親の関わり方・声かけ

【少年野球で疲弊する親へ】WBCチェコ代表に学ぶ、親子が笑顔になる「野球ライフバランス」

公開 2026.03.09更新 2026.10.09書いた人 くっか

休日の家でそれぞれの時間を過ごす親子のイメージ(生成AIによる画像)
この記事の内容(6項目)
  1. はじめに:週末の少年野球に「疲れた…」と感じていませんか?
  2. すべてを犠牲にする「野球漬け」への違感と罪悪感
  3. 「息子のため」のサポートと、家族それぞれの時間を考える
  4. 親の笑顔が消えれば、子供の野球も楽しくなくなるという真実
  5. 「プロを目指す」だけが正解じゃない!WBCチェコ代表が教えてくれたこと
  6. 消防士、ロケットエンジニア、教師…「本業」を持ちながら世界に挑む選手たち
  7. 監督は神経科医!「野球=人生のすべて」ではないという健全な価値観
  8. 圧倒的に少ない練習時間でも、強豪国と渡り合える「集中力」と「楽しむ心」
  9. 王貞治氏との絆に見る、「長く野球を楽しむ」ための長期的な育成
  10. 感動の再会!「世界少年野球大会」卒業生たちがWBCの大舞台へ
  11. 目先の勝敗よりも「一生モノの趣味」として野球を愛することの価値
  12. 少年野球界の深刻な問題「燃え尽き症候群」を防ぐための親の心構え
  13. 少年野球の常識を疑え!親子の負担を減らす「野球ライフバランス」の作り方
  14. 「行かなきゃ」という義務感を捨てる(お茶当番や保護者会の適正化)
  15. 野球以外の時間(家族旅行や別の遊び、他競技)をあえて大切にする意味
  16. 子供の才能を潰す「やらされている感」をなくすための日常的な声かけ
  17. 「野球ガチ勢」から少し距離を置く、未経験パパの生存戦略
  18. 周りの熱量に合わせすぎない!我が家なりの「ゴール設定」を持とう
  19. チーム選びの重要性:親の負担感や方針が合う環境を見極める
  20. パパ自身も「自分の時間(趣味や仕事)」を諦めない背中を見せる
  21. まとめ

週末が来るのが、少しだけ憂鬱になっていませんか?
平日は夜遅くまで仕事に追われ、やっと訪れた土日の休み。しかし、朝6時に起きてお弁当を作り、重い道具を車に積み込んでグラウンドへ向かう。炎天下や極寒の中、一日中立ちっぱなしでチームのサポートをし、帰宅後は泥だらけのユニフォームを洗濯する……。

「息子のために始めたはずの少年野球なのに、どうしてこんなに苦しいんだろう」
「パパ友たちと上手くやらなきゃ、当番を代わってもらわなきゃと、気を使ってばかりでヘトヘトだ」

もしあなたが今、そんなふうに悩んでいるなら、どうか安心してください。あなたは決して「ダメな親」でも「熱意が足りない親」でもありません。多くの未経験パパたちが、同じように「少年野球と家庭のバランス」という高い壁にぶつかり、誰にも言えずに人知れず疲弊しているのです。

この記事では、そんな「少年野球疲れ」に陥ってしまったパパたちに向けて、心をフッと軽くする新しい視点をお届けします。ヒントになるのは、2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本中を感動の渦に巻き込んだ「チェコ代表」の選手たちの生き方です。彼らは、消防士や医師といった立派な「本業」を持ちながら、世界最高峰の舞台で堂々と、そして何よりも「心から楽しそうに」プレーしていました。

週末をすべて野球に捧げ、歯を食いしばって頑張ることだけが、子供を成長させる唯一の正解ではありません。チェコ代表が証明してくれた「野球と人生の美しいバランス」を紐解きながら、親も子も笑顔で少年野球を長く楽しむための「ワークライフバランス」ならぬ「野球ライフバランス」の作り方を、未経験パパの視点から徹底的に解説します。この記事を読み終える頃には、次回のグラウンドへ向かう足取りが、きっと少しだけ軽くなっているはずです。

はじめに:週末の少年野球に「疲れた…」と感じていませんか?

