野球で社会を元気に!親子で学びたいプロ野球選手の社会貢献活動2025|グラウンド外で見せる一流の姿
2025年8月30日の夜、多くのご家庭で「24時間テレビ」が流れていたのではないでしょうか。「愛は地球を救う」をテーマに、困難な状況に立ち向かう人々の姿や、それを支えるチャリティーの輪に、心を動かされた方も多いと思います。
今年のチャリティーランナーを務めるSUPER EIGHTの横山裕さんが「支援を必要とする子どもたちに少しでも力になれたら」と語っていたように、誰かを思う気持ちが大きな力を生む瞬間を、私たちは目の当たりにしました。
実は、この「誰かのために」という温かい輪は、私たち親子が大好きなプロ野球の世界にも、力強く、そして深く広がっています。
この記事のテーマについて、ラジオ感覚で気軽にお聴きいただける音声を用意しました。ぜひ再生ボタンを押して、記事を読む前のウォーミングアップにしてみてください。
音声でお聞きいただいたように、グラウンドでの熱いプレーの裏側で、多くの選手たちが人知れず社会貢献活動を続けています。
この記事では、その具体的な活動をさらに深掘りして特集します。読み終える頃には、息子さんが憧れの選手を見る目が、少し変わっているかもしれません。そして、野球というスポーツが持つ本当の価値について、親子で語り合うきっかけが生まれるはずです。
プロ野球界が取り組む社会貢献活動の全体像
一人の選手の個人的な活動と思われがちな社会貢献ですが、実はプロ野球界全体で非常に組織的に、そして継続的に行われています。その中心となっているのが、日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会(JPBPA)です。
- 日本野球機構(NPB): 12球団を統括する組織として、大規模災害が発生した際の義援金拠出や、環境省と連携した啓発キャンペーンなど、球界全体の顔として社会との連携を担っています。
- 日本プロ野球選手会(JPBPA): 選手自身が主体となって運営される組織です。選手個人の想いを形にするための基金を設立したり、オフシーズンに選手が参加するチャリティーイベントを企画したりと、より選手目線での活動を展開しています。
この二つの大きな組織が土台となり、各球団や選手個人の活動が有機的に結びつくことで、野球界の支援は一時的なものではなく、社会を支える一つの「エコシステム」として機能しているのです。
【事例1】災害支援:被災地に寄り添う野球の力

災害が起こった時、プロ野球界は驚くほど迅速に、そして力強く動き出します。2024年1月に発生した能登半島地震でも、その連携は見事に発揮されました。
NPBと12球団はすぐに義援金の拠出を決定。さらに、ただお金を送るだけでなく、2026年のオールスターゲーム第1戦を富山市のアルペンスタジアムで開催することを発表しました。[1] これは、被災地に再び野球の熱気と笑顔を取り戻し、復興への希望を灯すという強いメッセージです。
選手会も独自に基金を立ち上げ、ファンからの寄付を募りました。炭谷銀仁朗選手会長(当時)は「選手会として感染拡大防止に少しでも力になれれば」と語り、コロナ禍でも8億円以上の寄付を集めた実績があります。[6, 7] その経験を活かし、選手とファンが一体となって被災地を支える体制を迅速に整えたのです。
今年の24時間テレビで、長嶋一茂さんが能登の子どもたちのために企画した「チャリティーホームラン中継」も、この流れを汲むものです。[5] 野球ができなくなった球場を目の当たりにした一茂さんが、「自分にできる楽しいチャリティー」としてホームランを選んだように、選手一人ひとりが「野球だからこそ、できる支援」を常に考え、行動に移しています。
【事例2】医療・福祉支援:選手個人の想いが希望を繋ぐ
