全日本野球サミットで判明!2026年中学野球「地域移行」の全貌と親が今すべき準備
「息子が中学生になったら野球部に入れたいけど、なんか部活がなくなるって噂を聞いたんだけど…本当?」
「地域クラブって何? お金がかかるの? 親の当番はあるの? 硬式と何が違うの?」
こんな不安を抱えている野球パパ・ママ、今すごく多いんです。私もその一人でした。
小学校のうちは地元の少年野球チームで頑張っているけれど、中学校に上がった途端、野球を取り巻く環境がガラッと変わってしまうのではないか。その変化に、私たち親はついていけるのだろうか。そして何より、子供が野球を続けられる環境は残るのだろうか。
そんな漠然とした、でも切実な不安に対して、日本の野球界がついに大きな一歩を踏み出しました。
それが、2025年11月15日に開催された「第1回全日本野球サミット」です。
このサミットには、WBC優勝監督の栗山英樹氏や、元甲子園のスター斎藤佑樹氏、そして世界のホームラン王・王貞治氏といった錚々たるメンバーが集結。プロとアマチュアの垣根を越えて、「中学野球の未来」について真剣な議論が交わされました。
そこで語られたのは、単なる「制度の変更」ではありませんでした。
「部活動がなくなる」というネガティブな話ではなく、「子供たちがより多様な環境で、専門的な指導を受けられるチャンスが増える」という、希望に満ちた未来図だったのです。
忙しいパパ・ママへ。まずは「聴く」解説でポイントをチェック!
この記事の要点を、パパ友とママ友の対談形式(音声)でギュッと凝縮しました。
「サミットで何が決まったの?」「ぶっちゃけ親の負担はどうなるの?」といった疑問を約10分で解消できます。通勤中や家事の合間に、ラジオ感覚で聞いてみてください。
この記事では、音声で触れた内容をさらに深掘りし、サミットで発表された「中学球児応援プロジェクト」の全貌や、親が一番気になる「費用」「お茶当番」のリアルな数字について、野球未経験パパの視点で徹底解説します。
2026年から本格化する中学野球の「地域移行」。
この大きな波を、不安の種にするのではなく、お子さんの成長を加速させるビッグチャンスに変えていきましょう。この記事を読み終える頃には、中学野球への進路選択が、ワクワクするものに変わっているはずです。
「部活がなくなる?」不安だらけのパパへ。全日本野球サミットで語られた中学野球の未来図

「地域移行」という言葉、ニュースで耳にすることはあっても、その実態はなかなかつかめませんよね。「学校の先生が教えてくれなくなるの?」「じゃあ誰が教えるの?」「月謝が高くなるんじゃないの?」
そんな親たちのモヤモヤを一掃するかのように開催されたのが、「全日本野球サミット」でした。まずは、この歴史的なイベントの概要と、そこで示された衝撃的なデータ、そして新たなプロジェクトの全貌について紐解いていきましょう。
2025年11月15日開催!栗山英樹氏・斎藤佑樹氏・王貞治氏が集結した歴史的一日
2025年11月15日、東京都内。
この日、日本の野球史に残るであろう重要な会議が開かれました。それが「第1回全日本野球サミット」です。主催したのは、日本野球機構(NPB)と全日本野球協会(BFJ)などで構成される「日本野球協議会」。つまり、プロ野球とアマチュア野球(社会人、大学、高校、軟式など)が、完全に手を取り合って開催したイベントなのです。
これまでの野球界は、プロはプロ、アマはアマと、組織ごとの壁が厚いと言われてきました。しかし、今回その壁を越えて一堂に会した理由はただ一つ。「中学野球の危機」を救うためです。
会場には、野球ファンならずともその名を知るレジェンドたちが姿を見せました。
サミットのアンバサダーに就任したのは、侍ジャパンを世界一に導いた栗山英樹氏と、高校野球のアイコンであり続け、現在は「株式会社斎藤佑樹」の代表として野球未来づくりに奔走する斎藤佑樹氏。
さらに、特別ゲストとしてソフトバンク球団会長の王貞治氏も登壇。
彼らが並んで座り、真剣な眼差しで「中学生の野球環境」について語り合う姿は、まさに圧巻でした。そして、彼らの言葉の端々からは、「今、動かなければ日本の野球が終わってしまう」という強烈な危機感と、「子供たちのために、大人が変わらなければならない」という熱い決意が伝わってきました。
これは単なるセレモニーではありません。日本の野球界のトップたちが、本気で「中学野球」という現場にメスを入れる、その狼煙(のろし)が上がった瞬間だったのです。
なぜ今サミット?「部員6割減」と「教員の働き方改革」が迫る待ったなしの変革
では、なぜ今、これほどまでに大掛かりなサミットが必要だったのでしょうか?
