少年野球の「ポジション上手い順」は古い?新時代のレギュラー戦略
少年野球のグラウンドの隅っこで、エラーをしてうつむく我が子。その小さな背中を見つめながら、「うちの息子は運動神経が良くないから、ずっと補欠のままかもしれない」「経験者のパパが教える子には、どうせ勝てないんだろうな」と、切ない気持ちを抱えていませんか?
かつて、私自身も全く同じ悩みを抱える「完全未経験の野球パパ」でした。
バッティングも守備も苦手。チームの中ではいつも万年外野手で、上手い子たちとの差は開くばかり。親としては「なんとかしてあげたい」と思っても、キャッチボールの正しい投げ方すら教えられない自分に歯がゆさを感じる日々でした。
しかし、そんな「打てない・捕れない」不器用な息子にも、実は誰にも負けない【たった一つの才能】が隠されていました。そして、あるコーチの温かい導きによって、息子は思いもよらないポジションでチームの要として輝き始め、なんと中学を卒業するまでそのポジションを守り抜いたのです。
いま、日本の野球界は歴史的な転換期を迎えています。2026年の選抜高校野球から導入された「DH制(指名打者制度)」。このニュースは単なるルール変更ではありません。長年、少年野球の現場を支配してきた「ピッチャーやショートを守る子が一番偉い」という『ポジション上手い順』の常識が崩壊し、守備が苦手な子でも輝ける「新時代のレギュラー戦略」が幕を開けたことを意味しています。
この記事では、高校野球のDH制導入が少年野球に与える衝撃と、不器用だった私の息子がいかにして「自分だけの輝ける場所」を見つけたのかというリアルな体験談を通じて、子供の可能性を最大限に引き出すための【親の導き方】を徹底解説します。
※AI生成による音声コンテンツにて、発音や読み方に違和感ございますが、ご了承ねがいます。
高校野球の「DH制導入」が少年野球パパに与える衝撃
なぜ今?高野連が踏み切った歴史的ルール変更の背景
2026年の春、日本の野球ファンに大きな衝撃が走りました。第98回選抜高校野球大会から、ついに「DH制(指名打者制度)」が導入されたのです。プロ野球のパ・リーグなどではお馴染みのルールですが、「教育の一環」を重んじる高校野球においては、長年タブー視されてきた歴史的な大転換と言えます。
なぜ、このタイミングで高野連(日本高等学校野球連盟)はDH制の導入に踏み切ったのでしょうか。
その最大の理由は、「選手の健康保護」と「出場機会の拡大」にあります。
近年、投球過多による野球肘や肩の故障が深刻な問題となり、2020年からは「1週間で500球以内」という球数制限が導入されました。しかし、チームの屋台骨であるエースピッチャーが「4番バッター」も兼ねているケースは非常に多く、マウンドを降りても野手として試合に出続けるため、肉体的・精神的な休養が十分に取れないというジレンマがありました。
DH制の導入は、こうした「一人の天才にすべてを背負わせる野球」からの脱却を意味しています。(参考:公益財団法人 日本高等学校野球連盟(第98回選抜高校野球大会におけるDH制導入について))
また、少子化が進む中、試合に出場できるレギュラーの枠が9人から「10人」に増えることは、ベンチでくすぶっていた選手たちに大きなモチベーションを与えます。守備に難があっても、打撃職人として甲子園の打席に立てる。これは、多くの野球少年たちにとって希望の光なのです。
「エースで4番」という昭和の美学の終焉と分業制の幕開け
私たちが子供の頃、野球漫画の主人公といえば決まって「エースで4番」でした。
マウンドで150キロの剛速球を投げ、打席に入れば特大のホームランをかっ飛ばす。そんな万能型のスーパーヒーローに誰もが憧れ、少年野球の現場でも「運動神経の良い子がピッチャーをやり、打順もクリーンナップを打つ」というのが当たり前の光景として広がっていました。
しかし、現代の野球は高度に専門化・分業化が進んでいます。
メジャーリーグでも「二刀流」の大谷翔平選手が規格外として扱われるように、通常は投げるスペシャリスト、打つスペシャリスト、守るスペシャリストがそれぞれの役割を全うすることでチームが勝利を目指します。
今回のDH制導入は、「投げるのも、打つのも、守るのも、すべて平均点以上でなければならない」という昭和の美学に終止符を打ちました。
