【イチロー金言】「プロが目標はダメ」を少年野球でどう実践する?デジタルネイティブ世代の親子目標設定術
【イチロー金言】「プロが目標はダメ」を少年野球でどう実践する?デジタルネイティブ世代の親子目標設定術
「パパ、イチローさんが言ってたこと、どう思う?」
夕食の席で、スマホでニュースを見ていた小学5年生の息子に突然聞かれました。
画面には、先日、イチロー氏が高校野球の指導で放った「目標がプロとか駄目」という衝撃的な見出しが踊っていました。
正直、私は言葉に詰まりました。
私たち昭和世代の野球少年(そしてその親たち)にとって、「将来の夢はプロ野球選手!」と大きな声で宣言することこそが、野球を始める原動力であり、美徳だと教わってきたからです。
「え、でも…プロを目指して頑張るのが一番じゃないのか?」
思わずそう返しそうになって、飲み込みました。息子の目は、どこか私たちが子供の頃とは違う、冷静で澄んだ光を宿していたからです。
「プロ野球選手になること」は、夢のゴールなのか、それとも単なる通過点なのか。
この問いは、少年野球に関わるすべての親にとって、避けては通れない重たいテーマです。
イチロー氏の言葉は、単なるエリート教育論ではありません。それは、情報過多な現代を生きる「デジタルネイティブ世代」の子供たちと、私たち「昭和世代」の親が、どうやって野球を通じて対話し、未来を描いていくかという、子育ての核心を突く問いかけなのです。
この記事では、イチロー氏の金言をきっかけに、野球未経験のパパが我が子とどう「目標」を再設定し、成長をサポートしていくべきかを、徹底的に深掘りします。
単なる精神論ではありません。現代の子供たちの感覚(OS)を理解し、親子で使える「目標設定シート」の実践法まで、明日から使える具体的なノウハウをお届けします。
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「読む時間がない」「通勤中にサクッと内容を知りたい」という方は、まずはこちらの音声をお聴きください。野球パパ仲間がグラウンドで話しているような雰囲気で、記事のエッセンスを分かりやすく解説しています。(再生時間:約10分)
この記事を読み終えたとき、きっとお子さんとの会話が少し変わっているはずです。ぜひ、最後までお付き合いください。
衝撃のニュース!イチロー氏が高校生に放った「プロは目標じゃない」の真意とは?
(以下、本文続く)
衝撃のニュース!イチロー氏が高校生に放った「プロは目標じゃない」の真意とは?

まずは、話題の発端となったニュースを整理しましょう。
ことの起こりは2025年のオフシーズン、イチロー氏が明治神宮大会覇者である九州国際大学付属高校(福岡)を訪れ、指導を行った際の一幕でした。
九州国際大付高での指導で飛び出した「金言」を振り返る
スポーツ報知などの報道によると、イチロー氏はドラフト候補として注目される選手たちに対し、こう語りかけたといいます。
「目標がプロとか駄目。プロに入ることは前提で過ごさないと」
この言葉、文字面だけを見ると「プロになるなんて当たり前だと思え」という、天才ならではの厳しい要求に聞こえるかもしれません。しかし、文脈を紐解くと、もっと深い、人生哲学とも言えるメッセージが見えてきます。
イチロー氏は常々、「準備」の大切さを説いてきました。
「プロになること」をゴール(最終目標)にしてしまうと、いざプロに入った瞬間に燃え尽きてしまったり、プロという厳しい世界で生き抜くための準備がおろそかになったりする。だからこそ、「プロの世界でどうありたいか」「野球を通じてどんな人間になりたいか」という、もっと先の景色を見据えて今日を過ごしなさい、という教えなのです。
これは、高校生だけでなく、少年野球の現場にいる私たち親にも強烈に刺さります。
私たちはつい、「甲子園に行ってほしい」「プロになってほしい」と、わかりやすい「結果」を子供に期待してしまいます。しかし、イチロー氏はその「結果」すらも、長い人生のほんの一部に過ぎないと示唆しているのです。
「プロ野球選手=宝くじの1等賞」という現実と子供の夢
冷静に数字を見てみましょう。
全日本軟式野球連盟(JSBB)や各種統計によると、日本の小学生の競技人口は減少傾向にあるとはいえ、依然として数十万人の野球少年がいます。その中で、毎年プロ野球(NPB)に入団できるのは、育成選手を含めてもわずか100人強。
確率にすれば、「宝くじで1等賞を当てる」ようなものです。まさにピラミッドの頂点中の頂点。
野球未経験のパパである私から見ても、それは途方もない確率であり、奇跡に近い出来事です。
「そんな狭き門を、人生の唯一のゴールに設定させていいのだろうか?」
親なら誰しも、一度はそう不安に思うはずです。
もし、プロになれなかったら? 怪我で野球を諦めることになったら?
