そもそもプロ野球「16球団構想」ってなんだろう?
「最近、ニュースやネットで『プロ野球16球団構想』って言葉、なんとなく目にしたことありませんか?」
野球経験のないパパさんの中には、そう感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。一見すると、プロ野球界の大きな話で、自分たちの生活や、息子の少年野球とは遠い世界の話のように聞こえます。
でも、もしこの壮大なテーマが、息子の「夢の広がり」と、僕たち「親子の会話を深める最高のきっかけ」に繋がるとしたら、少し興味が湧いてきませんか?
この記事をじっくり読んでいただく前に、まずはこちらの短い音声で、この記事のどこが面白く、どんな発見があるのか、ポイントを掴んでみてください。
いかがでしたか?
この音声でお分かりいただけたように、この記事は単なるニュース解説ではありません。プロ野球の未来という大きな「夢」と、少年野球が抱える「現実」、そして、その二つを繋いで親子の絆を深めるための具体的な「対話のヒント」が詰まっています。
音声で興味が湧いた方はもちろん、音声を聞かずにじっくり文字で記事を味わいたい方も、ここから始まる壮大な物語を、ぜひ親子で楽しんでいってください。
野球未経験パパにも分かる!16球団構想のキホン
まず、基本のキからいきましょう。
「16球団構想」とは、現在12球団(セ・リーグ6球団、パ・リーグ6球団)で構成されている日本のプロ野球(NPB)に、新たに4球団を加えて、合計16球団に増やそう!という考え方のことです。
この構想は、福岡ソフトバンクホークスの王貞治球団会長や、ヤクルトなどで活躍された古田敦也さんといった球界のレジェンドたちも提唱しており、ここ数年で議論が活発になっています。
もし実現すれば、単にチームが増えるだけではありません。リーグの形も変わる可能性があります。例えば、現在のアメリカのメジャーリーグ(MLB)のように、「2リーグ制」から「4地区制」(例:東・西・南・北など)へ再編されるといった、大きな変革も視野に入れられています。
なぜ今、この話が盛り上がっているの?
「でも、どうして今になって球団を増やすなんて話が出てくるの?」
良い質問ですね。その背景には、今のプロ野球が抱えるいくつかの課題と、未来への期待が入り混じっています。
- 野球ファンのすそ野を広げたい!:プロ野球チームがない地域に新球団を作ることで、新たなファンを開拓し、野球界全体を盛り上げたいという狙いがあります。
- 野球をする子供を増やしたい!:後ほど詳しく触れますが、少年野球の競技人口は深刻なレベルで減少しています。プロ野球が盛り上がることで、子供たちに夢を与え、野球を始めるきっかけを作りたいのです。
- クライマックスシリーズ(CS)の問題:今の制度だと、リーグ3位のチームが日本シリーズに出場できることがあります。これに違和感を持つファンも少なくなく、地区制度などを導入して、より公平で分かりやすい仕組みにしたいという考えもあります。
そして、この構想の実現に向けた布石とも言える動きが、すでに始まっています。2024年から、1軍を持たない「オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」と「くふうハヤテベンチャーズ静岡」の2球団が、ファーム・リーグ(2軍戦)に新規参加しました。これは、将来的な16球団化への大きな一歩として、非常に注目されているんです。
実現への「夢」と「現実」~乗り越えるべきカベ~
もちろん、こんなに大きな話が簡単に進むわけではありません。実現には、たくさんの高い壁(カベ)を乗り越える必要があります。
- お金の問題:球団を1つ運営するには、年間で数十億円ものお金がかかると言われています。それだけの投資ができる企業を見つけるのが最大の課題です。
- 選手のレベル:球団が増えれば、その分選手も必要になります。「全体のレベルが下がってしまうのでは?」という「戦力の希薄化」を心配する声もあります。
- 既存球団との調整:新しい球団が入ってくることについて、今の12球団すべての合意を得る必要があります。ドラフト会議のルールや、利益の分配など、決めるべきことは山積みです。
このように、夢は大きいですが、現実は甘くない。それでも、多くの人がこの構想に未来を感じ、議論を続けているのです。
もし実現したら?新球団はどこにできる?候補地をのぞいてみよう!