これからの時代は、「自分は守備は下手くそだけど、バットを振るスピードだけは誰にも負けない」「足は遅いけれど、バントの確実性ならチームで一番だ」といった、【何かに特化した尖った個性】が評価される時代、すなわち「分業制の幕開け」なのです。
この波は必ず中学・少年野球の現場にもやってくる
「高校野球のルールが変わったからって、小学生の少年野球には関係ないでしょ?」
そう思われるパパもいるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。
日本の野球界はピラミッド構造になっており、頂点であるプロ野球や高校野球のトレンドは、数年遅れて必ず中学野球、そして学童(少年)野球へと波及してきます。
現に、全日本軟式野球連盟(JSBB)のデータによると、学童野球の登録チーム数は過去15年間で約5000チームも減少しており、少子化や野球離れの中で「いかにして子供たちに野球の楽しさを伝え、モチベーションを維持させるか」が現場の最大の課題となっています。(参考:First-Pitch(15年で5000チーム消滅の衝撃 学童野球の人気回復へ…))
すでに一部の学童大会では、DH制の導入や、ベンチ入りメンバー全員が打席に立つ「全員打順制」の試みが始まっています。
指導者たちも「上手い子だけを試合に出す」という旧態依然としたやり方から、「子供たち一人ひとりの特性を見極め、適材適所で起用する」というマネジメントへのシフトを迫られているのです。
つまり、今現在「守備が下手だから」という理由で試合に出られていない息子さんにも、数年後には「打撃専門のスペシャリスト」として堂々とグラウンドに立つ未来が、すぐそこまで来ているということです。
少年野球にはびこる「ポジション上手い順」の呪縛

暗黙のヒエラルキー:ピッチャー・ショートが一番偉い?
少年野球の現場に少しでも関わったことのあるパパなら、グラウンドに漂う「暗黙のヒエラルキー(階層)」を感じ取ったことがあるはずです。
それは、「ポジション上手い順」という目に見えない呪縛です。
一般的に、一番運動神経が良くて肩が強い子が「ピッチャー」に選ばれます。次に、フットワークが軽くて野球センスの塊のような子が内野の要である「ショート」を守ります。その次にサード、セカンド、センター……と続き、まだ野球を始めたばかりの低学年の子や、フライを捕るのが苦手な子は、ライトやレフトといった外野へ配置される。
もちろん、チームを勝たせるための戦術としては理にかなっている側面もあります。内野に飛んだゴロを確実にアウトにしなければ、少年野球では試合が成立しないからです。
しかし、この「内野=上手い子、外野=下手な子」という固定観念があまりにも強固になりすぎた結果、多くの弊害が生じています。
子供たちの間にも「あいつはライトだから下手くそだ」「僕はショートだからチームの中心だ」といった優劣の意識が芽生え、ポジションがそのままチーム内でのカースト(身分)のように扱われてしまう危険性があるのです。
守備が苦手、打てない…劣等感を抱きやすい子供たち
この「ポジション上手い順」のヒエラルキーの中で、一番苦しい思いをしているのは誰でしょうか。
それは、真面目に練習に取り組んでいるにもかかわらず、生まれつきの運動神経や不器用さゆえに、いつまでも内野の土を踏めない子供たちです。
「今日もまた外野の端っこか…」
「飛んできたフライを落としてしまって、内野のうまい子に舌打ちされた…」
「バットにボールが当たらなくて、三振ばかり…」
こうした失敗体験が重なると、子供はどんどん自信を失っていきます。せっかく「野球が好きだ」という純粋な気持ちでチームに入ったのに、毎週末の練習が苦痛になり、やがて「自分には野球の才能がないんだ」「どうせ何をやっても上手なアイツには勝てない」と、強い劣等感を抱くようになってしまいます。
私の息子も、まさにそんな子供の一人でした。
小学生のソフトボールのチームに所属していた頃から、彼はとにかく不器用でした。バッティングでは空振りばかりで、たまに当たってもボテボテのゴロ。守備につけば、ボールとの距離感がうまく測れずにバンザイをしてしまったり、ゴロをトンネルしてしまったり。定位置はいつも、グラウンドの端っこの「レフト」か「ライト」でした。