その時、子供の人生は「失敗」になってしまうのでしょうか。そんなはずはありません。
イチロー氏の言葉は、この「プロになれなかったら失敗」という残酷な二元論から、子供たちを解放するメッセージでもあるように感じます。
人生80年時代、プロ生活はあくまで「通過点」であるという視点
仮に、運良くプロ野球選手になれたとしましょう。
しかし、プロ野球選手の平均引退年齢は20代後半と言われています。人生80年、いや100年時代と言われる現代において、プロ野球選手として過ごす時間は、人生全体のほんの数パーセントに過ぎません。
イチロー氏のように40代、50代まで現役を続ける選手は稀有な存在です。
多くの選手にとって、ユニフォームを脱いだ後の人生の方が圧倒的に長いのです。
そう考えると、「プロ野球選手になること」は、確かに人生の壮大な旅路における「通過点」でしかありません。
その通過点を通り過ぎた後、あるいはその通過点を通らなかったとしても、彼らの人生は続きます。
イチロー氏が言いたかったのは、
「プロになるのは大変なことだ。でも、それを人生のゴールにするな。もっと遠く、自分の人生全体をどうデザインするかという視点を持て」
ということだったのではないでしょうか。
この視座の高さこそが、イチロー氏が日米通算4367安打という偉業を成し遂げ、引退後もなお輝き続けている理由なのかもしれません。
昭和パパの葛藤…「わかりやすい目標」と「本質的な成長」の狭間で
イチロー氏の言うことは、頭ではわかります。
論理的に考えれば、おっしゃる通りです。
しかし、私の心の中には、どうしても拭いきれない「昭和パパとしての葛藤」があります。
子供の原動力としての「プロになりたい!」は否定すべきか?
私たち昭和世代(そして平成初期世代)は、漫画『巨人の星』や『キャプテン』、あるいは『スラムダンク』のような、「高い目標に向かって血反吐を吐くほど努力し、栄光を掴む」物語に胸を熱くしてきました。
子供にとって、「プロ野球選手になりたい!」という目標は、とてつもなくクリアで、明確で、キャッチーな夢です。
キラキラした目で「僕、大谷翔平選手みたいになる!」とバットを振る息子。その純粋なエネルギーは、何物にも代えがたい爆発力を持っています。
「プロは目標じゃないよ、通過点だよ」
そんな正論を、まだ漢字もろくに読めない低学年の子供に説くことは、彼らの情熱に水を差すことにならないでしょうか?
「夢はでっかくプロ野球選手!」
そう言わせてあげたいし、その夢に向かってガムシャラに走る姿を見たい。それが親心というものではないでしょうか。
イチロー氏の言葉は、あまりにもレベルが高すぎて、大人が求める理想論と、子供の等身大の現実がかけ離れてしまっているのではないか。そんな懸念が、どうしても頭をよぎるのです。
従来の「努力とプロセス」重視論と、現代に求められる思考法
私たち大人は、子供にこう期待します。
「高い目標(プロ)を掲げて、そこに至るまでの努力とプロセスを大切にしてほしい」
結果としてプロになれなくてもいい。その目標に向かって毎日素振りをし、チームメイトと協力し、挫折を乗り越えた経験こそが、大人になった時の財産になる。いわゆる「甲子園を目指すこと自体に意義がある」という考え方です。
これは決して間違いではありません。
しかし、イチロー氏の提言は、この「努力至上主義」にも一石を投じているように思えます。
「プロになること」をゴールにしてしまうと、努力の方向性が「プロになるための手段(技術習得や勝利)」に偏りすぎてしまう恐れがある。
もし、「プロは通過点」と捉えるなら、「野球というスポーツを通じて、自分はどういう人間性を磨くか」「社会に対してどう貢献できるか」という、もっと広義のスキルや思考法を身につける必要が出てきます。
従来の「ひたすら汗をかいて頑張る」スタイルだけでは、この変化の激しい現代社会、そしてイチロー氏の言う「プロの先」にある世界では通用しないのかもしれません。
昭和世代の親が陥りがちな「ゴール設定」の落とし穴
私自身の失敗談をお話ししましょう。
息子が野球を始めた当初、私は彼に「チームでレギュラーになる」という目標を立てさせました。
毎朝一緒に素振りをし、キャッチボールをし、まさに「昭和のスポ根親父」を地で行っていました。
しかし、ある日息子がこう言ったのです。
「パパ、レギュラーになれなかったら、僕はダメなやつなの?」
ハッとしました。
私は「レギュラーになること」をゴールに設定しすぎてしまい、息子に「達成できなければ失敗」というプレッシャーを与えてしまっていたのです。
レギュラーはあくまで、監督が決めること。他人の評価です。自分でコントロールできないことを「絶対的なゴール」にしてしまう危うさを痛感しました。
イチロー氏の「プロは目標じゃない」という言葉は、この「評価(結果)をゴールにするな、自分の在り方を軸にせよ」という戒めにも聞こえます。
私たちは、子供にわかりやすいゴールを与えたがります。
「100点取ったら偉い」「優勝したらすごい」。
でも、それは時に子供の視野を狭め、本来持っている可能性の芽を摘んでしまっているのかもしれません。
デジタルネイティブの衝撃!現代っ子は「プロの先」を無意識に見ている?