その背景には、私たちが想像している以上に深刻な「数字」がありました。サミットで共有されたデータは、野球パパとして背筋が凍るようなものでした。
「中学校の野球部員数が、ここ10数年で約6割も減少している」
これが現実です。少子化の影響もありますが、それ以上のペースで「野球離れ」が進んでいるのです。部員が9人揃わず、単独チームで試合に出られない中学校が全国で急増しています。私の住む地域でも、隣の中学と合同チームを組んでいるという話をよく聞きますが、それが全国規模で起きているのです。
そしてもう一つの大きな要因が、「教員の働き方改革」です。
これまで中学野球を支えてきたのは、平日も休日もグラウンドに立ち、手弁当で指導してくれていた顧問の先生たちでした。しかし、教員の長時間労働が社会問題化する中で、「土日の部活動指導」は維持が困難になっています。
スポーツ庁のガイドラインでも、休日の部活動を段階的に地域団体や民間事業者などに移行する方針(部活動の地域移行)が示されています。先生たちも「指導したいけれど、制度的に難しい」「野球経験がないのに顧問を任されて困っている」というジレンマを抱えています。
- 子供たちは野球をやりたいのに、チームがない。
- 先生たちは指導したい(あるいは負担を減らしたい)のに、受け皿がない。
この「需給のミスマッチ」と「環境の崩壊」が、今まさに目の前で起きている。このままでは、野球をやりたくてもやれない子供たち(野球難民)が溢れてしまう。この危機的状況を打破するために、プロ・アマが団結して立ち上がったのが、今回のサミットなのです。
決定事項:「中学球児応援プロジェクト」始動!プロ・アマ連携で何が変わる?
サミットの最大の目玉は、「中学球児応援プロジェクト」の始動発表でした。
これは、単なるスローガンではありません。具体的な予算と人員を割いて行われる、実効性のあるアクションプランです。
NPBの公式発表によると、このプロジェクトの柱は大きく分けて以下の3つです。
- 指導者の派遣・育成(プロ野球OBの活用)
これまでプロ野球経験者が学生野球を指導するには、「学生野球資格回復研修」を受ける必要がありました。この制度自体は維持されますが、今回のプロジェクトでは、資格を持つプロ野球OBを、指導者が不足している地域や中学校、新たに設立される地域クラブへ積極的に派遣する仕組みを強化します。
「元プロに教えてもらえる」というのは、子供たちにとってこれ以上ないモチベーションになります。また、技術指導だけでなく、ケガの予防やメンタル面でのケアなど、プロならではの知見が現場に還元されることが期待されます。 - 合同チーム・地域クラブの運営支援
部員不足でチームが組めない地域に対して、合同チームの結成をコーディネートしたり、新しく立ち上がる「地域クラブ(中学校の枠を超えたチーム)」の運営ノウハウを提供したりします。
資金面での助成や、用具の寄贈なども検討されており、「やりたいけど道具がない」「チームがない」というハードルを下げる施策が盛り込まれています。 - 「楽しさ」を重視した大会・イベントの開催
これまでのトーナメント一辺倒の大会だけでなく、初心者でも楽しめるリーグ戦や、野球教室(クリニック)を全国各地で開催します。勝利至上主義からの脱却を目指し、まずは「野球って楽しい!」と感じてもらう機会を増やすことが目的です。
このプロジェクトによって、これまで「学校の先生」に依存していた中学野球が、「地域全体」と「プロ野球界」が支える構造へと大きく転換しようとしています。
私たち親にとっては、「部活がなくなる」という不安が、「プロの指導を受けられるかもしれない」「学校以外の友達が増えるかもしれない」という期待へと変わる、大きなターニングポイントと言えるでしょう。