「じゃあ、もし本当に球団が増えるとしたら、どこにできるんだろう?」
お子さんとこんな会話ができたら、ワクワクしますよね。現在、いくつかの地域が新球団の本拠地として有力視されています。それぞれの地域の「強み」と「課題」を、親子で予想しながら見てみましょう。
候補地 | 主な本拠地スタジアム(候補) | 人口規模(概算) | パパ目線の注目ポイント(強み) | ちょっと心配な点(課題) |
静岡県 | 静岡草薙球場 | 約360万人 | 東京からも名古屋からも近い!人口も多くてファンが集まりそう。 | 他の地域に比べると、熱狂的な野球ファンが少ないかも?という声も。 |
新潟県 | HARD OFF ECOスタジアム新潟 | 約220万人 | スタジアムが新しくてキレイ!すでにファームのチームがあって盛り上がってる! | 冬は雪が多いのがネック。大都市からのアクセスが少し大変かも。 |
四国(愛媛県) | 松山坊っちゃんスタジアム | 約130万人(愛媛県) | 野球熱がものすごく高い!「野球どころ」としての歴史とプライドがある。 | 人口や経済規模が少し小さい。4県でどう支えるかという課題も。 |
沖縄県 | 沖縄セルラースタジアム那覇 | 約150万人 | 春のキャンプ地としておなじみ。独特の野球文化があってファンが熱い! | 本土から遠い…。選手たちの移動の負担や費用がかなり大きくなりそう。 |
その他 | 北信越、京都、宇都宮、熊本など | – | まだまだ隠れた候補地がたくさん!あなたの街にもできるかも? | – |
こうして見ると、どの地域にも一長一短がありますね。でも、もし自分の住む街や、おじいちゃんおばあちゃんの家に近い場所にプロ野球チームができたら…と想像するだけで、夢が広がりませんか?
少年野球の未来が変わる!16球団時代がもたらす5つの「夢」
さて、ここからが本題です。この「16球団構想」が、僕たち少年野球に関わる親子にとって、どんな「良いこと」をもたらしてくれる可能性があるのか。具体的な5つの「夢」を見ていきましょう。
① プロへの扉が広がる!息子の夢がもっと身近に
最も分かりやすいメリットは、「プロ野球選手になれるチャンスが増える」ということです。
プロ野球の1軍・2軍に登録できる「支配下選手」の枠は、1球団あたり70名です。単純に計算すると…
70人 × 4球団 = 280人
なんと、今よりも280人も多くの選手がプロ野球選手になれる可能性があるんです。育成選手なども含めれば、その数はさらに増えます。
これは、今、白球を追いかけている息子さんたちにとって、「プロ野球選手」という夢が、手の届かない憧れから、より現実的な目標になることを意味します。「もしかしたら、僕も…」そう思える子供が一人でも増えることは、計り知れない価値がありますよね。
② 地元にヒーロー誕生!”ぼくらの球団”がやってくる
東北に楽天イーグルスが、北海道に日本ハムファイターズが誕生したとき、その地域に何が起こったか。地元の子供たちは、自分たちの街のチームを応援し、スタジアムで躍動する選手を「身近なヒーロー」として憧れの目で見るようになりました。
同じことが、新しい球団ができる地域でも起こります。
これまでテレビの中でしか見られなかったプロ野球が、自転車で行ける距離のスタジアムで観戦できる。学校のイベントに選手が来てくれる。そんな「ぼくらの球団」の存在は、地域の野球熱を爆発的に高める起爆剤になります。
息子さんが、地元のスター選手にサインをもらって、目を輝かせる日が来るかもしれません。
③ 野球環境がレベルアップ!プロ仕様のグラウンドで練習できるかも?
