寒くて動けない冬こそチャンス!「コタツ」を最強の野球ジムに変える親子の室内練習術
寒くて動けない冬こそチャンス!「コタツ」を最強の野球ジムに変える親子の室内練習術
\ 🎧 記事を読む前に、まずは音声で「冬の作戦会議」! /
この記事のエッセンスを、野球パパ同士の「ここだけの話」として収録しました。
「冬の当番、マジで辛いですよね…」という本音から、目からウロコの「OSアップデート論」まで。通勤中や家事の合間に、ラジオ感覚で聞いてみてください。(再生時間:約6分)
「週末の天気予報、また雪マークついてるよ…」
「グラウンドの当番、カイロ何枚貼っていけばいいんだ…」
カレンダーが12月、1月とめくられるたび、私たち少年野球パパ・ママの心には、少しだけ重たい雲が広がります。正直に言いましょう。冬のグラウンド当番は、修行のように辛いですよね。
子供たちには「寒くても元気出していこう!」「冬のトレーニングが春に花開くんだぞ!」なんて熱い言葉をかけながらも、内心では「早く温かい家に帰って、コタツに入りたい…」と思っている自分がいる。ベンチコートの下で震えながら、かじかむ手でスコアブックをつけるあの感覚。痛いほどよくわかります。
そして、ようやく家に帰ってきたと思ったら、今度は子供たちがコタツに直行。
「練習で疲れたから」と言い訳をして、手にはボールではなくスマホやゲーム機が握られている。
「家でも少しは素振りしたら?」と言いたいけれど、自分も寒くて動きたくないから、強くは言えない…。
そんなジレンマを抱えているパパさん、ママさん。
その悩み、実は「チャンス」に変えられるんです。
無理に外に出て体を動かさなくても、暖かい部屋の中で、しかもコタツに入ったままでもできる「野球の特訓」があるとしたら、どうでしょう?
しかもそれが、ただの暇つぶしではなく、プロ野球選手も重要視する「眼」や「脳」を鍛える本格的なトレーニングだとしたら?
この記事では、野球経験ゼロのパパでも今日からすぐに実践できる、親子で楽しむ「動かない」冬の室内練習術を徹底解説します。
- スマホ疲れも解消する「ビジョントレーニング」
- 指先の感覚を研ぎ澄ます「ハンドリング遊び」
- 親子の会話が弾む「野球脳クイズ」
これらは、グラウンドで泥だらけになって走り回るだけでは身につかない、野球の「奥深さ」を学ぶ絶好の機会です。
コタツという「逃げ場」を、親子だけの秘密の「作戦会議室」に変えてみませんか?
冬の間に育んだ「見る力」と「考える力」、そして何より「親子の絆」は、必ずや春のグラウンドで大きな花を咲かせるはずです。さあ、ミカンを片手に、リラックスして読み進めてください。
極寒のグラウンドから帰還したパパへ。「コタツ」は逃げ場ではなく「作戦会議室」だ

正直つらい冬当番…「動きたくない」は大人も子供も一緒
12月から2月にかけての少年野球の活動は、選手である子供たちはもちろん、それを支える私たち親にとっても過酷なシーズンです。
冷たい北風が吹き荒れる河川敷のグラウンド。霜柱が溶けてぬかるんだ地面。ボール拾いをするだけで指先が切れそうになる寒さ。
監督やコーチの熱血指導の声が響く中、見守る保護者たちは、ダウンジャケットに身を包み、温かい缶コーヒーをカイロ代わりに握りしめて、ひたすら時間が過ぎるのを待つ…。そんな経験、ありますよね。
私自身、息子が低学年の頃は、冬の練習当番の日が来るのが正直憂鬱でした。
「子供が頑張っているんだから、親も我慢しなきゃ」
そう自分に言い聞かせても、体の芯まで冷え切ってしまうと、どうしても思考はネガティブになりがちです。
