【2025夏甲子園】花巻東に新たなヒーロー誕生!大谷翔平の系譜を継ぐ「背番号17」萬谷堅心、その圧巻の投球と少年野球で学ぶべきエースの条件
【2025夏甲子園】花巻東に新たなヒーロー誕生!大谷翔平の系譜を継ぐ「背番号17」萬谷堅心、その圧巻の投球と少年野球で学ぶべきエースの条件
2025年、夏の甲子園。今年もまた、数々のドラマが生まれ、日本中の野球ファンが熱狂に包まれています。
「我が子もいつか、あの舞台に…」
テレビの前で白球を追う高校球児たちの姿に、少年野球に励むお子さんの未来を重ね合わせている野球パパ・ママも多いのではないでしょうか。ひたむきなプレー、仲間と流す涙、そして、想像を絶するプレッシャーの中で輝きを放つスター選手の誕生。甲子園は、私たち親子にたくさんの感動と学びを与えてくれます。
そして今年の夏、大会4日目にして、早くも新たな伝説の序章を予感させるヒーローが誕生しました。
その名は、花巻東高校2年生、萬谷堅心(まんや けんしん)投手。
春の選抜準優勝、今大会も優勝候補の一角に挙げられる強豪・智弁和歌山を相手に、156球を投げ抜く圧巻の完投勝利。彼が背負うのは、奇しくも同校の偉大なOB、大谷翔平選手や菊池雄星選手が若き日に背負った出世番号「17」。
この記事では、単なる試合結果の速報に留まらず、花巻東の劇的な勝利の舞台裏を徹底的に深掘りします。
- なぜ花巻東は優勝候補を打ち破れたのか?
- 2年生エース・萬谷投手は、いかにしてあの圧巻のピッチングを成し遂げたのか?
- 大谷翔平を育てた名将・佐々木洋監督の指導法の秘密とは?
- 親子で注目したい、2025年花巻東ナインの魅力的な選手たち
この記事を読めば、甲子園の試合を100倍楽しめるだけでなく、少年野球に励む我が子の成長のヒントがきっと見つかるはずです。さあ、親子で一緒に、この夏最高の熱狂の物語を紐解いていきましょう。
2025年夏、甲子園に衝撃!花巻東が演じた「格上撃破」のドラマ

2025年8月8日、阪神甲子園球場。大会4日目の第1試合は、高校野球ファンなら誰もが注目する黄金カードとなりました。岩手代表・花巻東と、和歌山代表・智弁和歌山。プロ注目の選手を多数擁し、春のセンバツで準優勝した智弁和歌山が優位と見られていたこの一戦は、誰もが予想しない劇的な展開を迎えます。
試合結果とスコア詳細
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
智弁和歌山 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
花巻東 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | × | 4 |
結果は4-1で花巻東の勝利。スコアだけ見れば花巻東の快勝ですが、その裏には息詰まる攻防と、緻密に計算された戦略がありました。この勝利で花巻東は2年ぶりの初戦突破を決め、岩手県勢として甲子園での対和歌山勢5度目の挑戦で歴史的な初勝利を飾りました。
息詰まる攻防!初回逆転劇が勝負を分けた
試合は初回から大きく動きます。
1回表、先攻の智弁和歌山は、花巻東の先発・萬谷投手の立ち上がりを攻め、4番・福元聖矢選手のタイムリーツーベースヒットであっさりと1点を先制。
「やはり強豪・智弁和歌山のペースか…」
甲子園全体がそう感じた空気も束の間、その裏、花巻東は驚異的な集中力で流れを力づくで引き寄せます。
先頭打者が粘って出塁すると、打席には2番の佐藤謙成選手。ここで佐々木洋監督が選択したのは、セオリーの送りバントではなく、なんとバスターエンドラン。これが見事に成功し、チャンスを拡大します。