少年野球の世界に足を踏み入れると、そこには独特の「常識」が存在することに驚かされます。「土日はすべてチームのために使うのが当たり前」「親の熱量が子供のレギュラーを左右する」といった、言葉にはされないプレッシャーがグラウンドには渦巻いています。まずは、私たちが直面しているこの「疲弊の正体」について、深く見つめ直してみましょう。

すべてを犠牲にする「野球漬け」への違感と罪悪感

少年野球チームに入団した当初、多くの親は「週末の午前中くらいなら」と軽い気持ちでスタートします。しかし、学年が上がるにつれて練習時間は延び、土日は朝から夕方までグラウンドに拘束されるのが当たり前になっていきます。遠征試合となれば配車(車出し)の当番が回り、お茶出しやグラウンド整備、保護者会での役割など、次から次へとタスクが降りかかってきます。

「たまには家族でキャンプに行きたい」「下の娘の習い事の発表会を見てあげたい」と思っても、「今週は大事な大会前だから」「私が休むと他の保護者に迷惑がかかるから」と、自分を押し殺して野球を優先してしまう。そうして自分の時間や家族との時間をすべて犠牲にしていくうちに、ふと「自分はいったい何のために生きているんだろう」という強烈な虚無感に襲われる瞬間があります。

さらに厄介なのは、そうやって疲弊している自分に対して「子供が頑張っているのに、サポートを面倒くさがるなんて親失格ではないか」と罪悪感を抱いてしまうことです。周りの熱心な「野球経験者パパ」たちが、泥だらけになって熱血指導をしている姿を見ると、野球が教えられない上にチーム運営にも疲れてしまった自分が、ひどくちっぽけな存在に思えてしまうのです。この「違和感」と「罪悪感」の板挟みこそが、少年野球パパを苦しめる最大の要因と言えるでしょう。

「息子のため」のサポートと、家族それぞれの時間を考える

ここで少し、家族それぞれの選択について、私自身の経験をお話しします。我が家には息子が二人います。長男は野球を続けましたが、次男は体験しても野球を選ばず、今は陸上でのびのびとやっています。

私が野球に関わり始めたのは、息子が地域の子供会のソフトボールに参加したことがきっかけでした。野球経験がなく、ルールもポジションも曖昧な状態でした。技術を教えられなくても、親として関われることはあります。ただ、サポートを引き受ける際には、仕事や休息、家族の予定と両立できる範囲を考えておきたいところです。

同じ家庭でも、子供が同じスポーツを選ぶとは限りません。野球をする子の予定だけでなく、きょうだいが楽しみにしていることや、家族それぞれの休息も大切にしたいものです。送迎や当番を誰が担うか、どこまでなら無理なく続けられるかを話し合い、負担が偏っていれば分担や予定を見直してみましょう。

良かれと思ってやっていた「全力サポート」が、実は家庭内の空気を冷たくし、一番守るべき家族の笑顔を奪っていた。この痛烈な体験は、私にとって「少年野球との付き合い方」を根本から見直す大きな転機となりました。

親の笑顔が消えれば、子供の野球も楽しくなくなるという真実

親がサポートに疲れているときは、子供がどう感じているかにも目を向けてみましょう。表情だけで気持ちを決めつけず、野球を楽しめているか、困っていることはないかを聞いてみてください。親自身の休息や負担の調整は、大人同士で相談することが大切です。

周囲の保護者の熱心さが気になったら、自分が引き受けている役割と、その負担を一度整理してみてください。子供を応援したい気持ちがあっても、毎回グラウンドに立つことが難しい時期はあります。できる範囲をチームに伝え、休む時間を確保することも、応援を続けるための工夫です。

親の疲れや苛立ちを見て、子供が気を使うこともあります。だからといって、いつも笑顔でいなければと無理をする必要はありません。疲れている日は休み、子供の話を落ち着いて聞ける時間を作りましょう。子供の意欲を親の表情だけで判断せず、本人がどうしたいかを確かめながら、家庭に合う関わり方を探していくことが大切です。

「プロを目指す」だけが正解じゃない!WBCチェコ代表が教えてくれたこと

パソコンを見ながら様々な職業について楽しく学ぶ親子(生成AIによるイメージ) パソコンを見ながら様々な職業について楽しく学ぶ親子(生成AIによるイメージ)

家族のバランスを見失いかけていた私を救ってくれたのは、ある国際大会での衝撃的な光景でした。2023年春、日本中が熱狂したWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)です。そこで対戦した「チェコ代表」の選手たちの姿は、日本の少年野球界にはびこる「苦しい練習に耐え抜いてこそ正義」という固定観念を根底から覆すものでした。

消防士、ロケットエンジニア、教師…「本業」を持ちながら世界に挑む選手たち

チェコ代表は、メジャーリーガーやプロ野球選手で構成される他国の代表チームとは全く異なる背景を持っていました。彼らの大半はプロの野球選手ではなく、立派な「本業」を持つアマチュアプレーヤーだったのです。