そして、それは子供たちも同じなんです。
「冬練(ふゆれん)」と呼ばれる、基礎体力作り中心の地味でキツイ練習メニュー。試合形式の練習が減り、走り込みや筋トレが増えるこの時期、子供たちのモチベーションを維持するのは至難の業です。
家に帰ってきた子供が、「寒い」「疲れた」と言って、すぐにコタツに潜り込みたくなる気持ち。大人である私たち以上に、切実なものがあるのかもしれません。
だからこそ、私は提案したいのです。
「冬は、無理に動かなくてもいいじゃないか」と。
もちろん、チームの練習をサボることを推奨しているわけではありません。
でも、家に帰ってきてまで、精神論で「素振りしろ」「ランニングしてこい」と追い立てる必要はないと思うのです。
むしろ、「動きたくない」という本音を共有し、そのリラックスした状態だからこそできるトレーニングに切り替える。それが、賢い野球パパの戦略です。
「パパも今日は寒くて本当に疲れたよ。コタツから一歩も出たくないな」
そう正直に伝えてみてください。きっとお子さんは、「パパもそうなの?」と安心した顔を見せるはずです。
その共感が、次のステップへの入り口になります。
スマホとゲームの時間を少しだけチェンジ。「距離の近さ」を活かす冬の魔法
コタツに入った後の光景を想像してみてください。
パパはスマホでニュースやSNSをチェック。子供はゲーム機に夢中、あるいはYouTubeで動画を見続けている。
たまに「宿題終わったのか?」「明日の準備したか?」と小言を言うだけで、会話らしい会話はない…。
これでは、せっかくの家族団らんの時間がもったいないですよね。
しかし、この「コタツ」という空間には、他の場所にはない大きなメリットがあります。
それは、物理的な距離の近さと、視線が合いやすい環境です。
グラウンドでは、子供はフィールド、親はベンチ裏や観客席と、どうしても距離が離れてしまいます。家の中でも、子供部屋とリビングで分かれて過ごすことが多いかもしれません。
でも、コタツならどうでしょう。
向かい合ったり、隣に座ったり。膝が触れ合うほどの距離で、同じテーブルを囲むことになります。
この「逃げ場のない密室感」こそが、コミュニケーションを深める最大の武器なのです。
私の提案はシンプルです。
そのコタツでの「スマホ・ゲーム時間」の最初の15分だけを、「野球遊び」の時間に変えてみませんか?
「ゲームやる前に、ちょっとこれやってみない? パパと勝負しようぜ」
そう言って、遊び感覚で始められるトレーニングを取り入れるのです。
例えば、後述する「ビジョントレーニング」や「反射神経ゲーム」。これらは座ったままでも十分にできますし、何よりゲーム性があって子供が食いつきやすい。
「野球の練習」と言うと身構えてしまう子供も、「ゲームでパパと勝負」なら乗ってきます。
そして、一度盛り上がれば、自然と野球の話や、チームでの出来事、今の悩みなどがポロポロと出てくるものです。
コタツの温かさは、人の心も解きほぐします。
普段は照れくさくて言えないような「上手くなったな」という褒め言葉や、「実はあの時、悔しかったんだ」という本音も、この距離感なら自然に伝え合える。それが、冬のコタツが持つ魔法なのです。
「静」のトレーニングが春の「動」を変える理由
「でも、座ったままの練習なんて、本当に意味があるの?」
そう疑問に思う方もいるかもしれません。野球は体を動かしてなんぼだろ、と。
確かに、投げる、打つ、走るといった「動作」の反復練習は不可欠です。
しかし、それらの動作を司っているのは何でしょうか?