選手の社会貢献は、時に非常にパーソナルな想いから始まります。自身の経験や、ファンとの出会いをきっかけに、特定の病気と闘う子どもたちやその家族を支援する活動は、多くの人々に勇気を与えています。
成績と連動する「結果への責任」
福岡ソフトバンクホークスの周東佑京選手は、2025年シーズン、自身の1盗塁につき5万円を「がんの子どもを守る会」に寄付する活動を行っています。[2] これは、自身のプレーに「誰かのため」という大きな価値を上乗せする試みです。周東選手自身も「個人的にもプレーのモチベーションにつながります」と語っており、高いパフォーマンスが社会貢献に直結する、まさにプロフェッショナルな姿と言えるでしょう。
埼玉西武ライオンズでは、実に9人もの選手がそれぞれテーマを持って継続的な支援を行っています。[3, 4]
- 高橋光成投手: 勝利数に応じた環境保護への寄付と、登板数に応じた災害救助犬支援
- 源田壮亮選手: 安打数に応じたこども食堂への支援
- 中村剛也選手: 出場試合数に応じた病児とその家族が滞在する施設への支援
このように、選手一人ひとりが自分の関心や問題意識に基づいて支援先を選んでいる点も、現代の社会貢献の特徴です。
難病と闘う選手たちが示す「諦めない心」
元阪神タイガースの岩田稔投手は、自身も1型糖尿病と闘いながら16年間プロのマウンドに立ち続けました。かつての24時間テレビでは、同じ病気を抱えながらプロを目指す少年と対面し、夢を追い続けることの尊さを伝えました。[8]
また、難病であるベーチェット病を克服し、読売ジャイアンツでプレーした柴田章吾氏は、現在アジアの子どもたちに野球の魅力を伝える活動をしています。「感動は、国境を超える」という彼の信念は、野球が単なるスポーツではなく、人々を繋ぎ、希望を生む力を持っていることを証明しています。
【事例3】子ども育成と野球教室:未来のスターへ夢のバトン
多くの子どもたちにとって、プロ野球選手は雲の上の存在です。その憧れの選手から直接指導を受けられる「野球教室」は、技術の向上はもちろん、子どもたちの心に火を灯す最高の機会です。
「平成の怪物」と呼ばれた松坂大輔氏は、全国各地で野球教室を開き、キャッチボールのような基礎がいかに大切かを丁寧に説きます。[1] 読売ジャイアンツ前監督の原辰徳氏や、元中日ドラゴンズ監督の与田剛氏といったレジェンドたちも、未来の球児たちの夢を後押ししています。
近年では、こうした活動はさらに進化しています。
- チャリティーとの両立: 保険クリニックが開催する野球教室では、参加費の全額が「日本クリニクラウン協会」に寄付され、入院中の子どもたちを笑顔にする活動に使われます。[11]
- 国際的な支援: 元プロ野球選手の小笠原道大さんらが参加するプロジェクトでは、フィリピンのスラム街で野球教室を開催。野球を通じて、これまで100人以上の子どもたちが奨学金を得て進学の夢を叶えています。[9, 10]
これらの活動は、野球の技術だけでなく、「野球のおかげで人生が拓ける」という素晴らしい成功体験を子どもたちにプレゼントしているのです。
【事例4】環境保護と地域貢献:ホームタウンと共に創る未来
プロ野球チームは、その街の「顔」でもあります。そのため、多くの球団が地域社会や環境を守るための活動に力を入れています。
広島東洋カープは、試合開催日にスタジアム周辺でファンと選手が一緒になってゴミ拾いを行う活動を続けています。[21] また、埼玉西武ライオンズは「SAVE THE EARTH Lions GREEN UP! DAY」と題し、選手が環境をテーマにした特別デザインのキャップを着用して試合に臨むなど、ファンへの啓発活動を積極的に行っています。[23]
これらの活動は、子どもたちに「自分たちが住む街を大切にする心」や「地球環境への意識」を自然な形で教えてくれます。野球が、単なるエンターテインメントではなく、地域社会の一員として責任を果たす存在であることを示しています。