新球団の誕生は、野球をする「環境」そのものを劇的に向上させます。
新しいスタジアムやファーム(2軍)の練習施設が建設・改修されれば、地域の野球インフラは一気にレベルアップします。そして、その恩恵はプロ選手だけのものではありません。
- プロが使うグラウンドで、少年野球チーム向けの野球教室が開かれる
- 元プロ野球選手が、地域の指導者として子供たちを教えてくれる機会が増える
- トレーニング施設などが、地域住民にも開放される
こんな未来が考えられます。最高の環境で野球ができる喜びは、子供たちのモチベーションをさらに高めてくれるはずです。
④ 選手だけじゃない!野球に関わる仕事の多様化
野球で輝ける場所は、グラウンドの中だけではありません。16球団時代は、子供たちにそのことを教えてくれる絶好の機会です。
監督やコーチはもちろんですが、チームを支えるためには、
- 相手チームのデータを分析する「データアナリスト」
- 選手の体をケアする「トレーナー」や「栄養士」
- ファンを楽しませるイベントを企画する「球団職員」
- グッズをデザインする「デザイナー」
など、本当にたくさんの専門職が必要です。球団が増えれば、こうした「裏方のプロ」の活躍の場も広がります。
「野球は好きだけど、選手になるのは難しいかも…」と感じている子も、野球を通じて社会に貢献できる道がたくさんあることを知れば、新たな目標を見つけられるかもしれません。
⑤ 指導が変わる!「楽しむ野球」が当たり前に?
今、少年野球の指導現場は大きな変化の時を迎えています。16球団構想は、その変化をさらに加速させる可能性があります。
各球団が運営する「ベースボールアカデミー」などを通じて、スポーツ科学に基づいた最新の指導法や、ケガを予防するための知識が、地域の指導者へと普及していくことが期待されます。
また、甲子園を沸かせた慶應義塾高校の「エンジョイ・ベースボール」のように、勝利だけを追い求めるのではなく、子供たちが主体的に野球を楽しむことを大切にする考え方が、プロ野球界のトップダウンで広まるきっかけにもなるでしょう。
怒声や罵声が飛び交うグラウンドではなく、子供たちの笑顔と自主性を尊重する指導が当たり前になる。そんな未来が、少しでも早く来てほしいと願うパパさんは多いのではないでしょうか。
でも、現実は甘くない…少年野球が抱える深刻な「悩み」
ここまで夢のある話をしてきましたが、一度冷静になって、足元にある「現実」にも目を向けなければなりません。キラキラした未来の裏側で、少年野球界は今、非常に深刻な課題に直面しているからです。
「野球離れ」が止まらない…衝撃のデータ
近年のWBCでの侍ジャパンの活躍は、日本中を熱狂させました。しかし、その盛り上がりとは裏腹に、野球をする子供の数は、驚くべきスピードで減り続けているのです。
指標 | 2009年度 | 2024年度 | 備考 |
全軟連 登録チーム数 | 約14,800チーム | 8,680チーム | 15年間で約6,000チームも消滅 |
中学軟式野球部員数 | 約30.7万人(2000年) | 約14.5万人(2022年) | 22年間で半分以下に減少 |

このデータが示すのは、少子化の影響だけでは説明できない、危機的な「野球離れ」という現実です。僕たちが子供の頃には当たり前だった、公園でキャッチボールをする子供たちの姿も、めっきり見かけなくなりました。
なぜ?野球離れの3つの大きな原因
では、なぜ子供たちは野球から離れていってしまうのでしょうか。その原因は、子供たち自身にあるのではなく、僕たち大人が作り上げてしまった、古いシステムにあると言われています。
- 保護者の過度な負担
これは多くのパパさん、ママさんが痛感していることだと思います。週末は朝から晩まで練習や試合の送迎、お茶や氷を用意する「お茶当番」、グラウンドの整備や審判…。時間的にも、金銭的にも、そして精神的にも、保護者の負担が大きすぎることが、入団をためらわせる最大の要因になっています。 - 旧態依然とした指導法
いまだに一部のチームでは、勝利至上主義に根差した指導が行われています。「エンジョイ・ベースボール」とは真逆の、監督やコーチの怒声が飛び交う、ミスをすれば罰として走らせる、科学的根拠のない長時間練習…。これでは、子供たちが野球を「楽しい」と思えなくなるのも無理はありません。 - 高額な用具費
サッカーやバスケットボールなど、他のスポーツに比べて、野球はどうしても初期費用がかかります。特に最近はバットの性能が上がり、少年野球用でも1本4万円以上する高価なモデルも珍しくありません。グローブ、ユニフォーム、スパイク…と揃えていくと、家計への負担は決して小さくありません。
16球団構想がもたらす変革の波が、こうした少年野球界の根深い課題を解決する「きっかけ」になることが、今、切に願われています。
【親子で話そう】16球団構想を「最高の対話ツール」にする方法
さて、ここまで「16球団構想」という大きなテーマについて、夢と現実の両面から見てきました。
この記事で僕が一番伝えたいのは、ここからです。
この壮大なテーマを、親子で未来について語り合うための「最高の対話ツール」として使ってみませんか?ということです。
なぜ今、親子で「未来の話」をすることが大切なのか?