それは、「眼」からの情報入力と、「脳」による判断・指令です。
- 飛んでくるボールを正確に見る力(動体視力)
- ボールとの距離感を測る力(深視力)
- 状況を見て瞬時にプレーを選択する力(判断力・野球脳)
- 指先の繊細な感覚(ハンドリング)
これらは、いわば野球選手の「OS(オペレーティングシステム)」にあたる部分です。
いくら筋力(ハードウェア)を鍛えても、OSが古かったりバグだらけだったりしては、最高のパフォーマンスは発揮できません。
プロ野球選手やトップアスリートも、オフシーズンや怪我のリハビリ期間には、こうした「身体を激しく動かさないトレーニング」を徹底的に行います。
特に、身体の成長が著しい少年野球の時期において、神経系を刺激するトレーニングは非常に効果が高いと言われています。
冬の間に、この「OS」をアップデートしておくこと。
それができれば、春になって本格的なグラウンド練習が再開されたとき、子供の動きは見違えるように変わります。
ボールへの反応が速くなる、守備の一歩目が良くなる、打席での選球眼が良くなる…。
「あれ? あいつ冬の間に何か変わったな」と周囲を驚かせるための土台作り。それこそが、今回ご紹介する「コタツ・トレーニング」の真の目的なのです。
焦る必要はありません。家でゴロゴロしながらでも、野球は上手くなれます。
むしろ、「静」の時間を大切にできる選手こそが、ここぞという「動」の場面で輝けるのです。
では、具体的にどんなことができるのか。次章から、コタツでできる秘密の特訓メニューを一つずつ見ていきましょう。
【眼を鍛える】スマホ疲れも解消!コタツでできる「ビジョントレーニング」

野球は「眼」が9割?動体視力と深視力の重要性
現代の子供たち(そして私たち大人も)は、近くの画面を凝視する時間が圧倒的に長くなっています。
スマホ、タブレット、携帯ゲーム機…。
これらを長時間見続けることで、目のピントを調節する筋肉が凝り固まり、視野が狭くなったり、動くものを追う力が低下したりしていると言われています。
野球というスポーツにおいて、「眼」の役割は決定的です。
ピッチャーが投げたボールは、わずか0.数秒で手元に届きます。その一瞬の間に、ボールの回転、スピード、コースを見極め、バットを振るかどうかを判断しなければなりません。
守備でも、打球の速さや角度を瞬時に計算し、落下点に入らなければなりません。
これらに必要なのが、「スポーツビジョン」と呼ばれる視覚能力です。
公益財団法人 日本スポーツ協会(JSPO)などの資料でも、発育発達期における視覚機能の重要性や、多様な運動遊びを通じた「見る力」の育成が推奨されています。
コタツでできる「ビジョントレーニング」は、単に野球のためだけでなく、日頃のスマホ疲れで凝り固まった目のストレッチとしても非常に優秀です。
親子で向かい合って、目の体操をする。これだけで、リラックス効果と野球能力向上の一石二鳥が狙えます。
親指フォーカス!寄り目・離し目トレーニング【初級編】
まずは、道具を一切使わない、一番簡単なトレーニングから始めましょう。
これは「輻輳(ふくそう)運動」と「開散(かいさん)運動」と呼ばれる、目のピント合わせの機能を鍛えるものです。ボールの距離感を正しく掴むために不可欠な能力です。
【やり方:親指遠近法】
- セットポジション:
コタツを挟んで親子で向かい合います。お互いにリラックスした姿勢でOKです。 - ターゲットを作る:
子供は、自分の右手の親指を立てて(「いいね!」のポーズ)、顔の正面、目線の高さに持ってきます。腕はピンと伸ばします。 - 動作(寄り目):
親の「ちかく!」という合図で、子供は親指をゆっくりと自分の鼻の頭に向かって近づけていきます。
この時、視線は常に親指の爪にロックオンし続けます。
親指がぼやけたり、二重に見えたりしないギリギリのところまで近づけたら、そこで3秒キープ。 - 動作(離し目):
親の「とおく!」という合図で、今度はゆっくりと腕を伸ばして元の位置に戻します。
この時も、視線は爪から離しません。 - 反復:
これを10回繰り返します。
【パパのサポートポイント】
- 子供の目がしっかりと「寄り目」になっているか確認してあげてください。
- 「もっとゆっくり!」「爪のシワまで見るんだぞ!」と声をかけて集中させます。
- 慣れてきたら、親が自分の指を子供の顔の前で動かし、それを追わせる形にバージョンアップしてもOKです。
【期待できる効果】
- ボールの遠近感(深視力)の向上
- バッティング時のミート力アップ
- フライの落下点に入る感覚の改善
意外と大人の方が、目が疲れていて「寄り目」ができないことが多いものです。ぜひパパも一緒にやってみてください。「うわっ、目が疲れる!」と盛り上がること間違いなしです。
ナンバータッチ&眼球運動ゲーム!親子で競う【上級編】
次は、もう少しゲーム性を高めたトレーニングです。
動体視力(DVA動体視力:横方向の動き、KVA動体視力:前後方向の動き)や、瞬間視(一瞬で情報を読み取る力)を鍛えます。
【やり方1:ナンバータッチ・ゲーム】
- 準備:
紙を2枚用意し、それぞれに「1」から「10」までの数字をランダムな位置に書きます。
(A4用紙いっぱいに、バラバラに散らばるように書くのがポイントです) - セット:
コタツの上にその紙を置きます。 - 勝負:
「よーい、ドン!」で、1から順番に数字を指でタッチしていきます。
先に10までタッチし終えた方が勝ち!