栗山英樹氏・斎藤佑樹氏の提言から読み解く「親の心構え」と「指導者のあり方」
サミットでは、具体的な施策だけでなく、これからの野球界を担う大人たちへ向けた「マインドセット(心構え)」についても熱く語られました。
特に、アンバサダーを務める栗山英樹氏と斎藤佑樹氏の発言は、私たち野球パパ・ママにとっても、子育ての指針となる金言の宝庫でした。
栗山氏の提言「指導者は未経験でもいい」。親が“教え魔”にならず環境を作る大切さ
WBCで世界一を掴んだ名将・栗山英樹氏。彼がサミットで口にしたのは、意外な言葉でした。
「指導者は、必ずしも野球経験者である必要はない」
この言葉に、私はハッとさせられました。
私たちはどこかで、「野球を教えるなら、野球が上手な人じゃないといけない」「プロや強豪校出身のコーチがいい」と思い込んでいないでしょうか。そして、自分自身が野球未経験だと「子供に何も教えてあげられない」と引け目を感じてしまっていないでしょうか。
栗山氏はこう続けます。
「大切なのは、子供たちが『もっと上手くなりたい』『野球が楽しい』と思える環境を作ってあげること。技術的なことは、今は動画でも学べるし、プロOBが巡回で教えればいい。大人の役割は、子供の情熱に火をつけ、それを消さないように見守ることだ」
地域移行が進む中で、新たに立ち上がる地域クラブでは、保護者が運営に関わったり、コーチを務めたりするケースが増えるでしょう。その時、野球未経験のパパやママが「私には無理」と尻込みする必要はないのです。
むしろ、技術指導に固執するあまり、子供に自分の理論を押し付けてしまう「教え魔」になることの方が弊害が大きい。
栗山氏の提言は、「マネジメント」としての親の役割を強調しています。
良いグラウンドを探す、練習のスケジュールを調整する、子供の話を聞いてあげる、栄養バランスの良い食事を用意する。これら全てが立派な「指導」であり「サポート」です。
地域移行は、野球未経験の親こそが、そのマネジメント能力を発揮して、チーム運営や家庭でのサポートで輝けるチャンスなのかもしれません。
斎藤氏のメッセージ「ピンチはチャンス」。地域移行をポジティブに捉える視点転換
「ハンカチ王子」として一世を風靡し、現在は独自の視点で野球振興に取り組む斎藤佑樹氏。彼は、現在の中学野球が直面している「部員不足」や「指導者不足」という危機的状況を認めつつも、それを「ピンチはチャンス」と捉えるべきだと訴えました。
「部活動が地域移行することで、これまでの『学校』という枠組みが外れます。これは、子供たちがより広い世界に出会い、多様な価値観に触れる絶好の機会です」
確かに、これまでの部活動は、良くも悪くも「学校の中」で完結していました。顧問の先生の方針が全てで、チームメイトも同じ学校の生徒だけ。人間関係が固定化されやすく、もしその環境が合わなければ、野球そのものを諦めるしかありませんでした。
しかし、地域クラブになれば、隣の学校の子や、違う学区の子ともチームメイトになります。指導者も、学校の先生だけでなく、地元の有志やプロOBなど、多様な大人が関わるようになります。
斎藤氏は、「いろんな大人、いろんな仲間と出会うことこそが、野球の技術以上に、子供の人間力を育てる」と強調します。
変化は怖いです。「今まで通り」がなくなることへの不安は尽きません。
でも、斎藤氏の言うように、これを「新しい世界への扉が開いた」と捉え直してみはどうでしょうか。
学校では出会えなかったライバルに出会えるかもしれない。一生の師匠となる指導者に出会えるかもしれない。
地域移行という変化を、ネガティブな「喪失」ではなく、ポジティブな「拡張」として受け入れる。親がその視点を持つだけで、子供にかける言葉も、チーム選びの基準も変わってくるはずです。