週末のグラウンドで、うつむき加減で外野の芝生を蹴っている息子の姿を見るたびに、父親として胸が締め付けられるような思いをしたものです。
未経験パパが陥りがちな「平均点思考(全部できなきゃダメ)」の罠
息子が落ち込んでいる時、野球経験のあるパパなら、手取り足取りフォームを修正し、「こうやって捕るんだ」「もっと脇を締めて振れ」と具体的な技術指導ができるでしょう。
しかし、私のような「完全未経験パパ」には、それができません。
そこで未経験パパが陥りがちなのが、「平均点思考」という罠です。
「とりあえず、エラーしないように守備をなんとかしよう」
「打てなくてもいいから、せめてバントだけは失敗しないようにしよう」
つまり、目立つ欠点を無理やり底上げして、「みんなと同じような平均的な選手」にさせようとしてしまうのです。
しかし、これは子供にとって非常に苦痛な作業です。苦手なこと、上手くできないことを延々とやらされるわけですから、野球そのものが嫌いになってしまっても無理はありません。
「全部できなきゃダメだ」「エースで4番にならなきゃレギュラーになれない」
この昭和の呪縛にとらわれているのは、実は子供よりも、私たち親のほうなのかもしれません。DH制が導入された今の時代に必要なのは、欠点を克服させること以上に、その子の「たった一つの武器」を見つけてあげることなのです。
【体験談】打てない・捕れない息子が「キャッチャー」で輝いた理由

万年外野の息子と、昭和の厳しい鍛錬が残るチームでの日々
ここで少し、私の家族のリアルな体験談をお話しさせてください。
先ほども触れたように、私の息子は小学生の頃から「バッティングも守備もダメ」な不器用な子供でした。
私たちが所属していた地域のチームは、お世辞にも「今どきのエンジョイ野球」とは言えませんでした。どちらかといえば、昭和の香りが色濃く残る、厳しい鍛錬と叱咤激励が飛び交う熱血チームです。
エラーをすればコーチから厳しい雷が落ち、グラウンドを走らされる。もちろん、保護者たちもチームのサポートに全力で入り、時に親からも厳しい声が飛ぶような環境でした。
そんな厳しい環境の中で、万年レフト・ライトの息子は、いつも怒られてばかりいました。
未経験の私は、家で気の利いたアドバイスをしてやることもできず、ただ週末のグラウンドで、泥だらけになって下を向く息子をハラハラしながら見守るしかなかったのです。
「もう野球、辞めたいって言うんじゃないか…」
日曜日の夕方、重い足取りで帰宅する息子の背中を見ながら、私は何度もそう覚悟しました。
コーチが見抜いた唯一の武器「忍耐力」という才能
しかし、息子は決して「辞める」とは言いませんでした。
どんなに怒られても、どんなに試合に出られなくても、次の週には黙々とユニフォームに着替え、重い道具袋を背負ってグラウンドへ向かったのです。
そんなある日のことです。
いつものように外野で球拾いのような練習をしていた息子に、一人のコーチが声をかけました。
「お前、キャッチャーやってみないか?」
私は耳を疑いました。
キャッチャーといえば、グラウンドの司令塔。ピッチャーの球を確実に捕球し、ランナーを刺す強肩が必要で、何より内野手以上の高い野球センスが求められる、チームで最も重要なポジションの一つです。
「あんなに不器用で、ボールを捕るのも下手な息子に、なんでキャッチャーを!?」と、私は驚きと不安でいっぱいになりました。
しかし、そのコーチは息子の「ある才能」を見抜いてくれていたのです。
それは、足の速さでも、肩の強さでもありません。
「どんなに怒られても、失敗しても、決して逃げ出さずに食らいついてくる『忍耐力』」です。
キャッチャーというポジションは、夏は防具がサウナのように暑く、ワンバウンドの球を体に当てて止めなければならない、過酷で痛みを伴うポジションです。だからこそ、少年野球では「キャッチャーだけはやりたくない」と避ける子供が意外と多いのです。
華やかなピッチャーやショートの裏側で、ひたすら泥臭く、耐え忍ぶことが求められる。
コーチは、打てない・捕れない息子が、厳しい昭和のチームの中で誰よりも歯を食いしばって耐え抜いてきた「心の強さ」を、キャッチャーというポジションに重ね合わせてくれたのでした。