【アレンジ】
- 数字を「1〜20」や「1〜30」に増やす。
- 「偶数だけ」「奇数だけ」「3の倍数だけ」など、ルールを変える(脳トレ要素もプラスされます!)。
- 紙ではなく、スマホの「周辺視野トレーニングアプリ」などを使うのも手ですが、紙とペンで手作りするアナログ感も、親子の会話を生む良いきっかけになります。
【やり方2:親指・あっち向いてホイ】
- セット:
親子で向かい合います。親は両手の親指を立て、肩幅より少し広めに開いて顔の横あたりに構えます。 - 動作:
子供は顔を動かさずに、親の顔(鼻のあたり)を見つめます。 - 合図:
親は、予告なしに「右の親指」か「左の親指」のどちらかを、クイクイっと曲げます。 - 反応:
子供は、親指が動いた瞬間に「右!」「左!」と声に出して答えます。
この時、顔を動かして指を見るのはNG。あくまで「周辺視野(ぼんやりと見えている範囲)」で動きを察知します。
【パパのサポートポイント】
- フェイントを入れたり(両方動かす、動かすと見せかけて動かさない)、スピードを上げたりして難易度を調整しましょう。
- 「顔動いてるぞー!ペナルティ!」などと楽しみながら指摘してあげてください。
【期待できる効果】
- 周辺視野の拡大: ボールを見ながらランナーの動きを察知する、守備位置を確認する能力につながります。
- 反応速度の向上: イレギュラーバウンドへの反応や、盗塁のスタート反応などに活きてきます。
これらのトレーニングは、1日5分でも続けることで確実に効果が出ます。
「今日はどっちが勝つかな?」と、毎晩の恒例行事にしてしまうのがおすすめです。
【指先を鍛える】ボールの縫い目と会話する「ハンドリング&感覚」特訓
コタツに入っていると、手元が手持ち無沙汰になりますよね。
その時間を、野球にとって命とも言える「指先の感覚」を養う時間に変えましょう。
野球において、ボールをコントロールするのは最終的に「指先」です。
ピッチャーの投球はもちろん、野手の送球、バッティングのインパクトの瞬間の押し込み。すべてに指先の繊細な感覚が関わっています。
天井に投げるだけ?仰向けスナップスローで回転確認
これは、ダルビッシュ有投手など多くの一流選手も実践していることで有名な、非常に効果的な練習法です。
「家の中でボール投げなんて、ママに怒られるよ!」
大丈夫です。座ったまま、あるいは寝転がったまま、天井に向けて軽く投げるだけですから、安全です(もちろん、蛍光灯には注意してくださいね!)。
【やり方:天井スナップスロー】
- 姿勢:
コタツの近くで、仰向けに寝転がります(コタツに足を入れたままでもOK)。 - 動作:
ボールを持ち、肘を床につけずに立てて、手首のスナップだけでボールを真上に投げ上げます。 - キャッチ:
落ちてきたボールを素手でキャッチします。 - チェックポイント:
この時、ボールに強烈なバックスピンがかかっているかを確認します。
縫い目がきれいに縦回転して見えるかどうかがポイントです。
【パパのサポートポイント】
- 最初は軟式ボールだと顔に落ちた時に痛いので、テニスボールやスポンジボールから始めると安心です。
- 「縫い目が止まって見えるくらい回転をかけてごらん」とアドバイスします。
- 親が横で見ていて、「今の回転いいね!」「今のはちょっと横回転だったな」とフィードバックしてあげましょう。
【期待できる効果】
- スナップの強化: 手首を柔らかく使う感覚が身につきます。
- スピン量の向上: 伸びのあるストレートを投げるための基礎になります。
- コントロールの安定: 指先でボールを「切る」感覚が養われます。