王貞治氏の願い。「野球を楽しむ」原点回帰が子供の成長を加速させる
そして、サミットの空気を一変させたのが、王貞治氏の言葉でした。
世界のホームラン王が、現代の中学野球に対して最も危惧していたのは、「勝利至上主義による弊害」と「楽しさの欠如」でした。
「子供たちが、怒られるのを怖がって野球をしているように見える。それでは上手くならないし、続かない。野球は本来、楽しいもの。打ったら嬉しい、捕ったら楽しい。その原点に立ち返ってほしい」
地域移行に伴い、大会のあり方も見直されようとしています。これまでは「負けたら終わり」のトーナメント戦が主流でしたが、これからはリーグ戦を増やし、「失敗しても次がある」「全員が試合に出られる」形式への転換が推奨されています。
王氏の言葉は、私たち親への戒めでもあります。
試合で三振した子供に、帰りの車でダメ出しをしていませんか?
「なんであんなボール振るんだ」「もっと気合を入れろ」と、大人の理屈で追い詰めていませんか?
地域移行を機に、新しいクラブチームを選ぶ際、「どれだけ勝っているか」よりも「どれだけ子供たちが楽しそうにプレーしているか」を基準にすること。それが、王氏の願いであり、結果的に子供の才能を一番伸ばす方法なのです。
「楽しむこと」は「楽をすること」ではありません。好きだからこそ、自らバットを振りたくなる。好きだからこそ、もっと上手くなりたいと工夫する。その主体性を引き出す環境こそが、これからの時代に求められる「良いチーム」の条件と言えるでしょう。
【実利編】うちの子にメリットはある?「中学野球クリニック」と具体的支援策

さて、ここからはより具体的な「実利」の話です。
サミットでの理念や提言は素晴らしいものですが、親として一番気になるのは「で、ウチの子にはどんなメリットがあるの?」という点ですよね。
サミットで発表された「中学球児応援プロジェクト」の中には、私たちの子供が直接恩恵を受けられる具体的な施策が含まれています。詳しく見ていきましょう。
憧れのプロOBが指導!「中学野球クリニック」の募集内容と参加メリット
プロジェクトの目玉の一つが、「中学野球クリニック」の開催です。
これは、元プロ野球選手が中学校や地域クラブを直接訪問し、技術指導や野球教室を行うというものです。
これまでもプロ野球球団による野球教室はありましたが、多くは「野球振興」の一環として、小学生(学童野球)を対象としたものが中心でした。中学生向けの、しかも部活動単位での指導というのは、実はあまり多くなかったのです。
NPBの公式サイト等の情報によると、このクリニックの特徴は以下の通りです。
- 対象: 全国の中学校野球部、地域クラブチーム
- 講師: NPB球団OB、侍ジャパン経験者など
- 内容:
- 技術指導: ポジション別の専門指導(投手、捕手、内野、外野)
- トレーニング指導: 成長期の中学生に適した体作り、ケガ予防のストレッチ
- メンタル講義: 試合への臨み方、モチベーションの保ち方
- 費用: 基本的に無料(または低額)で実施される予定(※詳細は各開催要項を確認)
参加のメリットは計り知れません。
プロの世界を知る人から、「君のフォームのここが良いね」「ここを直せばもっと速くなるよ」と一言声をかけてもらうだけで、子供の目の色は変わります。その経験は、一生の宝物になるでしょう。
また、顧問の先生やチームのコーチにとっても、プロの指導法を間近で見られることは大きな学びになります。指導者のレベルアップは、巡り巡って子供たちの利益になります。
募集は、NPBや各都道府県の野球連盟を通じて行われます。情報は常に更新されるので、親としてはアンテナを張っておく必要があります。