なぜ彼らは支援を続けるのか?グラウンド外の「一流の姿」から学ぶこと
では、なぜプロ野球選手たちは、これほどまでに熱心に社会貢献活動に取り組むのでしょうか。それは、彼らが野球を通して「一人では何も成し遂げられない」ということを誰よりも深く知っているからかもしれません。
ファンからの声援、スタッフの支え、そして家族のサポート。数えきれないほどの「ありがとう」に囲まれてプレーする中で、自然と「今度は自分が誰かを支えたい」という気持ちが芽生えるのです。
日本プロ野球選手会が賛同するユニセフの「子どもの権利とスポーツの原則」には、「すべての子どもたちがスポーツを楽しめる環境の実現」という目標が掲げられています。[12] 経済的な理由で野球を諦める子どもを一人でも減らしたいと願う選手たちの想いは、まさにこのスポーツマンシップの表れです。
子どもに「プロ野球選手になりたい」という夢が芽生えたとき、親として伝えたいのは、ホームランの打ち方や速い球の投げ方だけではないはずです。相手チームや審判を尊重する心、困難な状況でも諦めない勇気、そして自分の行動に責任を持つ覚悟。プロ野球選手たちの社会貢献活動は、こうした真の「一流の姿」を私たちに教えてくれます。
親子でできる「はじめの一歩」:今日から参加できるチャリティーガイド

「プロ野球選手はすごいけど、自分たちにできることはあるのかな?」と感じた方もいるかもしれません。長嶋一茂さんが言うように、チャリティーは「自分にできる楽しいこと」でいいのです。親子でできることは、たくさんあります。
参加方法 | 概要と特徴 | 親子で話したいこと |
---|---|---|
キャッシュレス募金 | スマートフォン決済などで手軽に参加できる募金。24時間テレビの放送中に表示されるQRコードからも簡単にアクセスできます。 | 「この100円が、どんな風に役立つのかな?」「もし自分が困っていたら、どんな支援が嬉しいかな?」 |
チャリティーグッズ購入 | 番組のチャリTシャツなどを購入することで寄付に参加。2025年は『名探偵コナン』の青山剛昌氏がデザインを担当しました。 | 「このTシャツのデザインには、どんな想いが込められているんだろう?」「好きなキャラクターが応援してくれたら嬉しいよね」 |
チャリティーオークション | 選手が実際に使ったサイン入り用具などが出品されることも。売上は支援団体へ寄付されます。 | 「このバットで何本ヒットを打ったのかな?」「このグッズが、誰かの笑顔に変わるって素敵だね」 |
地域の野球教室に参加 | プロ野球OBが開催する野球教室には、チャリティー目的のものも多くあります。 | 「今日教わったことを、今度はチームの友達にも教えてあげようか」「コーチはどんな気持ちで教えてくれたんだろう?」 |
まずは親子で話し合い、一番「楽しそう!」と思えるものから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ:野球が教えてくれる「思いやりの心」

プロ野球選手たちの社会貢献活動は、24時間テレビが伝えるメッセージを、野球というフィールドで体現している素晴らしい取り組みです。
周東選手の盗塁の一つひとつが、がんの子どもたちへの支援となり、長嶋一茂さんのホームランへの挑戦が、能登の子どもたちへのエールとなる。その姿は、自分の力が誰かの喜びにつながるという、社会の最も美しい循環を教えてくれます。
グラウンドでの勝敗に一喜一憂するだけでなく、その裏側にある選手の人間性や社会への想いに親子で触れること。それこそが、子どもたちの心に「真のスポーツマンシップ」を育む最高の教育なのかもしれません。
24時間テレビをきっかけに、ぜひご家庭で「応援している選手は、どんな社会貢献をしているんだろう?」と調べてみてください。きっとそこには、ホームランやファインプレーと同じくらい、心を揺さぶる素晴らしいストーリーが待っているはずです。