「パパの手どっち?」ボールの握り替え・当てっこゲーム
守備の名手と言われる選手は、グラブに入ったボールを右手に持ち替えるスピードが異様に速いですよね。
あの「握り替え」の速さは、ボールの縫い目を感じ取る指先のセンサーの感度で決まります。
【やり方:縫い目当てゲーム】
- 準備:
ボールを1つ用意します。パパと子供、交互に行います。 - 動作:
目をつぶってボールを片手で持ちます。
手の中でボールをコロコロと転がし、ランダムな位置で止めます。 - チャレンジ:
そこから、目をつぶったまま、指先の感覚だけで「ストレートの握り(フォーシーム)」に持ち替えます。
「はい!」と言って目を開け、正しく握れているか確認します。 - 競争:
10回やって、何回成功するか、あるいは10回成功するのに何秒かかるかを競います。
【応用編:ノールックパスごっこ】
コタツを挟んで向かい合い、グラブをはめずに素手で、軽くボールをトスし合います。
捕ったら瞬時に右手に持ち替えて、また投げ返す。
これをリズミカルに繰り返します。まるで餅つきのようなテンポで。
「パパ、持ち替え遅いよ〜」なんて言われながら、親子のスキンシップにもなります。
100均グッズで握力強化!?テレビを見ながら「ニギニギ」習慣
最後は、もっとも「ながら」に適したトレーニングです。
テレビを見ながら、お茶を飲みながらでもできる「握力」と「指の独立性」の強化です。
【おすすめグッズ:100均のゴムボール】
スポーツ用品店で高い握力グリップを買わなくても、100円ショップで売っている少し硬めのゴムボールや、テニスボールで十分です。
【やり方1:3本指ニギニギ】
ボールを、親指・人差し指・中指の「投げる時に使う3本の指」だけで掴み、グッと力を入れて潰します。
これを繰り返します。
ボールをリリースする瞬間の「押し込む力」を鍛えます。
【やり方2:指立て伏せ(コタツ版)】
コタツの天板の上に、指先(第一関節)だけを立てて、手のひらを浮かせます。
そのまま、指の力だけで手のひらを上げ下げします。
地味ですが、指の関節を強くし、突き指の予防にもなります。
「このテレビ番組が終わるまで、右手をニギニギし続けよう」
そんな軽いルールを決めて、親子で一緒にやるのが長続きのコツです。
【脳を鍛える】コタツで白熱!親子の絆を深める「野球脳クイズ大会」
身体能力だけが野球の実力ではありません。
ルールを知っているか、状況に応じた判断ができるかという「野球脳(ベースボールIQ)」は、グラウンド外でこそ磨かれます。
ここからは、コタツを「作戦会議室」に変える、知的トレーニングの時間です。
インフィルドフライって何?意外と知らないルール再確認
「ノーアウト満塁、バッターがキャッチャーフライを打ち上げました。インフィルドフライは宣告される?」
「振り逃げができる条件って、正確に全部言える?」
少年野球では、意外とルールを曖昧に覚えているケースが多いものです。
親子で「公認野球規則」(または、わかりやすい少年野球向けのルール解説本)を1冊用意し、クイズを出し合いましょう。
【全日本軟式野球連盟(JSBB)】の公式サイトなどでも、ルールの改正点やQ&Aが掲載されています。これらを参考に、パパがオリジナルのクイズを作ってみるのも面白いですね。
【クイズ例】
- Q. ランナー1塁。バッターがライト前にヒットを打ちました。1塁ランナーが2塁を回ったところで転んでしまい、ライトからの返球でタッチアウトになりました。この時、バッターランナーは1塁を回って2塁に向かおうとしていました。記録は何?
