横浜DeNAベイスターズは2026年、牧秀悟選手を1番で起用しました。長打力のある打者が先頭に入る例は、「1番=俊足」「4番=チームで一番上手い」といった固定観念を見直す格好の材料です。
ただし、プロの打順を少年野球へそのまま当てはめることはできません。この記事では、牧選手の起用について確認できる事実と一般的な考え方を分け、子どもが自分の役割を考えるための会話とワークに落とし込みます。
DeNA牧選手の「1番起用」で確認できること
相川亮二監督は2026年1月の取材で、牧選手の1番起用プランについて「一番いい打者が一番打席に立つ」という趣旨を説明しました。牧選手は3月27日の開幕戦で公式戦初の1番に入り、初回の初球に先頭打者本塁打を記録。その後も起用は続き、シーズン途中には1番・蝦名達夫選手、2番・牧選手という並びも採用されています。
つまり「牧選手は常に1番」「相手投手を怖がらせることだけが狙い」ではありません。多く打席を回したい打者は誰か、前後をどう組み合わせるか、相手投手や選手の状態はどうかによって打順は変わります。起用意図は監督が公に語った範囲にとどめて理解するのが適切です。

少年野球の打順は「上手い順」ではない
打順には、その試合で得点するための役割があります。ただし、各打順に全国共通の正解があるわけではありません。選手層、大会ルール、相手投手、出塁のしやすさ、長打力などで組み方は変わります。
| 打順を見る視点 | 考えられる役割 | 子どもへの質問 |
|---|---|---|
| 打席が多く回りやすい上位 | 出塁、強い打球、相手への対応力を生かす | 「最初の打席で何を確かめたい?」 |
| 走者を置いて回りやすい中軸 | 走者を進める、還す、自分も出塁する | 「走者と守備位置を見て、どんな打球を狙う?」 |
| 次の上位へつなぐ下位 | 粘る、出塁する、相手投手の情報を共有する | 「次の打者に伝えられることは何?」 |
| 途中出場・代打 | 限られた場面で準備した強みを出す | 「出番までに何を見ておく?」 |
「7番だから下手」「4番だから最上位」とは限りません。同じ選手でも試合ごとに求められる役割は変わります。打順だけで子どもの能力やチーム内の価値を決めつけないことが大切です。
親子で5分:打順を作るワーク
- 条件を一つ決める:「1点が必要」「相手投手は制球がよい」など、架空の試合状況を設定する。
- 選手の強みを書き出す:足の速さだけでなく、選球眼、バットに当てる力、強い打球、粘り、走塁判断も挙げる。
- 9人を並べる:正解探しではなく、「なぜその順番か」を一言ずつ説明する。
- 条件を変える:相手が左投手、終盤に1点を追う場面などに変え、並びが変わるか考える。
会話例
- 「牧選手を1番にすると、どんな良さがありそう?」
- 「1番以外に置くなら何番? その理由は?」
- 「今日の自分の打順では、どんな役割を考えた?」
- 「監督に役割を確認するとしたら、どう聞く?」
親が答えを教えるより、子どもの理由を聞くのがポイントです。「相手をびびらせるため」と心理を断定するのではなく、「多く打席が回る」「初回から長打を期待できる」など、観察できる作戦に言い換えます。
打順発表の前後に使える声かけ
| 場面 | 避けたい言葉 | 声かけ例 |
|---|---|---|
| 下位打線だった | 「また下の方か」 | 「監督から、今日の役割は何と言われた?」 |
| 上位打線だった | 「一番上手いと認められたね」 | 「多く回る打席で、何を意識したい?」 |
| 無安打だった | 「その打順なのに打てないの?」 | 「相手投手について分かったことは?」 |
| ベンチスタート | 「どうして使われないんだ」 | 「出番に備えて、今できる準備は何だろう?」 |
指導者へ確認するときの聞き方
子どもが役割を理解できず困っているときは、起用への抗議ではなく、成長を支えるための確認として尋ねます。
- 「本人が今日の役割を理解するため、どんな点を確認するとよいでしょうか」
- 「次の打席までに取り組める課題を一つ教えてください」
- 「家庭では結果より何を振り返るとよいでしょうか」
Q&A
Q. 9番は「第二の1番」ですか?
A. そう考える作戦はありますが、常に同じ役割ではありません。次が上位打線なので出塁を期待する場合もあれば、選手の経験や当日の組み合わせを優先する場合もあります。
Q. 1番は出塁率が最も高い子にすべきですか?
A. 有力な考え方の一つですが、唯一の正解ではありません。大会形式やチームの選手構成まで含めて指導者が判断します。
Q. 子どもが打順に不満を持っています。
A. まず気持ちを否定せず、「どんな役割だと説明された?」「次に試したいことは?」と聞きます。本人が説明を受けていないなら、指導者に質問する言葉を一緒に考えましょう。
まとめ
牧選手の1番起用が示すのは、打順が単純な能力順位ではなく、得点のための組み合わせだということです。プロの作戦を唯一の正解にせず、子どもには「何番だったか」より「どんな役割を考えたか」を聞く。これだけでも、打順発表を評価の時間から戦術を学ぶ時間へ変えられます。