(参考証拠:THE DIGEST等のスポーツメディア報道でも広く取り上げられましたが、彼らはまさに「デュアルキャリア」の体現者たちです。)

例えば、マウンドで力強いピッチングを見せたマルティン・シュナイダー投手は、普段は人命を救う「消防士」として働いています。他にも、金融アナリスト、教師、広報担当者、さらには宇宙開発に携わるエンジニアなど、彼らは月曜日から金曜日までは社会人としてそれぞれの職務を全うし、仕事終わりの夜や週末を使って野球の練習に励んできました。

日本の少年野球では、「プロ野球選手になるためには、他のすべてを犠牲にして毎日バットを振らなければならない」という風潮がいまだに根強く残っています。しかし、チェコ代表の選手たちは、「仕事(人生)」と「野球」を見事に両立させていました。彼らにとって野球は、人生を犠牲にしてまでしがみつくものではなく、自分の人生を豊かにするための「最高のライフワーク(趣味)」だったのです。少年野球でも、子供本人の意思を尊重しながら、仕事や家族の時間と無理なく両立できる関わり方を考えてみましょう。

監督は神経科医!「野球=人生のすべて」ではないという健全な価値観

チェコ代表を率いたパベル・ハジム監督の経歴も、私たち日本の野球パパにとって大きなヒントを与えてくれます。ハジム監督の本業は、なんと人間の脳や神経を専門とする「神経内科医(精神科医としての側面も持つ)」なのです。

医療の最前線で人間の心と体に向き合ってきたハジム監督は、野球というスポーツを非常に俯瞰的な視点から捉えています。WBCの舞台裏で彼が語っていたのは、「野球が人生のすべてではない。彼らには愛する家族があり、社会的な責任を果たすべき仕事がある。その上で、大好きな野球に全力を尽くすことが美しいのだ」という、極めて健全で成熟した価値観でした。

日本の少年野球の現場では、指導者も保護者も、つい「野球がすべて」という狭い視野に陥りがちです。エラーをすれば人生が終わったかのように叱責し、試合に負ければこの世の終わりのようなお通夜ムードになる。しかし、神経科医であるハジム監督が率いるチェコ代表のベンチは、どんなに劣勢でも笑顔と活気に満ち溢れていました。彼らは「野球は人生を豊かにするゲームである」という真理を、身をもって体現していたのです。

圧倒的に少ない練習時間でも、強豪国と渡り合える「集中力」と「楽しむ心」

「でも、プロを目指すなら、やっぱり毎日長時間練習しないとダメなんじゃないの?」
そんな疑問を持つパパもいるでしょう。確かに、日本の強豪チームの練習量は世界的に見ても群を抜いています。しかし、チェコ代表は、仕事終わりの限られた時間や週末の数時間という、日本のアマチュア以下の練習時間しか確保できない環境でありながら、WBCという世界最高峰の舞台で日本代表(侍ジャパン)や強豪国を相手に堂々と渡り合いました。

彼らの強さの秘密は、圧倒的な「練習の質」と「楽しむ心(内発的モチベーション)」にあります。「やらされる練習」を何時間もダラダラと続けるのではなく、限られた時間の中で「どうすれば上達するか」を自ら考え、高い集中力で効率的に練習に取り組む。そして何より、大好きな野球ができる喜びを噛み締めながらプレーしているため、ピンチの場面でも体が硬くならず、持てるパフォーマンスを120%発揮できるのです。

翻って日本の少年野球を見ると、週末の朝8時から夕方17時まで、丸一日グラウンドに拘束されるケースが珍しくありません。子供たちは疲労困憊し、集中力は途切れ、ケガのリスクも高まります。チェコ代表の姿は、「練習時間の長さ=強さ」という日本の古いスポーツ信仰に対する、鮮やかなアンチテーゼだと言えるでしょう。

王貞治氏との絆に見る、「長く野球を楽しむ」ための長期的な育成

チェコ代表が教えてくれたのは、ワークライフバランスの大切さだけではありません。彼らのルーツを辿ると、そこには私たち日本の野球パパが忘れかけている「長期的な視野に立った育成」の素晴らしい成功例が隠されていました。

感動の再会!「世界少年野球大会」卒業生たちがWBCの大舞台へ

実は、WBCに出場したチェコ代表の中には、日本と非常に深い縁を持つ選手たちがいました。主軸打者であるマルティン・チェルベンカ捕手ら数名の選手は、少年時代に「世界少年野球大会(WCBF)」に参加していたのです。

