【育成の星】阪神・石黒佑弥とは?「下剋上」を誓う遅咲きの本格派右腕
「周りの子と比べて、うちの子は才能がないのかもしれない…」
「野球未経験だから、どうサポートしていいか分からない…」
少年野球に励む息子さんを応援する中で、そんな風に悩んだことはありませんか?
この記事は、まさにそんなあなたに贈る、希望と勇気の物語です。主役は、阪神タイガースの石黒佑弥投手。ドラフト5位指名、指名漏れの悔しさを乗り越えた彼の「下剋上」ストーリーには、子供の才能を信じ抜き、どんな状況からでも道を拓くためのヒントが詰まっています。
まずは、この記事の魅力を5分間のラジオ対談でサクッと聴いてみませんか?
通勤中や家事の合間に、耳からインプットするだけで、野球未経験のパパが今日から実践できるサポート術の核心が分かります。
いかがでしたでしょうか。
音声で興味が湧いた方も、じっくり文字で理解を深めたい方も、ここから始まる彼の物語を、ぜひ一緒に追いかけていきましょう。
【育成の星】阪神・石黒佑弥とは?「下剋上」を誓う遅咲きの本格派右腕
まず、我々が希望と勇気をもらうべき「育成の星」、石黒佑弥(いしぐろ ゆうや)選手についてご紹介します。彼は2001年6月20日生まれ、愛知県江南市出身。身長180cm、体重85kgの恵まれた体格から最速152km/hのストレートを投げ込む本格派右腕です。
彼の球歴は、星城高等学校、社会人野球のJR西日本を経て、2023年のドラフト会議で阪神タイガースから5位指名を受け、念願のプロ入りを果たしました。
特筆すべきは、プロでも一流レベルと評されるボールの回転数。スピンの効いたストレートは彼の最大の武器です。
しかし、彼の道のりは決してエリート街道ではありませんでした。社会人時代の2022年には指名漏れという悔しさも味わっています。この経験こそが、彼の「下剋上」への強い決意を育んだのです。
「野球の舞台は平等だと思う。あとは実力の世界なので、自分の力をつけて頑張っていこうかなと思っています」
ドラフト後にこう語った彼の言葉には、ドラフト順位に関係なく実力で這い上がってみせるという、静かに燃える闘志が感じられます。この「七転び八起き」を座右の銘とする不屈の精神こそ、私たちが学ぶべき第一のポイントなのです。
少年時代にこそ原点アリ!親子で歩んだ「七転び八起き」の道のり

なぜ石黒選手は、指名漏れの悔しさを乗り越え、プロの世界で挑戦を続けられるのでしょうか。その答えは、彼の少年時代、特に親子で歩んだ日々に隠されています。野球未経験のパパにとって、ここには息子さんの才能を信じ、共に成長していくための宝石のようなヒントが詰まっています。
兄の背中を追って始まった野球人生
石黒選手の野球との出会いは、ごくありふれた、しかし愛情あふれる家庭の風景から始まります。小学1年生の時、2学年上の兄・雅季さんが野球を始めたのをきっかけに、「僕もやりたい」と地元の少年団の門を叩きました。
ここで最初の教訓があります。子供の「やりたい」という気持ちは、理屈ではなく、身近な憧れから芽生えることが多いのです。 親として、その純粋な好奇心の芽を決して摘んではいけません。母・和恵さんは「反抗期もなく、穏やかな優しい性格で、お兄ちゃんともけんかをしなかった」と当時を振り返ります。 兄弟が同じ目標に向かう環境は、子供にとって最高の刺激になるのかもしれません。
捕手経験が育んだ「投手の気持ちがわかる」という財産
意外なことに、石黒選手が最初に任されたポジションはキャッチャー(捕手)でした。 指導者の松岡好信さんは、その意図を「捕手をやると投手の気持ちも分かる。勉強しろという思い」だったと語っています。
これは非常に示唆に富んでいます。野球は9つのポジションが連携して初めて成り立つスポーツです。投手というポジションは華やかで誰もが憧れますが、その投球を受ける捕手の視点、打球を処理する野手の視点を経験することは、野球というゲーム全体を深く理解するために不可欠です。