「ウチのチーム、弱小だから…」と諦める必要はありません。むしろ、指導に悩んでいるチームこそ、応募のチャンスがあるかもしれません。保護者会で「こんな募集がありますよ」と提案してみるのも、親ができる大きなサポートの一つです。
初心者でも大丈夫?「合同チーム」や「育成大会」の拡充で増える出場機会
「中学から野球を始めたいけど、周りは経験者ばかりでついていけるか心配…」
「部員が少なくて、試合に出られない…」
そんな悩みを持つ親子にとっても、今回のプロジェクトは追い風になります。サミットでは、「初心者の受け皿作り」と「出場機会の確保」が重要課題として挙げられました。
具体的には、以下の施策が推進されます。
- 合同チームのマッチング支援:
部員不足の学校同士を柔軟に組み合わせ、合同チームとして大会に出場しやすくする仕組みを整備します。これまでは手続きが煩雑だったり、情報共有が不足していたりしましたが、連盟が主導してコーディネートすることで、スムーズにチームが組めるようになります。 - 「育成大会(ルーキーリーグ)」の開催:
レギュラー戦だけでなく、1年生や初心者を中心とした「育成大会」や「リーグ戦」を拡充します。これにより、「3年間ずっとベンチ外で終わる」という悲劇を減らし、全員が試合に出て野球の楽しさを味わえる環境を作ります。 - 女子選手の環境整備:
男子の中に混ざってプレーする女子選手へのサポートや、女子野球チームとの連携も強化されます。
地域移行によって、複数の学校が集まって一つの大きな地域クラブを作るケースも増えています。そこでは、Aチーム(競技志向)、Bチーム(育成志向)のようにレベル別で活動するなど、子供の実力や目的に合わせた環境が選べるようになる可能性があります。
「ガチで甲子園を目指す」子も、「楽しく野球を続けたい」子も、それぞれの居場所が見つかる。それが地域移行の理想形であり、今回のプロジェクトが目指すゴールなのです。
道具や費用は?プロジェクトによる用具支援や環境整備の可能性
親にとって切実な「お金」の問題。
部活動から地域クラブへ移行することで、会費や用具代などの負担が増えるのではないか、という懸念は根強くあります。
サミットでは、この経済的なハードルについても議論されました。
具体的な決定事項として「全家庭への補助金」などが決まったわけではありませんが、以下のような方向性が示されています。
- 用具のリユース・寄贈:
プロ野球球団や用具メーカーと連携し、使わなくなったバットやグローブ、ボールなどを集めて、資金力のない地域クラブや学校へ寄贈する仕組み作り。 - 企業スポンサーの獲得:
地域クラブの運営費を賄うために、地元企業からの協賛を募りやすくするガイドラインの策定。 - 公共施設の優先利用:
自治体と連携し、地域クラブが公営の球場や学校のグラウンドを安価(または無料)で利用できるようにする働きかけ。
特に、「学校のグラウンドや道具をそのまま使えるか」は大きなポイントです。
スポーツ庁のガイドラインでも、学校施設を地域クラブ活動の拠点として活用することが推奨されています。
もし、お子さんが入ろうとしている地域クラブが「学校のグラウンドを使える」「学校の備品(キャッチャー防具やベースなど)を借りられる」のであれば、初期費用や月々の会費はかなり抑えられるはずです。
親としては、チーム選びの際に、
「練習場所はどこか?(有料の球場か、無料の学校か)」
「チーム共有の道具はあるか?」
「会費の内訳はどうなっているか?」
を確認することが、家計を守るための重要な防衛策となります。
【事例研究】部活 vs 地域クラブ? 先進事例「川口クラブ」に見るリアルな生活
サミットで語られた未来は明るいものですが、私たちが知りたいのは「で、結局、平日の夕飯はどうなるの?」「土日の送迎は?」という超現実的な生活の変化ですよね。