この大会は、世界のホームラン王である王貞治氏と、米大リーグのレジェンドであるハンク・アーロン氏が「野球を通じて世界の子供たちに友情と平和を」という理念のもとに創設したものです。当時、野球の発展途上国であったチェコから日本に招かれた少年たちは、王貞治氏らから直接指導を受け、野球の楽しさと素晴らしさを心の底から味わいました。

そして数十年の時を経て、当時の野球少年たちは立派な大人になり、母国を背負ってWBCという夢の舞台で再び日本の土を踏みました。東京ドームで王貞治氏と感動の再会を果たしたチェルベンカ選手の目は、かつての野球少年のようにキラキラと輝いていました。これこそが、少年期に「野球の楽しさの種」を蒔き、それを枯らすことなく育て上げた最高の物語(サクセスストーリー)ではないでしょうか。

目先の勝敗よりも「一生モノの趣味」として野球を愛することの価値

このエピソードから私たちが学ぶべきことは、「少年野球の本当のゴールとは何か?」ということです。日本の少年野球では、どうしても「次の日曜日の試合に勝つこと」や「レギュラーの座を勝ち取ること」といった、目先の小さな目標にばかり親の目が向いてしまいます。その結果、目先の勝利のために子供を厳しく追い込み、プレッシャーをかけすぎてしまうのです。

しかし、王貞治氏が世界少年野球大会で子供たちに伝えたかったのは、「目先の勝利」ではなく、「一生涯にわたって野球を愛する心」でした。チェコの選手たちは、プロになれなくても、社会人として働きながら、30歳を過ぎてもなお純粋に野球を楽しんでいます。

もし、あなたの息子さんが大人になった時、休日に草野球で汗を流し、ビールを飲みながら「やっぱり野球って最高だな!」と笑い合える友人を持っていたとしたら。あるいは、将来自分の子供(あなたのお孫さん)にキャッチボールを優しく教えてあげる父親になっていたとしたら。それこそが、親として最も誇るべき「少年野球の大成功」ではないでしょうか。「プロになること」だけが成功ではありません。「一生モノの趣味」として野球を愛し続けられる心を育てることこそが、小学生年代の最も重要なミッションなのです。

少年野球界の深刻な問題「燃え尽き症候群」を防ぐための親の心構え

一方で、日本の野球界が抱える深刻な闇に「燃え尽き症候群(バーンアウト)」があります。小学生時代に全国大会で活躍し、「天才」と呼ばれた子供たちが、中学や高校に上がるタイミングでパタリと野球を辞めてしまうケースが後を絶ちません。

その原因の多くは、親や指導者からの過度なプレッシャーと、休みのない猛練習による心身の疲弊です。「親の期待に応えなければ」という義務感だけで野球を続けてきた子供は、自我が芽生える思春期に「自分は本当は野球が好きではないのかもしれない」と気づき、糸が切れたようにグラウンドから去っていきます。また、小学生特有の骨や関節の成長期に過度な投球や練習を強いられ、深刻な野球肘・野球肩となって物理的にプレーを断念せざるを得なくなる悲劇も繰り返されています。

チェコ代表のように、大人になっても目を輝かせてプレーする選手に育てるためには、親が「やり過ぎ」にブレーキをかける勇気を持つ必要があります。「もっと練習させなきゃライバルに置いていかれる」という不安を手放し、「今日は疲れているみたいだから、素振りは休んで一緒にゲームでもしようか」と言える余裕。それこそが、子供の心を燃え尽きさせず、長く細く、そして熱く野球への情熱を燃やし続けさせるための「最大の親のサポート」なのです。

少年野球の常識を疑え!親子の負担を減らす「野球ライフバランス」の作り方

週末に家族キャンプでリフレッシュする親子の笑顔(生成AIによるイメージ) 週末に家族キャンプでリフレッシュする親子の笑顔(生成AIによるイメージ)

では、具体的に私たち未経験パパは、どのようにしてこの「疲弊する少年野球」から抜け出し、チェコ代表のような健全な「野球ライフバランス」を構築していけばよいのでしょうか。ここからは、明日からすぐに実践できる具体的なマインドセットと行動改革について解説します。

「行かなきゃ」という義務感を捨てる(お茶当番や保護者会の適正化)