ここで視点をガラリと変えてみましょう。
私たち親が「昭和の価値観」で葛藤している間に、子供たちはどうなっているのでしょうか。
実は、彼ら「デジタルネイティブ世代」は、私たちが思っている以上に進化しています。
スマホ・SNS世代の情報量は、親の想像を遥かに超えている
今の小学生は、生まれた時からスマホがあり、YouTubeやSNSが当たり前の環境で育っています。
野球に関しても、彼らの情報収集能力は凄まじいものがあります。
- YouTubeでメジャーリーガーの最新トレーニング理論を検索して見る。
- SNSでプロ野球選手のプライベートや、引退後のセカンドキャリア(解説者、YouTuber、実業家など)を知る。
- 大谷翔平選手の通訳問題や、球団経営のビジネス的な側面までニュースで目にする。
私が子供の頃は、プロ野球選手といえばテレビの中のスーパーヒーローで、その生活や裏側は謎に包まれていました。
しかし、今の子供たちは、プロ野球選手という職業の「リアル」を、驚くほど解像度高く知っています。
彼らは知っているのです。
プロになっても活躍できるのは一握りであること。
引退してからの人生が長いこと。
野球が上手いだけでは社会で通用しないこと。
「大人びて生意気」?いや、彼らの視点はすでにスケールアップしている
「最近の子は冷めている」「夢がない」なんて言う大人もいますが、私はそうは思いません。
彼らは冷めているのではなく、「俯瞰(ふかん)」しているのです。
息子と話していると、ドキッとさせられることがあります。
「大谷選手はすごいけど、僕はあんな風に英語も話せるようになりたいし、野球のデータ分析の仕事も面白そうだな」
なんと、彼は「プレイヤーとしての成功」だけでなく、語学やアナリティクスといった周辺スキルにまで興味を持っていたのです。
これは、私たち昭和世代が中高生、あるいは大学生になってようやく気づくような視点です。それを小学生が当たり前のように持っている。
彼らにとって、人生の選択肢は「プロ野球選手か、それ以外か」ではありません。
世界はもっと広く、つながっていて、野球はその中の一つであり、かつ世界への入り口でもある。
そんな感覚を、肌で感じ取っているように見えます。
イチロー氏の言葉が「現実味」を帯びて響く、今の子供たちのポテンシャル
そう考えると、イチロー氏の「プロは通過点」という言葉は、実は大人よりも子供たちの方が、すんなりと受け入れられる素地を持っているのかもしれません。
私たち親が「そんな難しいこと、子供にわかるわけない」と決めつけているだけで、子供たちはすでに、イチロー氏が語るような「人生のスケール感」を無意識に共有している可能性があるのです。
「プロ野球選手になりたい!」と口では言いながら、心のどこかで「でも、それだけが人生じゃないよね」とわかっている。
これは決して夢を諦めているわけではなく、夢をより現実的かつ多層的に捉えている証拠です。
私たち親に求められているのは、このデジタルネイティブ世代の進化した感覚(OS)を認め、受け入れることです。
「子供らしくない」と否定するのではなく、「すごいな、パパより先を見てるな」とリスペクトする姿勢。
ここから、新しい時代の親子関係と目標設定が始まります。
「プロになりたい」の因数分解!親子で話し合うべき3つの「本質」

では、具体的にどうやって子供と目標を立てればいいのでしょうか?
イチロー氏の教えと、デジタルネイティブな子供たちの感覚を融合させるために、私は「プロになりたい」という言葉を因数分解することを提案します。
ただ漠然と「プロ野球選手」を目指すのではなく、その中身を3つの「本質」に分けて話し合うのです。
ビジネスの自己分析でも使われるフレームワークですが、これを少年野球に応用します。
【Like】本当に「好き」なのは野球のどの瞬間か?を掘り下げる
まず一つ目は「好き(Like)」です。
「野球が好き」と一言で言っても、その中身は子供によって千差万別です。
- バットでボールを遠くに飛ばす「感触」が好き?
