年2月3日に公開した「2026年以降の学童部・少年部の大会運営に係る変更について(通知)」と、その変更点一覧(PDF)です。
| 導入時期 | 2027年(令和9年) |
|---|---|
| カテゴリー | 学童 |
| 禁止される兼任 | 同一試合中に、投手として出場した選手が捕手につくこと/捕手として出場した選手が投手につくこと |
| 可能なこと | 投手・捕手以外の守備位置につくこと。投手が他の守備位置を経て再び投手へ、捕手が他の守備位置を経て再び捕手へ戻ること |
つまり、同じ試合で「先発投手Aが途中から捕手」「先発捕手Bが救援投手」という入れ替えはできなくなります。一方、Aが一塁を守ってから再登板することや、Bが外野を守ってから再び捕手へ戻ることは、通知文の適用ルール上は可能です。
対象はJSBBの学童カテゴリー。大会要項も確認する
公式一覧はカテゴリーを「学童」としています。同じ一覧で中学生年代に当たる「少年」の試合時間見直しは別項目として書かれているため、投手・捕手兼任禁止を中学生年代まで広げて読むことはできません。また、リトルリーグ、硬式クラブ、独自大会など別団体の試合へ自動的に適用されるとも限りません。
実際の運用は、所属連盟と出場大会の最新要項で確認してください。特に、選手交代、再出場、指名打者など別ルールとの組み合わせは、監督・審判が大会前に確認しておくと安心です。
「第3の捕手が必須」ではなく、複数の選択肢を準備する
公式通知は「第3の捕手」の登録を義務づけていません。必要な人数は、これまでの起用法と選手構成で変わります。投手と捕手の2人を入れ替えていたチームなら、別の選手が捕手または投手を担う準備が必要です。しかし、それを「控え選手がレギュラーを取る最短ルート」と煽るより、負担を分散できる選択肢として考える方がルールの目的に合います。
- 投手経験のない捕手候補を準備する
- 捕手経験のない投手候補を準備する
- けが・体調不良に備え、複数選手が防具の着脱と基本動作を学ぶ
- 本人の希望と適性を確認し、捕手役を強制しない
控え捕手を安全に準備する4ステップ
1. 本人の意思と体調を確認する
捕手は、しゃがむ姿勢、投球の反復、ボールやバットへの接近など特有の負担があります。「チームに必要だから」と一方的に決めず、本人が試してみたいか、痛みや不安がないかを確認します。痛みを「チャンスの裏返し」と我慢させてはいけません。
2. 適合する捕手用防具を正しく使う
捕球・ブロッキング練習は、チーム指導者の管理下で、体格に合うマスク、ヘルメット、プロテクター、レガースなど必要な捕手用防具を装着して行います。JSBBは捕手用マスクにSG基準があることを案内しています。参考:捕手用マスク・プロテクター・レガーズの商品統一化について
防具なしで、至近距離から胸や腹へ意図的にボールを当てる練習は勧めません。自転車用の膝当てなどを捕手用防具の代用にせず、最初は安全な場所で、防具の名称・着脱・構えを確認するところから始めます。
3. 技術指導は段階的に行う
- 防具を正しく着脱し、視界と動きを確認する
- ボールを使わず、構えから立つ動作を短時間で確認する
- 指導者が近距離から柔らかいボールを手渡すなど、怖さの少ない捕球から始める
- 通常の投球、ワンバウンド捕球へ進む時期は、習熟度を見て指導者が判断する
深いしゃがみ姿勢をテレビ視聴中に長時間続ける、痛みを我慢して反復する、といった自己流トレーニングは避けます。膝、腰、股関節などに痛みが出たら中止し、必要に応じて医療専門職へ相談してください。
4. 技術以外の役割も学ぶ
捕手の準備は、強い送球や難しい配球から始める必要はありません。アウトカウントの確認、投手への短い声かけ、守備位置の確認、防具を安全に置く習慣など、試合を落ち着いて進める基本も大切です。
2027年までにチームが確認するチェックリスト
- 所属団体と大会要項で適用範囲を確認したか
- 投手から捕手、捕手から投手への交代を起用案から外したか
- 複数の投手候補・捕手候補を本人同意のもとで準備しているか
- 体格に合う捕手用防具と点検担当者を用意したか
- 夏場の水分補給・休憩を、捕手の防具着脱時間まで含めて設計したか
- 痛みを申告した選手を外せる交代案があるか
捕手のメンタル面を支える声かけは「少年野球キャッチャーのメンタルケア」、捕手の貢献を技術以外から見る視点は「勝てるキャッチャーの5つの貢献」も参考にしてください。
まとめ:新ルールの目的は出場機会より障害予防
2027年にJSBB学童カテゴリーで導入されるのは、同一試合中の投手・捕手の相互兼任禁止です。投手も捕手も、他の守備位置を経て元の役割へ戻ることは通知上認められています。必要なのは「第3の捕手」という人数の断定ではなく、所属大会の規則確認、複数選手への負担分散、適切な防具と段階的な指導です。子供の痛みや不安を我慢させず、安全を最優先に準備しましょう。