ここでは、サミットでも先進事例として紹介されることの多い、埼玉県川口市の地域クラブ「川口クラブ」などのケースを参考に、地域移行後のリアルな生活シミュレーションを行ってみましょう。
※ここで紹介するのは一般的なモデルケースであり、地域やチームによって詳細は異なります。必ず地元の情報を確認してください。
平日は部活、休日は地域クラブ。ハイブリッド活動のメリットとスケジュールの実際
現在、地域移行の過渡期における最も現実的なモデルとして注目されているのが、「平日=部活」「休日=地域クラブ」というハイブリッド型です。
【ある中学球児(ハイブリッド型)の1週間】
| 曜日 | 活動内容 | 場所 | 指導者 | 親の関わり |
|---|---|---|---|---|
| 月 | 休み(自主練) | – | – | – |
| 火 | 部活動 | 学校 | 顧問の先生 | なし |
| 水 | 部活動 | 学校 | 顧問の先生 | なし |
| 木 | 部活動 | 学校 | 顧問の先生 | なし |
| 金 | 部活動 | 学校 | 顧問の先生 | なし |
| 土 | 地域クラブ | 近隣の球場/他校 | 外部指導員 | 送迎・当番(※) |
| 日 | 地域クラブ | 近隣の球場/他校 | 外部指導員 | 送迎・当番(※) |
メリット:
- 平日の生活リズム: 学校が終わってそのまま部活なので、帰宅時間や夕食のリズムはこれまで通り。学習塾との両立もしやすい。
- 休日の専門指導: 土日は、野球経験の豊富な外部指導員やプロOBから、より高度な技術指導を受けられる。他校の生徒と交流できる。
- 先生の負担軽減: 土日の指導がなくなることで、先生もしっかり休める(=平日の授業の質も上がる?)。
デメリット・注意点:
- 土日の移動: 活動場所が学校とは限らないため、親の送迎が必要になる場合がある。
- 指導の一貫性: 平日の顧問と休日の外部指導員の間で、指導方針にズレが生じないよう、大人の連携(連絡調整)が不可欠。
この「ハイブリッド型」は、完全移行へのステップとして多くの自治体で採用されています。親としては、「土日の居場所が変わる」と考えればイメージしやすいでしょう。
気になる「お金」と「親の負担」。会費相場や保護者会(お茶当番)の有無を検証
さて、一番の懸念点である「費用」と「負担」です。
全日本軟式野球連盟(JSBB)の調査や先行事例を見ると、ある程度の相場観が見えてきます。
1. 費用(会費)
- 部活動のみ: 年間数千円(部費)+用具代。ほぼ無料に近い。
- 地域クラブ:月額 2,000円 ~ 5,000円 程度が主流。
- 内訳:指導者への謝金、交通費、ボール代、保険料、大会参加費、施設使用料など。
- ※硬式クラブチーム(シニア、ボーイズ等)の月額1〜2万円に比べれば格安ですが、部活よりは確実にかかります。
2. 親の負担(お茶当番・車出し)
ここが最大の分かれ道です。地域クラブの運営形態によって大きく異なります。
- Aパターン:行政・スポーツ協会主導型
- 事務局がしっかりしており、指導者も派遣される。
- 親の負担:少ない。 当番なしを掲げるチームも多い。ただし、会費はやや高めになる傾向。
- Bパターン:保護者・ボランティア主導型(従来のスポ少の延長)
- 熱心な保護者や地域の有志が立ち上げたクラブ。
- 親の負担:大きい可能性あり。 お茶当番、車出し、審判、グラウンド整備など、親の協力が前提で運営される。その分、会費は安く抑えられる。
川口クラブなどの先進事例では、「保護者の当番制廃止」を打ち出し、その分を会費で賄ったり、スポンサーを集めたりして「持続可能な運営」を目指す動きが加速しています。