変化の激しい時代を生きる子供たちにとって、親から「こうしなさい」と言われるだけでは、自分の道を切り拓く力は育ちません。大切なのは、子供自身が「自分で考えて、自分で決める力」を身につけることです。
未来の話を親子ですることは、
- 子供が「自分は何が好きで、何を大切にしたいのか」を考えるきっかけになる(自己理解)
- 「パパやママは、僕の未来を一緒に考えてくれる味方なんだ」という安心感につながる(心理的安全性)
- 親の価値観を押し付けるのではなく、一緒に夢を語り合うことで、親子の信頼関係が深まる(絆の深化)
といった、数えきれないほどの良い効果があります。
対話のきっかけは「もしも…」の話から
難しく考える必要はありません。きっかけは、他愛のない「もしも…」の話でいいんです。
「もし、僕たちの街にプロ野球チームができたら、どうなると思う?」
「新しいチームの4番バッターは、どんな選手がいいかな?」
「背番号1は、誰につけてほしい?」
こんな問いかけは、子供の想像力をかき立て、未来へのワクワクする気持ちを引き出してくれます。野球の話から始まって、「どんな街になったら楽しいかな?」「どんな仕事があるんだろう?」と、話が広がっていけば大成功です。
忙しいパパでもできる!「未来対話」の3つの工夫
「そうは言っても、毎日忙しくて、ゆっくり話す時間なんて…」
分かります。だからこそ、ちょっとした工夫が大切です。
- 時間を決める:寝る前の10分間を「未来タイム」に決めてみる。短い時間でも、習慣にすることが大事です。
- 場所を変える:食卓やリビングだけでなく、お風呂の中や、練習に向かう車の中も絶好の対話の場です。
- 聞き役に徹する:「将来何になりたいの?」と直接的に聞くのではなく、「今、一番楽しいことは?」「もし魔法が使えたら何をする?」といった質問で、子供の話したいことを引き出してあげましょう。
親子で作る「未来年表」で夢をカタチに!
もう少しステップアップして、親子でこんな「未来年表」を作ってみるのも面白いかもしれません。
年 | 想定される野球界の出来事 | 息子と話したいこと・やりたいこと |
2026年 | プロ野球、新4球団の参加が正式決定! | 「新球団のユニフォーム、どんなデザインがいいかな?」一緒に考えてお絵かきしてみる。 |
2028年 | 地元に新スタジアムが完成! | 「オープン戦、絶対に見に行こうな!」と約束する。建設中の現場を見に行くのもいいかも。 |
2029年 | 16球団時代、ついに開幕! | 「夏休みに、新球団の試合を全部見に行く旅行プランを立ててみようか!」 |
2032年 | 息子、中学生に。 | 「どこのチームで野球をやりたい?クラブチームの体験に行ってみようか?」 |
これはあくまで一例です。お子さんの年齢や興味に合わせて、オリジナルの未来年表を作ってみてください。未来を具体的に描く作業は、夢を実現するための第一歩になります。
まとめ

プロ野球「16球団構想」は、単なる球界の大きなニュースではありません。
それは、未来の野球少年たちに新たな夢と目標を与え、野球をする環境をより良くし、そして、凝り固まった少年野球界の古い体質を変えるきっかけとなる、大きな可能性を秘めた物語です。
もちろん、実現には多くの課題があり、少年野球界が抱える問題も根深いものがあります。
しかし、最も大切なのは、この壮大な未来の物語を、僕たち親子が「共通の話題」として楽しむことです。
「もしも…」の話で想像力を膨らませ、未来年表で夢をカタチにしていく。そんな対話の時間は、野球の技術を教えること以上に、お子さんの「生きる力」を育み、何物にも代えがたい親子の絆を深めてくれるはずです。
この記事が、あなたの家庭で、未来を語る楽しい会話が生まれる、小さなきっかけになることを心から願っています。