不人気ポジションに隠されたレギュラーへの抜け道とチャンス
「やってみます」
息子は小さな声で、しかしはっきりと答えました。
そこからの日々は、想像以上に過酷でした。
慣れない重い防具をつけ、ピッチャーの球を何度も体で止める練習。突き指は日常茶飯事で、太ももや腕にはいつも青アザが絶えませんでした。
相変わらずバッティングは下位打線で、スローイングも上手くはありませんでしたが、不思議なことに、キャッチャーミットを構える息子の姿には、外野にいた頃のような「オドオドした劣等感」はありませんでした。
なぜなら、キャッチャーは「誰もがやりたがるポジション」ではなかったからです。
「みんなが嫌がる、痛くて苦しいポジションを、俺がチームのためにやっているんだ」という強烈な自負心が、不器用な息子に「自信」という名の魔法をかけてくれたのです。
少年野球において、誰もが憧れるピッチャーやショートは、競争率が異常に高く、才能にあふれた一部の「上手い子」たちの指定席になりがちです。
しかし、視点を変えれば、キャッチャーのように「誰もやりたがらないけれど、絶対にチームに必要な不人気ポジション」には、レギュラーを獲得するための『抜け道』が存在します。
技術的には劣っていても、「痛みを恐れない」「泥だらけになってボールを止める」という特化した才能(メンタル)さえあれば、チームにとってかけがえのない存在になれるのです。
中学卒業まで扇の要を守り抜いた我が子への誇りと感謝
結果として、息子はその日から中学を卒業して野球を引退するまで、ずっとキャッチャーのポジションを守り抜きました。
決して、強肩強打のスター捕手になったわけではありません。相変わらず打率は低かったですし、盗塁を刺せないこともたくさんありました。
しかし、ピッチャーが崩れそうな時にはマウンドへ駆け寄って声をかけ、どんな暴投でも必死に前に落としてピンチを救う彼の姿は、間違いなくチームの「扇の要」でした。
厳しい鍛錬や叱責があったチームでしたが、大人の指導者たちは、息子の技術的な下手さではなく、「逃げない姿勢」をしっかりと評価し、フォローしてくれていたのです。
「バッティングも守備もダメ。でも、忍耐力だけは誰にも負けない」
そのたった一つの武器を見つけ、輝ける場所を与えてくれたコーチには、今でも感謝してもしきれません。
我が子ながら、あっぱれでした。
未経験パパとして技術を教えられなかった私は、ただ泥だらけのユニフォームを洗い、週末の早起きをしてお弁当を作り、フェンス越しに「ナイスストップ!」と大声で叫ぶことしかできませんでした。
それでも、息子が自分自身の力でポジションを掴み取り、最後までやり遂げたあの数年間は、私にとって一生の宝物です。
DH制時代を生き抜く!我が子の「輝ける場所」の見つけ方
欠点を直すより「一つの強み」を徹底的に尖らせる
私の息子のキャッチャーのエピソードは、決して特別な「美談」ではありません。
これは、これからの「DH制が当たり前になる新時代の少年野球」において、すべての子供たちに応用できる【生存戦略】のヒントなのです。
分業制が加速する現代の野球では、「すべてが平均点の無難な選手」よりも、「何か一つだけ、強烈な武器を持っている選手」の方が、チームにとって重宝される確率が高くなります。
親としては、ついつい子供の「できないこと(欠点)」に目が行き、「もっと守備練習しなさい」「どうしてもっと速く走れないの」と口うるさく言ってしまいがちです。
しかし、欠点を平均レベルまで引き上げるのは、莫大な時間とストレスがかかります。
それよりも、子供が持っている「一つの強み(長所)」を見つけ出し、それを徹底的に尖らせることにエネルギーを注ぎましょう。
「ポジション上手い順」のピラミッドの頂点に立てなくても、尖った武器さえあれば、横からスッとポジションを奪い取ることができるのです。
【打撃特化型】DH候補としてスイングスピードを極める
もしあなたの息子さんが「守備はボロボロだけど、バットを振るのだけは誰よりも楽しそうだ」「体格が良くて、当たれば遠くまで飛ぶ」という特徴を持っているなら、これほどラッキーなことはありません。
来るべきDH(指名打者)制の時代に向けて、彼は「最強のDH候補生」なのです。
この場合、無理にノックを受けさせてフライの恐怖心を植え付けるよりも、パパと二人三脚で徹底的に「打撃」を磨き上げましょう。