野球未経験のパパは、子供に特定のポジションを強制するのではなく、様々なポジションを経験させることの重要性をチームの指導者と共有すると良いでしょう。この捕手としての経験が、後に投手・石黒佑弥の大きな財産となったことは間違いないのです。
父と続けた毎日の練習が、揺るがぬ土台を築く
石黒選手の成長物語において、父・貴由さんの存在は絶対に欠かせません。特筆すべきは、野球経験者ではなかった貴由さんが、息子との「毎日の練習」を日課にしていたことです。
学校から帰宅すると、親子は再び近所の学校のグラウンドへ向かい、日が暮れるまでトスバッティングやノックに明け暮れたと言います。 このエピソードは、野球未経験の父親たちに大きな勇気を与えてくれます。専門的な技術指導ができなくても、子供の「やりたい」に付き合い、ボールを投げてあげる、ボールを拾ってあげる、そんな献身的なサポートこそが、子供の揺るぎない土台を築くのです。 まさにこの地道な反復練習こそ、後のプロ野球選手・石黒佑弥の原点なのです。
怪我を乗り越えた中学時代「投げられなくてもできること」
宮田中学校の軟式野球部に入部した石黒選手を、最初の試練が襲います。 2年生で本格的に投手に転向した矢先、右肘を痛め、医師から約1ヶ月間のノースロー(投球禁止)を宣告されてしまったのです。
多くの子供がここで腐ってしまうかもしれません。しかし、石黒少年は違いました。「投げられないときは外野を守っていました。近くまでいって下から投げたり、いろいろ考えてやっていました」と母親は語ります。
ここに、私たちが学ぶべき「克己心」の育て方のヒントがあります。それは、「できないこと」に嘆くのではなく、「今できること」に全力で取り組む姿勢です。 投げられないなら、走塁技術を磨く、守備範囲を広げるためのフットワークを鍛える、相手打者の観察眼を養うなど、できることは無限にあります。この逆境の中での創意工夫こそが、彼の精神的な強さを育んだのです。
大舞台での覚醒と指名漏れの挫折、そして「下剋上」へ
星城高校では1年生からマウンドを経験し、着実に実力をつけていきました。 そして高校3年の夏、彼の名は一気に全国区になります。愛知大会で、春のセンバツ王者・東邦高校と対戦。相手の4番は、後に中日ドラゴンズへ入団する石川昂弥選手でした。 この大一番で先発した石黒選手は、8回3失点の好投を見せ、さらに打者としても石川選手から3ランホームランを放つという圧巻の活躍で、チームを勝利に導きました。
この大舞台での活躍は、決して偶然ではありません。父と続けた日々の練習、怪我を乗り越えた精神力、それらが結実した瞬間だったのです。
しかし、彼の物語はここからさらに深みを増します。JR西日本に進み、ドラフト解禁年となった2022年、彼は指名漏れの悔しさを味わいます。 だが、田村監督が「心配する必要は一切なかった」と語るように、彼は決して下を向かず、黙々と練習に励みました。
そして翌年、阪神タイガースから5位指名。 まさに座右の銘「七転び八起き」を体現した瞬間でした。
親子で実践!「石黒流」才能を信じ抜くための超具体的な練習メニュー

石黒選手の物語から学べるのは、精神論だけではありません。彼が少年時代から積み上げてきた練習には、野球未経験のパパでも親子で実践できる、才能開花のヒントが満載です。ここでは、明日からすぐに始められる具体的な練習メニューを、徹底的に解説します。
1.【投手編】コントロールは全ての基本!自宅でできる「的当て」練習
ピッチャーにとって最も重要な能力は、速い球を投げることよりも、狙ったところに投げられる「コントロール」です。石黒選手もコントロールを非常に重視していました。
ステップ1:壁に「9分割ストライクゾーン」を作ろう
- 準備するもの: ビニールテープ(養生テープなど壁を傷つけないもの)、メジャー
- 作り方:
- まず、子供の身長に合わせて、ストライクゾーン(膝から胸のあたり)の高さを決めます。
- ホームベースの幅(約43cm)で、壁に四角い枠を作ります。
- その枠を、縦横3分割になるようにテープで線を引き、9つのマス目を作ります。これが「9分割ストライクゾーン」です。
ステップ2:距離を変えながらゲーム形式で挑戦!