まず最初に取り組むべきは、親自身の心の中にある「グラウンドに行かなければならない」という呪縛を解き放つことです。

笹川スポーツ財団の調査でも、小学生のスポーツ活動では送迎や食事・飲み物の用意など保護者(とくに母親)の負担感が高いことが示されています。こうした物理的・時間的負担は、スポーツ参加への大きな障壁(社会的な構造問題)になっています。(参考:笹川スポーツ財団「小学生のスポーツ活動における保護者の関与・負担感に関する調査研究2021(速報値)」)

つまり、あなたが「しんどい」と感じているのは、あなたの気合が足りないからではなく、システム自体が限界を迎えているからです。だからこそ、堂々と休んでいいのです。

「今週は仕事が激務だったから、土曜日は家でゆっくり休む」
「日曜日は下の子を遊園地に連れて行くから、野球はお休みさせる」

こうした選択を、罪悪感なくできるようになりましょう。もしチームに「お茶当番」や「車出し」の過剰な負担があるなら、保護者会で「できる人が、できる範囲でやる制度」への変更を提案する勇気を持つことも大切です。実際に近年では、当番制を完全撤廃し、外部の送迎サービスやアウトソーシングを活用する先進的なチームも増えてきました。親が義務感で疲れた顔をしてグラウンドに立つことは、誰のためにもならないという事実をチーム全体で共有することが第一歩です。

野球以外の時間(家族旅行や別の遊び、他競技)をあえて大切にする意味

チェコの選手たちが様々な職業を持ち、多様な価値観に触れながら野球をしているように、子供にとっても「野球以外の世界」を知ることは極めて重要です。週末を100%野球で埋め尽くすのではなく、あえて意図的に「野球から離れる時間」を作りましょう。

例えば、月に1回は絶対に野球を休んで家族でキャンプに行く、夏休みは1週間思い切り海で遊ぶ、といったリフレッシュの時間は、決して「野球の遅れ」にはなりません。むしろ、大自然の中で遊んだり、家族と笑い合ったりする経験が、子供の心に余白を生み出し、結果的に「また野球がしたい!」という新鮮なモチベーションを湧き上がらせるのです。

また、欧米では一般的ですが、野球以外のスポーツ(水泳、サッカー、体操など)を並行して行う「マルチスポーツ」も強く推奨されます。別の競技を行うことで、野球だけでは鍛えられない筋肉や運動神経(コーディネーション能力)が養われ、ケガの予防や将来的なパフォーマンス向上に直結します。「野球しか知らない子」にするのではなく、多様な経験を通じて「人間としての幅」を広げてあげることが、親の重要な役割です。

子供の才能を潰す「やらされている感」をなくすための日常的な声かけ

「野球ライフバランス」を整える上で欠かせないのが、日常のコミュニケーションの改善です。親が焦って「今日も素振りしたのか?」「あのエラーはなんだ、もっと集中しろ!」と口出しすればするほど、子供の中には「やらされている感」が蓄積していきます。これでは、チェコ代表のような「心から楽しむ力」は育ちません。

未経験パパである私たちが意識すべきなのは、「ティーチング(教え込むこと)」ではなく「コーチング(引き出すこと)」、さらに言えば「ただの良きファンでいること」です。

試合から帰ってきたら、「今日のあのヒット、パパ痺れたよ!」「ベンチで一番大きな声を出してたの、カッコよかったぞ」と、ポジティブな部分だけを見つけて承認してあげてください。技術的な反省は、本人が一番よくわかっています。「次どうすれば打てるようになるかな?」と子供から相談してきた時にだけ、「一緒にYouTubeでプロの打ち方を見てみようか」と寄り添えばいいのです。

子供にとって家庭は、グラウンドでの緊張感を解きほぐす「安全基地」でなければなりません。家の中では野球のダメ出しを一切封印し、どんな結果であっても無条件で愛されていると感じられる声かけを徹底しましょう。

「野球ガチ勢」から少し距離を置く、未経験パパの生存戦略

とはいえ、熱心な経験者パパや勝利至上主義の保護者が多いチーム環境では、自分たちだけ「ワークライフバランス」を貫くことに孤独やプレッシャーを感じるかもしれません。最後に、未経験パパが周囲の空気に飲み込まれず、健全に生き残るための生存戦略をお伝えします。

周りの熱量に合わせすぎない!我が家なりの「ゴール設定」を持とう

チームの中には、プロ野球選手を本気で目指し、毎週バッティングセンターに通い詰め、高額な個人レッスンを受けているご家庭もいるでしょう。そうした「野球ガチ勢」の熱量に触れると、「うちももっとやらせなきゃダメなのでは…」と焦燥感に駆られます。