1死一、三塁となり、打席には5番の赤間史弥選手。赤間選手は大きな期待に応え、レフトへきっちりと犠牲フライを放ち同点。さらに、相手の守備の乱れも誘い、花巻東はこの回に2点を奪い、すぐさま逆転に成功したのです。
この初回の逆転劇こそ、この試合最大のターニングポイントでした。先制されても決して下を向かず、むしろ挑戦者として大胆な策で相手に立ち向かう。その姿勢が、チーム全体に「やれるぞ!」という勇気を与え、試合の主導権を完全に握ることに繋がりました。
佐々木監督の采配ズバリ!「大量点を取る野球」の真意
なぜ、佐々木監督は初回のチャンスで送りバントを選択しなかったのでしょうか。試合後、監督はその意図をこう語っています。
「大量点を取るような野球をしないと智弁和歌山には勝てない」
これは、相手の戦力を冷静に分析した上での、実に見事な判断でした。横綱である智弁和歌山とまともに組んでいては、じわじわと力の差が出てきてしまう。だからこそ、チャンスでは確実に、そして大胆に攻め、相手にプレッシャーをかけ続ける必要があったのです。
その采配は中盤にも光ります。
5回裏、2アウトからチャンスを作ると、3番・新田光志朗選手がセンター前にタイムリーヒットを放ち3点目。6回裏にもダメ押しとなる4点目を追加し、智弁和歌山を精神的にも追い詰めていきました。
守備では2年生エースを信じ抜き、攻撃では大胆な策で活路を開く。この日の勝利は、佐々木監督の知将ぶりが存分に発揮された試合でもありました。
新たな伝説の始まり。背番号「17」を継ぐ男、萬谷堅心
この劇的勝利の最大の立役者は、間違いなくマウンドに立ち続けた2年生左腕・萬谷堅心投手でしょう。彼のピッチングは、観る者の胸を打つ、まさに「魂の投球」でした。
圧巻の156球!2年生左腕が見せた「魂のピッチング」
初回に1点を失ったものの、萬谷投手はまったく動揺を見せませんでした。2回以降、彼はクレバーな投球で強打の智弁和歌山打線を完全に手玉に取ります。
- 威力のあるストレート
- キレ味鋭く、左打者から逃げていくスライダー
- 効果的に右打者のタイミングを外すチェンジアップ
これらの球種を抜群の制球力で内外角に投げ分け、的を絞らせません。5回途中からは、なんと19人連続で無安打に抑えるという圧巻の投球を披露。
そして、ハイライトは最終回に訪れます。
9回表、勝利まであとアウト一つから、四球などで2死満塁の絶体絶命のピンチを招きます。一打出れば同点、長打なら逆転サヨナラ負けという、甲子園の魔物が牙を剥く緊迫した場面。球場の誰もが固唾を飲んで見守る中、佐々木監督はタイムを取りません。マウンドに選手を集め、笑顔で萬谷投手に声をかけます。
その信頼に応え、萬谷投手は最後の打者を打ち取りゲームセット。156球を一人で投げ抜き、マウンドで雄叫びを上げました。
大谷翔平、菊池雄星…受け継がれる「出世番号17」の系譜
野球ファンの心をさらに熱くさせたのが、萬谷投手が背負う背番号「17」でした。
そう、この番号は、花巻東にとって特別な意味を持つ「出世番号」なのです。
- 菊池雄星 投手(トロント・ブルージェイズ)
- 大谷翔平 選手(ロサンゼルス・ドジャース)
世界最高峰の舞台で活躍する二人の偉大な先輩が、高校1、2年生の時にこの「17」を背負って甲子園のマウンドに立ちました。近年では、巨人の西舘勇陽投手や、OBの佐々木麟太郎選手もこの番号を背負っています。
試合後のインタビューで、萬谷投手ははにかみながらこう語りました。
「監督さんからの期待を込めてだと思う。期待に応えられるように頑張りたい」