- 練習方法:
- 5mチャレンジ: まずは5mの距離から、9つのマス目を順番に狙って投げます。「真ん中高め!」「アウトロー!」など、パパがコースを指示してあげるのも効果的です。
- 10mビンゴ: 10mに距離を伸ばし、9つのマスを使ったビンゴゲームをします。親子で対戦形式にすると、楽しみながら集中力が高まります。
- 課題クリア: 「アウトローに3球連続で当てる」など、毎回具体的な目標を設定し、クリアできたら思いっきり褒めてあげましょう。 この小さな成功体験の積み重ねが、大きな自信に繋がります。
2.【打撃編】父との原風景を再現!「トスバッティング」完全マニュアル
石黒親子が毎日続けたトスバッティングは、バッティングの基本を体に染み込ませる最高の練習です。 野球未経験パパでも、これなら最高のパートナーになれます。
トスを上げる際の超重要ポイント
- 投げる場所: 子供の斜め前(利き腕側)から、山なりのボールを、子供の腰の高さあたりに優しく投げてあげます。
- ボール: 柔らかいテニスボールや、穴あきの練習ボールなら、安全で自宅近くでも練習できます。
- 声かけ: 「いくよー」「はいっ!」など、タイミングを合わせるための声かけを忘れずに。
子供が意識すべき3つのポイント
- ボールをよく見る: 当たる瞬間までボールから目を離さない。これは基本中の基本です。
- 体の軸で回る: 手だけで振るのではなく、おへそを中心に体を回転させるイメージを伝えます。「コマみたいに回ってみよう」と、分かりやすい言葉で説明してあげましょう。
- 最後まで振り切る: 中途半端なスイングはNG。当たっても当たらなくても、フィニッシュまでしっかりバットを振り切る習慣をつけさせます。
3.【継続こそ力】練習を「イベント」に変える魔法の工夫
どんなに良い練習も、続かなければ意味がありません。特に子供は飽きやすいもの。そこで、練習を「やらされるもの」から「やりたいイベント」に変える工夫が重要です。
わくわくボールハント
参考記事でも紹介されている、遊びと練習を融合させた素晴らしいアイデアです。
- やり方:
- 公園などの広い場所で、パパがボールをいくつか隠します。
- 「よーいドン!」の合図で、子供がボールを探しに行きます。
- ボールを見つけたら、指定したベース(木の根っこなどでもOK)に向かって走り、ベースを踏んでからパパに送球します。
- 得られる効果: 楽しみながら、走塁、判断力、送球の正確性を同時に鍛えることができます。
成長の見える化
- 練習ノート: 簡単なもので構いません。「素振り30回できた」「的当てで5回当たった」など、その日の練習内容と成果を記録します。
- 動画撮影: スマホで子供のスイングや投球フォームを撮影し、親子で一緒に見返してみましょう。「前回より腕が振れてるね!」など、具体的な成長ポイントを見つけて褒めてあげると、子供のモチベーションは爆発的に上がります。
野球未経験パパの「オンリーワン」サポート術:技術指導ゼロで息子を伸ばす方法

「野球経験がないから、何も教えられない…」そう思っているパパ、それは大きな間違いです。石黒選手の父・貴由さんのように、あなたのサポートこそが子供の才能を伸ばす鍵なのです。
「教える」から「共に学び、気づく」パートナーへ
未経験であることは、弱みではなく、最強の武器になり得ます。
- 一緒にルールを学ぶ: 少年野球のルールブックを一緒に読んだり、プロ野球中継を見ながら「今のプレーはどうしてアウトなの?」と子供に質問したりしてみましょう。子供は得意げに説明してくれるはずです。これは子供の理解度を深めると同時に、自己肯定感を高める絶好の機会です。
- プロの技術を一緒に研究: YouTubeなどでプロ野球選手のスーパープレー集や技術解説動画を一緒に見て、「すごいね!」「どうしてこんなボールが投げられるんだろう?」と感動を共有しましょう。 パパが示す知的な好奇心は、子供の探究心を刺激します。
結果でなく「プロセス」を褒める魔法の声かけ術
子供を伸ばす親と、潰してしまう親の決定的な違いは「褒め方」にあります。
- NGな褒め方: 「ヒットを打ってすごい!」「勝てて偉い!」(結果だけを評価している)
- OKな褒め方:
- 「あの難しいボールに食らいついて、よくファールで粘ったね!」(結果はアウトでも、粘りを評価)
- 「エラーはしたけど、最後までボールを諦めずに追いかけた姿がカッコよかったよ!」(失敗の中にある良いプレーを評価)
- 「試合には負けたけど、練習でやった声出しが一番できていたね!」(目標としていたプロセスを評価)
結果は相手や運にも左右されますが、努力や挑戦というプロセスは嘘をつきません。 親がそのプロセスに注目し、具体的に褒めてあげることで、子供は失敗を恐れずに挑戦する勇気を持つことができるのです。
最高のサポーターになるための環境づくり
技術指導ができない分、パパは最高の「環境づくり」プロデューサーになりましょう。
- 体調管理: 石黒選手がプロ入り後にサプリメントを取り入れるなど、自己管理に目覚めたように、まずは基本となる食事と睡眠が大切です。 栄養バランスの取れた食事を用意したり、「明日の試合のために早く寝よう」と声をかけたりするのは、最高のサポートです。
- 道具のメンテナンス: グローブの油を一緒に塗ったり、スパイクの泥を落としたり。道具を大切にする心は、野球を愛する心に繋がります。
- 安全な練習場所の確保: キャッチボールができる公園を探したり、時にはバッティングセンターに連れて行ってあげたり。子供が野球に打ち込める時間を最大限作ってあげることが、パパの重要な役割です。
伸び悩む我が子へ。石黒佑弥の物語が教えてくれる、遅咲きの希望
今、あなたの息子さんが補欠だったり、スランプに陥っていたりしても、決して悲観する必要はありません。石黒選手の物語は、「成長のタイミングは人それぞれ」という、育成における最も重要な真実を私たちに教えてくれます。
「今は雌伏の時」遅咲きの才能を信じ続ける
石黒選手が本格的に注目を浴び始めたのは高校3年の夏、プロ入りは社会人を経てからでした。 小中学生時代に突出した存在ではなかった彼が、今やプロの世界で戦っています。 これは、今の実力が全てではないという何よりの証明です。
子供の成長曲線は一直線ではありません。グッと伸びる時期もあれば、停滞する時期もあります。大切なのは、他の子と比較せず、我が子のペースを信じて、長期的な視点で見守ることです。 石黒選手の座右の銘「ちりも積もれば山となる」を、ぜひ親子で共有してください。
専門家も認める「武器」と2025年への期待
石黒選手は、決して勢いだけでプロになったわけではありません。元阪神投手コーチの福原忍氏が「高めでも空振りが取れる、スピンの効いた良い真っすぐを投げる投手」と評するように、彼には明確な武器があります。 2024年シーズンはルーキーながらファームで40試合に登板、チームトップの10セーブを記録するなど、着実に結果を残しています。
2025年シーズンに向けて、彼は「開幕一軍入り」という高い目標を掲げています。 専門家からは一軍で40試合登板も期待されるなど、そのポテンシャルは高く評価されています。 指名漏れの悔しさをバネに、今まさに彼は「下剋上」ストーリーの階段を駆け上がっているのです。
まとめ:諦めない心と、親子の絆。それこそが「下剋上」への唯一の道
阪神・石黒佑弥選手の物語は、単なる一人のプロ野球選手のサクセスストーリーではありません。それは、今まさに少年野球で頑張る全ての親子に向けられた、希望と勇気の教科書です。
彼の軌跡から私たちが学ぶべきことは、数えきれません。
- 継続する力: 野球未経験の父親と毎日続けた練習が、彼の土台を作りました。
- 諦めない心: 怪我や指名漏れという逆境を、「今できること」に集中して乗り越えました。
- 信じる力: 周囲の評価に惑わされず、自らの可能性を信じ続けました。
- 親子の絆: 技術指導以上に、父親の献身的なサポートが彼の心を支えました。
もし、あなたの息子さんが「自分は下手だから…」と自信をなくしていたら、ぜひ石黒選手の話をしてみてください。もし、あなたが野球未経験で「何もしてあげられない…」と悩んでいるのなら、彼の父親の話を思い出してください。
特別な才能は必要ありません。必要なのは、親子で同じ夢を見て、一歩ずつでも前に進もうとする意志です。今日からできるキャッチボール、今日からできる声かけ。その小さな一歩の積み重ねが、いつか誰もが驚くような「下剋上」への道に繋がっているのですから。