バッティングセンターに足繁く通い、ひたすらボールを遠くへ飛ばす快感を味わせる。素振りでは、正しいフォームよりも「チームの誰よりも力強く、速いスイングスピードを手に入れること」を目標にする。
「お前は守備は苦手かもしれないけど、そのスイングの力強さはチームで一番だ!これからの時代は、打つだけでヒーローになれるんだぞ!」
この言葉は、エラーばかりで自信を失っている子供にとって、どれほど大きな救いになるでしょうか。打撃という特化した武器を磨くことで、子供は「自分にもチームに貢献できる力がある」という強烈な自尊心を取り戻すことができます。
【メンタル特化型】キャッチャーに必要な献身性と諦めない心
私の息子のように、「運動神経はあまり良くないけれど、真面目で、我慢強く、他人の痛みがわかる」という優しい性格の持ち主なら、キャッチャーというポジションに大化けする可能性があります。
キャッチャーに最も必要なのは、技術よりも「献身性」です。
ピッチャーが投げやすいように常に声をかけ、ワンバウンドの球を自分の身を挺して止める。それは「俺が目立ってやる!」というエゴの強い子には、なかなか務まらない役割です。
もしチームでキャッチャーを固定できずに困っているなら、コーチに「うちの子、一度防具を着けさせてみてもらえませんか?我慢強さだけはあります」と直訴してみるのも一つの手です。
華麗なグラブ捌きができなくても、泥だらけになってボールに食らいつく姿は、必ず指導者の心を打ちます。そして、不人気ポジションだからこそ、一度定着してしまえば卒団まで長くレギュラーを張れる大きなチャンスが眠っているのです。
【スピード特化型】代走のスペシャリストという生き残り方
「バットにボールは当たらないし、肩も弱い。でも、走るのだけはクラスで一番速い!」
そんな特性を持つ子であれば、「代走のスペシャリスト」という生き残り方があります。
野球において、「足の速さ」は教えられて身につくものではない、生まれ持った究極の才能です。
試合終盤、絶対に1点が欲しい場面での代走起用は、勝敗を分ける最も重要な采配の一つです。そこで相手バッテリーを揺さぶり、盗塁を決め、ワンヒットでホームに還ってくる。それは、ホームランを打つのと同じくらい価値のあるプレイです。
足が速い子には、「打てなくてもいいから、塁に出ること(フォアボールを選ぶ、デッドボールを避けない等)だけを考えろ。そして塁に出たら、誰よりも速く次の塁を盗め!」と明確な役割を与えましょう。
「俺は走るためにベンチにいるんだ」という使命感を持てば、試合に出られない時間も、相手投手のクセを盗むための重要な準備時間に変わります。
子供の可能性を潰さないために「親(大人)」ができること
「上手い・下手」の二元論から抜け出し、個性を見つける観察力
ここまでお話ししてきたように、子供たちが輝ける場所は、決して「ピッチャー」や「ショート」だけではありません。DH、キャッチャー、代走、あるいは「ベンチから一番大きな声を出してチームを鼓舞するムードメーカー」だって立派な才能です。
子供の可能性を広げるために、私たち親(大人)がまずやるべきことは、「野球が上手いか、下手か」という単純な二元論から抜け出すことです。
「あの子はフライが捕れるから上手い」「うちの子は三振ばかりだから下手だ」という減点方式のメガネを外し、加点方式のメガネをかけて我が子を観察してください。
「今日の素振り、なんかいつもより楽しそうだったな」
「エラーした友達に、一番にドンマイって声をかけていたな」
「道具の片付けだけは、誰よりも丁寧で早いな」
技術的な「上手さ」の陰に隠れて見えなくなっている、我が子だけの「光る個性」を見つけ出す。それこそが、未経験パパにしかできない最高のサポートの第一歩なのです。
叱責の裏にある愛情を繋ぐ、指導者(コーチ)との良好な連携
少年野球の指導者(監督やコーチ)は、ボランティアで週末の貴重な時間を子供たちに捧げてくれています。時には、昭和的な厳しい叱咤激励が飛ぶこともあるでしょう。
我が子が怒られている姿を見るのは辛いですが、親がそこで「うちの子をそんなに怒らないでください!」とモンスターペアレントになってしまっては、子供の居場所を奪うことになりかねません。