- A. ライトゴロ(ライトからの送球でフォースアウトではないため、記録上はライトゴロになります。マニアックですが、「へぇ〜!」となる知識は子供も大好きです)
「えー!そうなの!?」と驚きながら覚えた知識は、実際の試合でトラブルが起きた時に、冷静な判断をする助けになります。
「この場面、君ならどうする?」配球・守備位置シミュレーション
次は、もう少し実践的なシミュレーションです。
プロ野球の試合の録画や、YouTubeの試合動画を見ながら行います。
【やり方:一時停止ゲーム】
- 試合の映像を見ながら、ランナーが出たり、ピンチになったりした場面で「一時停止」ボタンを押します。
- パパ:「さあ、ワンアウトランナー2・3塁。バッターは4番。君がキャッチャーなら、次はどこに何を要求する?」
- 子供:「うーん、初球は外角のストレートで見逃しを取りたい」
- パパ:「なるほど。でも相手は4番だぞ。初球から振ってくるかもよ?」
- 議論した後、再生ボタンを押して答え合わせをします。
【守備位置編】
「このバッターは引っ張り傾向があるから、サードは少しライン寄りに守った方がいいかな?」
「風がレフトからライトに吹いてるから、フライが流されるかも?」
このように、「根拠を持って予測する」という習慣をつけることが重要です。
正解・不正解は二の次です。「なぜそう思ったのか?」を言葉にして説明させることで、子供の思考力は飛躍的に伸びます。
そしてパパも、子供の考えを聞くことで「そんなことまで考えてたのか!」と成長を感じることができるでしょう。
サインの確認と「無言のコミュニケーション」練習
最後は、ちょっと遊び心のあるトレーニング。
チームのサイン(ブロックサインなど)を覚えるのは、低学年の子にとっては一苦労です。
これをコタツで遊びながら完璧にしてしまいましょう。
【やり方:サイン伝言ゲーム】
- 親子でオリジナルのサインを決めます。
(例:帽子を触る=キー(注目)、鼻を触る=盗塁、耳を触る=バント、など) - パパがランダムに体を触っていき、子供が「盗塁!」「バント!」と答えます。
- スピードをどんどん上げていきます。
【応用編:食卓サイン】
夕食の時、「醤油取って」と言葉で言うのを禁止にします。
その代わり、目配せや、ちょっとした指の動き(サイン)で意思疎通を図ります。
「アイコンタクトだけでパパにミカンを取らせる」なんてミッションも楽しいですね。
野球は、グラウンド上で大声が出せない場面も多々あります。
目と目で通じ合う、相手の意図を汲み取る。そんな「以心伝心」の力を、冬のコタツ生活の中で養ってみてください。
まとめ:冬のコタツ時間が、春のグラウンドでの「あうんの呼吸」を作る

冬の寒さに負けて、コタツで丸くなること。
それは決して「サボり」ではありません。見方を変えれば、そこは親子が密着し、じっくりと野球の奥深さに触れることができる、最高の「ベースボール・ラボ(研究所)」なのです。
- ビジョントレーニングで、ボールを捉える「眼」を作る。
- ハンドリング遊びで、道具を自在に操る「指先」を作る。
- 野球脳クイズで、とっさの判断を支える「頭脳」を作る。
これらはすべて、春のグラウンドで、お子さんが自信を持ってプレーするための強力な武器になります。
そして何より、この冬にコタツの中で交わした会話、一緒に笑い合った時間、競い合った記憶は、親子の「あうんの呼吸」となって、これからの野球人生を支える土台になります。
春になり、久しぶりにグラウンドに立った時。
「あれ? お前、なんかボールへの反応良くなってないか?」
コーチやチームメイトにそう言われた時、お子さんはきっと、スタンドで見守るパパの方を見て、ニヤリと笑うはずです。
「パパとのコタツ特訓のおかげだよ」と。
さあ、今日の夜から早速始めてみませんか?
まずはミカンを置いて、お子さんの目の前で指を一本立てるところから。
寒い冬を、親子で一番熱い季節に変えてしまいましょう!