サミットでも「親の負担軽減」は大きなテーマでした。これからできる新しい地域クラブは、「当番なし」を売りにするチームが増えてくるはずです。
入団説明会では、遠慮せずに聞いてみましょう。
「親の当番はありますか?」
「遠征時の送迎はどうなっていますか?(現地集合か、配車か)」
この答えが、これからの3年間のあなたの週末を決定づけます。
指導者の質はどう担保される?ライセンス制度と「暴力・暴言根絶」への取り組み
「地域のおじさんがボランティアで教えるんでしょ? 昔ながらのスパルタ指導だったらどうしよう…」
そんな不安もあるでしょう。しかし、ここでも「全日本野球サミット」での議論が活きてきます。
野球界全体として、指導者のライセンス制度(公認指導者資格)の普及に力を入れています。
BFJ(全日本野球協会)公認の「野球指導者基礎講習(Baseball Coaching Clinic)」などを義務付ける動きが進んでおり、そこでは技術だけでなく、「暴力・暴言の根絶」「ハラスメント防止」「子供の身体の発育発達」について徹底的に学びます。
地域クラブの指導者募集要項には、多くの場合「公認指導者資格の保有」や「講習の受講」が条件として盛り込まれています。
つまり、これからの地域クラブの指導者は、「ちゃんとアップデートされた、ライセンスを持つ大人」が担うことになるのです。
もしチーム選びで迷ったら、「監督やコーチは、どんな資格を持っていますか?」「指導方針として、暴言禁止を明言していますか?」と確認してみてください。
自信を持って「はい、うちは全員ライセンスを持っています」と答えてくれるチームなら、安心して子供を預けられるでしょう。

まとめ:地域移行は「親子の選択肢」が増える好機。情報収集で最高の環境を選ぼう
2025年の「全日本野球サミット」で語られたのは、決して悲観的な未来ではありませんでした。
部員不足や教員の負担というピンチをきっかけに、プロとアマが手を組み、「子供たちにとって一番良い野球環境とは何か?」を本気で考え、作り直そうとしている。それが今の日本の野球界の姿です。
【この記事のまとめ】
- サミットの衝撃: プロ・アマのトップが集結し、「中学球児応援プロジェクト」が始動。プロOBの指導や用具支援など、具体的メリットが拡大中。
- 親のマインド: 栗山英樹氏らの言葉通り、親は指導者にならなくていい。子供が野球を楽しめる環境を整える「マネージャー」に徹しよう。
- 地域移行のリアル: 「平日部活+休日地域クラブ」のハイブリッド型が現実的。費用は月2,000〜5,000円程度。親の負担はチームによって差があるので要確認。
- 指導者の質: ライセンス制度により、「怒鳴る指導」から「認める指導」への転換が進んでいる。
「部活がなくなる」のではなく、「選択肢が増える」のです。
学校の部活で仲間と汗を流すのもよし。
地域クラブで専門的な指導を受け、他校の友達を作るのもよし。
あるいは、シニアやボーイズといった硬式野球に挑戦するのもよし。
以前は「その中学の野球部に入る」という一択しかありませんでした。でもこれからは、子供のレベルややる気、そして家庭の事情に合わせて、最適な環境を「選べる」時代になります。
そのために必要なのは、親の情報収集力です。
地元の広報誌、学校からのお知らせ、地域の野球連盟のホームページ、そして今回のようなサミットのニュース。
アンテナを高く張り、お子さんと一緒に「どのチームなら楽しく野球ができそうかな?」と話し合ってみてください。
変化はチャンスです。
野球未経験のパパ・ママだからこそ、固定観念にとらわれず、新しい時代の新しい野球環境を、フラットな目線で選んであげられるはずです。
さあ、お子さんの「野球が好き!」という気持ちを、最高の形でサポートしてあげましょう!