- 難しいゴロを華麗にさばく「動き」が好き?
- みんなで作戦を考えて勝つ「チームワーク」が好き?
- データを見て相手の配球を読む「分析」が好き?
ここを掘り下げることで、子供の「情熱の源泉」が見えてきます。
もし「分析」が好きなら、将来はプロ選手だけでなく、データアナリストやスコアラーという道もあるかもしれません。
「チームワーク」が好きなら、キャプテンや指導者、あるいは会社経営者に向いているかもしれません。
「プロ野球選手になって、どんなプレーをしている時が一番楽しそう?」
そんな問いかけから、子供の「好き」の解像度を上げていきましょう。
【Good at】自分は何が「得意」で、誰の役に立てるのか?
二つ目は「得意(Good at)」です。
これは単に「足が速い」「肩が強い」といった身体能力だけではありません。
- ピンチでも動じない「メンタルの強さ」
- 地味な練習もコツコツ続けられる「継続力」
- 負けている時に声を出し続けられる「励ます力」
- 道具を誰よりも大切にする「几帳面さ」
これらはすべて、立派な才能であり「得意」です。
そして重要なのは、「その得意なことで、チーム(誰か)の役に立っているか」という視点です。
イチロー氏も、ヒットを打つという「得意」を通じて、チームを勝利に導き、ファンを喜ばせました。
「君のその『声出し』の才能は、チームが苦しい時にすごく役に立っているよ」
そう親が認めてあげることで、子供は自分の役割に自信を持ち、プロという目標がより具体的な「自分の活かし方」へと変わっていきます。
【Value】一番「大事にしたいこと」は何か?(勝利、仲間、技術、楽しさ)
最後、三つ目は「価値観(Value)」です。
これが一番難しいですが、最も重要です。野球を通じて、何を大切にしたいか。
- とにかく「勝つこと」が一番?
- 上手くなる(技術向上)ことへの探求心?
- 仲間と一緒に過ごす時間?
- フェアプレー精神や礼儀?
昭和的な価値観では「勝利」や「根性」が最優先されがちでした。
しかし、現代の子供たちは「楽しむこと(Enjoy)」や「効率性」「バランス」を重視する傾向もあります。
ここで親の価値観を押し付けてはいけません。
「パパは勝つことも大事だと思うけど、〇〇くんはどう思う?」
と対等に話し合い、子供自身が大切にしたい軸を見つけさせるのです。
この「Value」が定まると、目標がブレなくなります。
たとえ試合に負けても、プロになれなくても、「自分は技術を磨くことを大切にしてきたから、この経験は無駄じゃない」と、自分を肯定できるようになるからです。
実践!明日から使える「イチロー流×現代っ子」ハイブリッド目標設定シート
ここまでの話を統合し、実際に親子で使える「ハイブリッド目標設定シート」の書き方をご紹介します。
用意するのは紙とペン、そして少しのお菓子とリラックスした時間だけです。
ステップ1:まずは「プロ野球選手」という夢を肯定して書き出す
いきなり「プロはダメ」とは言いません。まずは子供のエネルギーの源である「プロ野球選手になりたい!」という夢を、紙の真ん中に大きく書かせましょう。
そして、親はそれを全力で肯定してください。
「いいね!かっこいいね!」
ここがスタート地点です。この夢を否定せず、ここから「矢印」を伸ばしていく作業が重要です。
ステップ2:その夢の「先」にある景色を想像させる問いかけ術
次に、その「プロ野球選手」という文字の先に、さらに矢印を伸ばし、「その先(通過した後)」を想像させる問いかけをします。
- 「プロ野球選手になったら、誰を喜ばせたい?」
- 「引退した後は、どんなおじさんになっていたい?」
- 「もしプロ野球選手になれなくても、野球で覚えたことで『これだけは絶対役に立つ』って思うことは何?」
この問いかけこそが、イチロー氏の言う「プロは通過点」という思考を育てる種まきです。
子供から「うーん、世界中の子供に野球を教えたいかな」とか「お金持ちになってパパに家を買ってあげる」なんて言葉が出てきたら、しめたものです。
それは、プロという職業を超えた、その子の「人生の目的」の萌芽だからです。
ステップ3:今日からできる「好き」と「得意」を磨くアクションプラン
最後に、夢と現実をつなぐ架け橋を作ります。
先ほど話し合った【Like(好き)】と【Good at(得意)】を伸ばすために、「今日からできること」を具体的に3つ書き出します。
- 例:「分析」が好きなら → 毎試合スコアブックを見返して、配球をノートに書く。