偉大な先輩たちが築き上げた伝統の重圧。しかし彼は、そのプレッシャーを力に変え、甲子園という大舞台で最高のパフォーマンスを見せてくれたのです。
なぜ彼は強くなれたのか?連合チーム出場という異色の経験
実は萬谷投手には、他の多くの甲子園球児とは少し違う、異色の経歴があります。なんと彼は昨年夏、岩手県内の他校である金ケ崎高校との「連合チーム」の一員として大会に出場していたのです。
部員不足のチームでプレーしたこの経験が、彼を精神的に大きく成長させました。
「色々な場所で最後の夏がある。一発勝負ということを感じました」
どんな状況でも野球ができる喜び、一球の重み。この経験が、9回2死満塁という極限の場面でも冷静さを失わない、彼のマウンド度胸の礎となっているのかもしれません。
佐々木監督が語る萬谷投手の成長「精神面も投球の質も上がった」
名将・佐々木監督は、萬谷投手の成長に目を細めます。
「強打の智弁和歌山さんは、どこからでも長打が出る打線。長打を防ぐには萬谷が一番防げるかなと思った」「(9回のピンチも)逆転されない限り交代はなかった。もう迷うことはなかった」「精神面も投球の質自体でも選抜の時よりも上がっている」
監督からの絶大な信頼。それこそが、ピッチャーにとって最高のガソリンです。この信頼関係が、156球の熱投を引き出した最大の要因と言えるでしょう。
【親子で学ぶ】少年野球のエースが持つべき3つの条件
萬谷投手の魂のピッチングは、私たち少年野球の親子に「エースとは何か?」という大切な問いを投げかけてくれます。彼の姿から学べる、エースが持つべき3つの条件を考えてみました。
条件1:プレッシャーを楽しむ「心の強さ」- 9回2死満塁の教訓
エースピッチャーにとって、ピンチはつきものです。特に、試合の終盤、一打逆転という場面でのプレッシャーは想像を絶します。しかし萬谷投手は、あの場面で決して悲壮感を漂わせませんでした。監督や仲間からの信頼を力に変え、自分のピッチングに集中していました。
少年野球でも、ピンチでマウンドに立つ我が子に「しっかりしろ!」と声を張り上げてしまうことがあるかもしれません。しかし本当に大切なのは、プレッシャーのかかる場面こそが成長のチャンスだと教え、その状況を楽しめるような「心の強さ」を育んであげること。
「大丈夫、お前なら抑えられる」「このピンチをヒーローになるチャンスに変えようぜ!」
そんな前向きな言葉かけが、子どもの心を強くするはずです。
条件2:自分の武器を磨く「探究心」- スライダーとチェンジアップの有効性
萬谷投手のストレートは130キロ台。全国レベルでは、決して豪速球投手ではありません。しかし、彼は自分の武器であるスライダーとチェンジアップを徹底的に磨き上げ、超高校級の強力打線を抑え込みました。
これは、少年野球の選手たちにとって大きなヒントになります。速い球を投げることだけがエースの条件ではありません。
- コントロールを磨く
- 変化球を一つ、完璧にマスターする
- 牽制やフィールディングを誰よりも上手くなる
自分だけの「武器」は何かを考え、それを磨き続ける探究心。それが、体格や才能に恵まれなくても、チームに不可欠なエースになるための道筋を示してくれます。
条件3:仲間から信頼される「人間性」- 監督が続投させた理由
佐々木監督はなぜ、9回2死満塁の場面で萬谷投手を交代させなかったのでしょうか。それは、彼のピッチング技術だけでなく、日頃の練習態度や野球に取り組む姿勢を含めた「人間性」を信頼していたからに他なりません。
エースとは、単に野球が上手い選手ではありません。誰よりも練習し、誰よりも声名を出し、仲間のミスをカバーする。そんな姿を見ているからこそ、野手は「あいつのためなら打たれても守ってやる」と思い、監督は「あいつに最後まで託そう」と決断できるのです。