大切なのは、指導者の「叱責の裏にある愛情や意図」を汲み取り、親が間に入って子供の心をフォローしてあげることです。
「監督は、お前がエラーしたから怒ったんじゃない。エラーした後に下を向いて、次のプレイに備えなかった姿勢を叱ってくれたんだよ。お前ならもっとできるって信じてるから、厳しく言うんだぞ」
そうやって指導者の言葉を通訳し、子供の心にポジティブに変換して届ける。
同時に、グラウンドの端でコーチに「いつもご指導ありがとうございます。息子、家でも悔しがって素振りしてました。不器用ですが、あきらめない根性だけはあるので、引き続きしごいてやってください」と一言伝える。
大人ががっちりとスクラムを組み、子供の可能性を見つけて伸ばすために連携する。この良好な関係性が築ければ、どんな不器用な子供でも、必ずチームの中で自分の役割を見つけることができるはずです。
未経験パパだからこそできる「絶対的な味方」としてのフォロー
野球経験のあるパパは、子供に高度な技術を教えることができます。それは素晴らしい強みです。
しかし、経験者ゆえに理想が高くなりすぎ、「なぜこんな簡単なゴロが捕れないんだ!」「教えた通りに打て!」と、自分の現役時代の基準を子供に押し付けてしまい、結果的に子供を野球嫌いにしてしまうケースも少なくありません。
その点、私たち「未経験パパ」には、技術を教えることができないという強み(?)があります。
技術指導は専門家であるコーチに全面的にお任せして、私たちはひたすら「子供の精神的な支え」になることに特化できるのです。
ヒットを打てば誰よりも喜び、三振して落ち込んでいれば「スイングの迫力はチームで一番だったぞ!次はいける!」と根拠のない自信を与え、どろんこになったユニフォームを黙々と洗う。
「パパは野球のことはよくわからないけど、お前が一生懸命グラウンドを走っている姿を見るのが世界で一番好きなんだ」というメッセージを、態度と行動で伝え続ける。
どんなに不器用で、どんなにチームの隅っこにいても、世界に一人だけ、絶対に自分の味方でいてくれる大人がいる。その安心感こそが、子供が困難から逃げ出さず、「忍耐力」を発揮して最後までやり抜くための最大のエネルギー源になるのです。
まとめ:すぐにあきらめないで!君だけのポジションは必ずある

いかがだったでしょうか。
高校野球の「DH制導入」というニュースは、ただのルール変更ではありません。それは、昭和の時代から少年野球を縛り付けてきた「ポジション上手い順」というヒエラルキーの崩壊を告げる、希望のチャイムです。
これからの野球は、「すべてが平均点の選手」から、「一つでも強烈な武器を持った選手」が主役になる分業制の時代へとシフトしていきます。
バッティングが苦手でも、痛みを恐れずボールに食らいつく「忍耐力」があれば、私の息子のようにキャッチャーとして扇の要を守り抜くことができます。
守備が致命的に下手でも、バットを振る楽しさを見いだし、スイングスピードを極めれば、新時代の「DH(指名打者)」としてチームを勝利に導くヒーローになれます。
足の速さがあれば代走のスペシャリストに、大きな声を出せればチームのムードメーカーになれるのです。
もし今、あなたのお子さんが「打てない・捕れない」と悩み、劣等感を抱いて野球を辞めそうになっているなら。
どうか、すぐにはあきらめないでください。
子供たちの可能性は、私たちが想像するよりもずっと広く、深く、多様です。
大切なのは、大人の側が「野球はこうあるべきだ」という古い物差しを捨て、目の前の我が子をよく観察し、その子の中に眠っている「たった一つの小さな種(才能)」を見つけ出してあげることです。
技術を教えられない未経験パパにこそ、その「色眼鏡のない純粋な観察力」と、子供を無条件で全肯定する「絶対的な味方」としてのパワーが備わっています。
さあ、今週末のグラウンドでは、息子さんの「できないこと」ではなく、「楽しそうにやっていること」「誰にも負けない個性」を探してみてください。
そして、見つけたら思い切り抱きしめて、「お前にはこんないい所があるじゃないか!」と大声で褒めてあげましょう。
君だけの輝けるポジションは、必ずグラウンドのどこかに用意されています。
未経験パパと、不器用な野球少年の挑戦を、これからも全力で応援しています!