- 例:「継続」が得意なら → 毎日お風呂上がりにストレッチを10分やる。
- 例:「人を喜ばせる」のが好きなら → エラーした仲間に一番に声をかける。
ポイントは、「素振り100回」のような根性論だけでなく、その子の特性に合わせたアクションを入れることです。
これなら、野球の技術練習に飽きたり疲れたりした時でも、「自分の得意なこと」を磨く行動は続けられます。
それが結果として、野球の上達にも、人間としての成長にもつながっていくのです。
少年野球パパの役割は「アップデート」すること
イチロー氏のニュースを見て、私たち親が一番学ばなければならないこと。
それは、親自身のOS(価値観)をアップデートする勇気かもしれません。
自分の古い価値観を押し付けず、子供の新しい感覚を受け入れる勇気
「俺たちの頃はこうだった」「巨人の星ではこうだった」。
その武勇伝は、今の子供たちにはファンタジーに過ぎません。
もちろん、努力や根性の尊さは普遍的です。しかし、その「表現方法」や「向かう先」は、時代とともに変わっています。
デジタルネイティブの子供たちは、効率的に情報を集め、合理的に考え、そして軽やかに国境や常識を越えていく力を持っています。
そんな彼らに対し、昭和の物差しだけで測ろうとするのは、あまりにももったいない。
「今はそんな考え方があるんだ」「パパの知らなかった世界を教えてくれてありがとう」。
そうやって、子供の新しい感覚を面白がり、受け入れる度量が、令和の野球パパには求められています。
「教える」のではなく「共に考える」パートナーとしての距離感
野球未経験のパパだからこそ、できることがあります。
それは、技術を「教える」ことではなく、正解のない問いについて「共に考える」ことです。
「目標ってなんだろうね?」
「プロってどういうことだろうね?」
偉そうに答えを教える必要はありません。パパもわからないから、一緒に考えよう。
そのスタンスこそが、子供にとって一番安心できる、信頼できるパートナーの姿です。
イチロー氏が高校生に対して、上から目線ではなく「一緒に野球を追求する先輩」として接していたように、私たちも子供と同じ目線に立って、未来を語り合うことが大切です。
結局、親も子も「野球を通じてどう生きたいか」が問われている
イチロー氏の「プロは目標じゃない」という言葉の終着点。
それは結局、「野球を使って、君はどう生きるのか?」という問いなのだと思います。
プロ野球選手になることは、一つの素晴らしい生き方です。
でも、野球を通じて培った体力で人を助ける消防士になるのも、野球のデータ分析力を活かして研究者になるのも、野球で学んだチームワークで会社を大きくするのも、すべて素晴らしい「野球の先にあるゴール」です。
親子でしっかりと話し合い、「好き」「得意」「大事なこと」が見えていれば、たとえプロになれなくても、その子の野球人生は100点満点です。
なぜなら、野球というツールを使って、自分らしい人生の土台を築くことができたのですから。
まとめ:目標は変わっていい。大切なのは「対話」を続けること

イチロー氏の衝撃的な発言からスタートした今回の考察、いかがでしたでしょうか。
- 「プロは通過点」という言葉は、人生100年時代を生きる子供たちへの、究極の愛あるメッセージである。
- 昭和パパの葛藤(わかりやすい目標への執着)を捨て、プロセスのその先にある「人間的成長」に目を向ける。
- デジタルネイティブ世代の子供たちは、すでに広い視野を持っている。その感覚をリスペクトする。
- 「好き・得意・価値観」の3要素で、プロという目標を因数分解し、自分らしいアクションに落とし込む。
目標は、一度決めたら変えてはいけないものではありません。
子供の成長とともに、興味も得意も変わっていきます。
だからこそ、「対話」を続けることが大切です。
「最近、野球の何が一番楽しい?」
「将来、どんな大人になりたい?」
そんな会話を、キャッチボールをしながら、あるいはお風呂に入りながら、積み重ねていってください。
その対話の時間の積み重ねこそが、プロ野球選手になること以上に、親子にとってかけがえのない「宝物」になるはずです。
さあ、次の週末は、お子さんと一緒に「未来」の話をしてみませんか?
イチロー氏のニュースをネタに、「パパはこう思ったんだけど、お前はどう思う?」と問いかけるところから始めてみましょう。
きっと、頼もしくて新しい、お子さんの意外な一面が見られるはずです。
参考リンク