野球の技術を教えることはもちろん大切ですが、それ以上に、感謝の気持ちや仲間を思いやる心といった「人間性」を育むことが、真のエースへの一番の近道なのかもしれません。
“怪物”はこうして生まれる。世界を見据える花巻東・佐々木洋監督の育成術

大谷翔平、菊池雄星。なぜ花巻東からは、世界で活躍するようなスケールの大きな選手が次々と生まれてくるのでしょうか。その答えは、2001年からチームを率いる佐々木洋監督の唯一無二の指導哲学にあります。
「甲子園がゴールじゃない」- 大谷翔平を育てた指導哲学
佐々木監督の指導の根幹にあるのは、「甲子園での優勝が野球人生のゴールではない」という考え方です。彼は常に選手のその先、大学、社会人、プロ、そして世界で活躍できる人材を育てることを見据えています。
その象徴が、大谷翔平選手を「投手と打者の二刀流」として育て上げた育成プランです。高校生という早い段階から将来の可能性を狭めることなく、彼の才能を最大限に引き出すことに注力しました。
この「世界基準」の視点が、選手たちに高い目標を持たせ、目先の勝利に一喜一憂しない、スケールの大きな成長を促しているのです。
選手を信じ抜く力。9回のピンチで見せた監督の「覚悟」
智弁和歌山戦の9回、満塁のピンチで見せた萬谷投手への信頼。これも、佐々木監督の指導スタイルを象
徴する場面です。彼は、選手が乗り越えるべき壁を与え、それを自らの力で乗り越えるまで辛抱強く待ちます。
この「信じて任せる」という姿勢は、選手の自主性を育て、監督に言われたからやる「指示待ち」の選手ではなく、自ら考えて行動できる選手を育みます。少年野球の指導者や保護者にとっても、非常に参考になるスタンスではないでしょうか。
野球だけじゃない「人間教育」の重要性
花巻東の選手たちは、口を揃えて「ここでしか学べない人間教育がある」と言います。佐々木監督は、野球の技術指導と同じくらい、挨拶や礼儀、目標設定の方法など、社会で生きる上で必要な人間力を育むことを重視しています。
この厳しいながらも愛情あふれる指導が、選手たちの精神的な成熟を促し、大舞台でも動じない強靭なメンタリティを育んでいるのです。
2025年花巻東ナイン徹底解剖!甲子園を沸かせる選手たち
萬谷投手だけじゃない!今年のチームも、個性豊かで魅力的な選手が揃っています。親子で「推し」の選手を見つけて応援すれば、試合観戦がもっと楽しくなること間違いなしです!
【完全版】2025年夏 甲子園ベンチ入りメンバー一覧(出身中学・チーム付)
背番号 | 選手名 | 学年 | ポジション | 投/打 | 身長/体重 | 出身中学 | 中学所属チーム |
1 | 金野 快 | 3年 | 投手 | 右/左 | 184cm/86kg | 岩手・大平中学 | 花巻シニア |
2 | 高橋 蓮太郎 | 3年 | 捕手 | 右/右 | 178cm/90kg | 宮城・面瀬中学 | 金ヶ崎シニア |
3 | 新田 光志朗 | 3年 | 外野手 | 右/左 | 180cm/79kg | 岩手・北上南中学 | 金ヶ崎シニア |
4 | 山﨑 力 | 3年 | 内野手 | 右/右 | 178cm/80kg | 岩手・滝沢南中学 | 中学軟式野球部 |
5 | 髙間木 颯我 | 3年 | 内野手 | 右/左 | 176cm/75kg | 岩手・仙北中学 | 盛岡東シニア |
6 | 森下 祐帆 | 3年 | 内野手 | 右/右 | 176cm/63kg | 岩手・東朋中学 | 中学軟式野球部 |