しかし、他人の家庭は他人の家庭です。大切なのは、「我が家は何のために少年野球をやっているのか」という揺るぎないゴール(目的)を夫婦で、そして子供と共有しておくことです。

「仲間と協力する楽しさを学んでほしい」「丈夫な体を作ってほしい」「休日に親子で共通の話題が欲しい」。ゴールがこれであれば、必ずしもチームの絶対的レギュラーになる必要も、毎週末グラウンドにへばりつく必要もありません。我が家なりの「ものさし」をしっかり持っていれば、周りの熱量に振り回されることなく、「うちはうちのペースで楽しむ」という堂々としたスタンスを保つことができます。

チーム選びの重要性:親の負担感や方針が合う環境を見極める

もし、今所属しているチームが「全試合必勝」「土日は朝から晩まで拘束」「親の当番が絶対義務」という、あなたのライフスタイルや価値観と決定的に合わない環境であれば、勇気を出して「チームを移籍する(環境を変える)」という選択肢も視野に入れてください。

近年は、保護者の負担を一切なくした新しいスタイルの野球クラブや、土日の半日しか練習しないエンジョイ志向のチームなど、少年野球の環境も多様化しています。「一度入ったチームを辞めるのは逃げではないか」と悩む必要はありません。チェコ代表のように多様性が認められる現代において、自分たち家族が最も笑顔でいられる環境を主体的に選ぶことは、親としての立派な決断です。

チーム選びの際は、勝利実績や知名度だけでなく、「指導者が子供たちに笑顔で接しているか」「保護者たちが眉間にシワを寄せていないか」という「空気感」を最も重視して見学に行ってみてください。

パパ自身も「自分の時間(趣味や仕事)」を諦めない背中を見せる

そして最後に、これが最も重要なことかもしれません。パパであるあなた自身が、野球以外の「自分の人生」を思い切り楽しむ背中を子供に見せてあげてください。

チェコ代表の選手たちが、消防士やエンジニアとしての仕事に誇りを持ちながら、週末に大好きな野球を楽しむ姿は、子供たちにとって最高のお手本です。「息子のため」と言って自分の趣味や休息をすべて我慢し、イライラしている父親の背中を見て育つ子供は、「大人の男になること=苦労を背負い込むこと」と勘違いしてしまいます。

「今日はパパ、久しぶりに釣りに行ってリフレッシュしてくるよ!」「明日のお昼はパパの好きなラーメン屋に付き合ってくれ!」と、パパ自身が自分の人生を謳歌し、ワークライフバランスを満喫している姿を見せましょう。親が人生を楽しんでいれば、子供も「人生って楽しんだ!」と感じ、大好きな野球にもより一層ポジティブなエネルギーで向き合えるようになります。

まとめ

少年野球と家族のライフバランスを図解したインフォグラフィック(生成AIによるイメージ) 少年野球と家族のライフバランスを図解したインフォグラフィック(生成AIによるイメージ)

少年野球は、親子の絆を深め、子供の心と体を成長させる素晴らしいツールです。しかし、それはあくまで「人生を豊かにするスパイス」であり、「人生のすべて」を犠牲にしてまで取り組むものではありません。

WBCで日本中を魅了したチェコ代表の選手たちは、本業という自立した基盤を持ちながら、野球というスポーツを純粋に「遊ぶ(Playする)」心を持っていたからこそ、あのような素晴らしい輝きを放つことができました。そして、王貞治氏とのエピソードが示す通り、最も尊いのは「目先の勝利」ではなく、「一生涯にわたって野球を愛し続ける心」を育むことです。

週末のグラウンドへ向かう時、どうか一度深呼吸をして、肩の力を抜いてみてください。「今日も息子がユニフォームを着て、元気に走っている。それだけで100点満点だ」と。

あなたが義務感を手放し、心からの笑顔でグラウンドの隅に座ってくれているだけで、子供は安心して大好きな野球に熱中できます。野球未経験パパだからこそできる、最高の「野球ライフバランス」を、今日から少しずつ一緒に築いていきましょう!

#WBCチェコ代表#デュアルキャリア#ワークライフバランス#保護者の負担#燃え尽き症候群

この記事を書いた人:くっか

野球経験ゼロの父親。息子が地域のソフトボールから中学の軟式野球部へ進むのを、練習場所探しから支えてきました。人数不足や合同チームも経験。「こうすれば正解」ではなく、親として迷ったことと調べたことを書いています。

プロフィールを見る →

RELATEDあわせて読みたい