7 | 千葉 琉晟 | 3年 | 投手 | 左/左 | 172cm/70kg | 岩手・黒石野中学 | 盛岡姫神シニア |
8 | 佐藤 謙成 | 3年 | 外野手 | 左/左 | 165cm/65kg | 岩手・前沢中学 | 中学軟式野球部 |
9 | 髙橋 朔太郎 | 3年 | 外野手 | 右/右 | 180cm/84kg | 岩手・沼宮内中学 | 盛岡姫神シニア |
10 | 中村 耕太朗 | 3年 | 捕手 | 右/左 | 178cm/71kg | 岩手・花巻中学 | 花巻シニア |
11 | 千葉 脩平 | 3年 | 内野手 | 右/右 | 182cm/80kg | 岩手・江刺第一中学 | 花巻シニア |
12 | 髙橋 勇政 | 3年 | 捕手 | 右/左 | 174cm/70kg | 岩手・前沢中学 | 中学軟式野球部 |
13 | 中村 駿亮 | 3年 | 内野手 | 右/左 | 182cm/92kg | 千葉・八千代中学 | 八千代ボーイズ |
14 | 菊田 大暉 | 3年 | 内野手 | 右/右 | 174cm/72kg | 岩手・遠野東中学 | 花巻シニア |
15 | 古城 大翔 | 2年 | 内野手 | 右/右 | 180cm/94kg | 神奈川・早渕中学 | 都筑中央ボーイズ |
16 | 赤間 史弥 | 2年 | 外野手 | 左/右 | 180cm/98kg | 岩手・黒石野中学 | 盛岡北シニア |
17 | 萬谷 堅心 | 2年 | 投手 | 左/左 | 177cm/70kg | 岩手・下小路中学 | 盛岡北シニア |
18 | 中屋敷 建介 | 3年 | 内野手 | 右/左 | 178cm/60kg | 岩手・長内中学 | 中学軟式野球部 |
19 | 菊池 楽人 | 2年 | 内野手 | 右/右 | 167cm/64kg | 岩手・水沢中学 | 中学軟式野球部 |
20 | 戸倉 光揮 | 1年 | 投手 | 右/右 | 178cm/83kg | 東京・三鷹第四中学 | 狭山西武ボーイズ |
注目選手紹介①:父は元プロ!4番・古城大翔のポテンシャル
4番・一塁手でスタメン出場した古城大翔(ふるき ひろと)選手も、萬谷投手と同じく将来が期待される2年生。彼の父は、元プロ野球選手で現在は読売ジャイアンツでコーチを務める古城茂幸氏です。
180cm、94kgという恵まれた体格から放たれる長打が魅力の大型スラッガーで、中学時代には通算20本塁打を記録。昨夏の甲子園でも1年生ながらヒットを放っており、大舞台での経験も豊富です。偉大な父の背中を追い、甲子園でどんなアーチを描いてくれるのか、期待が高まります。
注目選手紹介②:異色の二刀流!5番・赤間史弥の勝負強さ
智弁和歌山戦で貴重な同点の犠牲フライを放った5番の赤間史弥(あかま ふみや)選手も注目の2年生。180cm、98kgという規格外の体格を持つ彼は、「左投げ右打ち」という非常に珍しいスタイルの選手です。
投手としては130キロ後半の速球を投げ、打者としては長打を連発。智弁和歌山戦で見せた勝負強さも光ります。萬谷投手とは中学(盛岡北シニア)からのチームメイトでもあり、バッテリー以外の「二刀流」として、チームに欠かせない存在です。
注目選手紹介③:努力の天才!2番・佐藤謙成の進化
初回の逆転劇の口火を切った2番の佐藤謙成(さとう けんせい)選手(3年)は、努力でチャンスを掴んだ選手です。春までは9番打者でしたが、夏に向けて猛然とアピール。2013年夏の甲子園で活躍した同校OBの千葉翔太さん(元楽天)の映像を研究し、相手投手に球数を投げさせるいやらしい「カット打法」を習得。その粘り強い打撃が認められ、2番打者に抜擢されました。
小柄ながらも存在感は抜群。彼のしぶといバッティングが、花巻東の攻撃の鍵を握ります。
注目選手紹介④:文武両道!主将・中村耕太朗のリーダーシップ
背番号10でチームをまとめる主将・中村耕太朗(なかむら こうたろう)選手(3年)は、地元花巻市出身の捕手。中学時代はオール5だったという秀才でありながら、「佐々木監督の下で野球がやりたい」と花巻東への進学を決意しました。
将来はアメリカの大学進学を目指しており、スタンフォード大学で活躍するOBの佐々木麟太郎選手に刺激を受けているとのこと。彼の的確なリードとキャプテンシーが、投手陣を、そしてチーム全体を力強く支えます。
スタンドから送るエール。OB佐々木麟太郎が見守った勝利

この歴史的な一戦には、もう一人の主役がいました。アルプススタンドで、後輩たちに熱い声援を送っていたのは、花巻東OBで、佐々木洋監督の長男でもある佐々木麟太郎選手です。
父と後輩へ。アメリカから駆けつけた先輩の想い
高校通算140本塁打という歴代最多記録を打ち立て、卒業後はアメリカの名門スタンフォード大学に進学した佐々木麟太郎選手。2年前の夏、彼は準々決勝で最後の打者となり、甲子園の土を持ち帰ることなく聖地を去りました。
その悔しさを知る先輩が、父が率いるチームの勝利を、そして後輩たちの躍動を、万感の思いで見つめていました。試合後、彼は静かに、しかし力強く語りました。
「感動しました。みんなかっこよかったです」
親として、先輩として。野球との多様な関わり方
麟太郎選手の姿は、私たちに野球との素敵な関わり方を教えてくれます。
選手としてプレーすることだけが全てではない。父として、指導者として。そして、チームを卒業した後も、OBとして、一人のファンとして、チームを愛し、応援し続ける。
少年野球を卒業した我が子が、いつかスタンドから後輩たちに温かいエールを送る。そんな未来を想像するのも、野球の親としての大きな喜びの一つではないでしょうか。
まとめ

2025年、夏の甲子園。花巻東高校が見せた優勝候補・智弁和歌山に対する劇的な勝利。
それは、偉大な先輩の「出世番号17」を背負った2年生エース・萬谷堅心投手の魂のピッチングと、彼を信じ抜いた佐々木洋監督の采配、そしてチーム一丸となった選手たちのひたむきなプレーが噛み合って生まれた、必然の勝利でした。
この記事では、その勝利の裏側にあるたくさんの物語を紐解いてきました。
- 初回の逆転劇に見る、挑戦者としての強い意志。
- 萬谷投手の熱投から学ぶ、エースの条件。
- 佐々木監督の育成術に隠された、世界で通用する人材育成のヒント。
- 古城選手や赤間選手ら、次世代を担う個性豊かな選手たちの魅力。
甲子園という大舞台は、私たちに最高のエンターテインメントを提供してくれると同時に、子育てや人材育成における普遍的なテーマを教えてくれます。
この夏、花巻東はどこまで勝ち進むのでしょうか。次戦は8月14日、兵庫代表の東洋大姫路と対戦します。
ぜひ親子でテレビの前に座り、萬谷投手のピッチングに、花巻東ナインの活躍に、そしてスタンドから声援を送る麟太郎選手の姿に、注目してみてください。
そして、試合を見ながら、ぜひお子さんと語り合ってみてください。
「今日の試合、何が一番すごかった?」
「君がピッチャーだったら、あの場面でどんな球を投げる?」
「君にとってのヒーローは誰だった?」
そんな何気ない会話が、お子さんの野球への情熱をさらに高め、親子の絆をより一層深めてくれるはずです。花巻東の新たな挑戦が、あなたの家族にとって、忘れられない夏の思い出となりますように。