その一球には物語がある。震災から世界へ繋がる「キャッチボールクラシック」を、今週末パパと息子で始める理由
「キャッチボールしようか」
そう声をかけても、息子はスマホから目を離さずに生返事。「えー、また? 今ゲームいいところなんだけど」。
やっと重い腰を上げてグラウンドや公園に行っても、5分もすれば「もう疲れた」「帰りたい」と言い出す。投げるボールはあさっての方向に飛び、捕る時も腰が引けている。「もっとちゃんと投げろよ!」「相手の胸めがけてって言ってるだろ!」ついイライラして強い口調になり、息子はふてくされ、気まずい空気のまま帰路につく……。
こんな週末を過ごしていませんか?
もし、あなたが「キャッチボールなんて、ただボールを投げ合うだけの単純作業だ」と思っているなら、それは大きな間違いです。そして、子供がすぐに飽きてしまうのも無理はありません。なぜなら、そこには「目的」と「物語」が欠けているからです。
今日ご紹介するのは、そんなマンネリ化した親子のキャッチボールを一瞬で「熱狂的なスポーツ」に変え、さらに「思いやりの心」まで育む魔法の競技です。その名は「キャッチボールクラシック(CBC)」。
「なんだ、プロ野球選手会がやってるアレか。9人でやるやつでしょ? 親子じゃ無理だよ」
そう思ったあなたこそ、この記事を最後まで読んでください。これは単なるルールの解説ではありません。2011年、震災という絶望の中から生まれたこの競技が、いかにして国境を越え、今やネパールやガーナの子供たちと繋がる「世界共通言語」になったのか。その壮大なストーリーを知った時、あなたが投げる一球は、劇的に重みを変えるはずです。
そして記事の後半では、この世界標準の競技を「親子2人」で楽しむための独自メソッドも公開します。場所がない、時間がない、人数がいない。そんな「ないない尽くし」を言い訳にせず、工夫して乗り越える強さを、ぜひお子さんに伝えてあげてください。
※AI生成による音声コンテンツにて、発音や読み方に違和感ございますが、ご了承ねがいます。
「ただのキャッチボール」がすぐに飽きる理由と、世界が熱狂する「答え」
「えー、また?」と言われないために。練習を「ゲーム」に変える発想
少年野球のパパコーチや保護者の皆さんから、最も多く寄せられる悩みの一つが「自主練が続かない」というものです。特に低学年のうちは集中力が長く続きません。素振りをさせても10回で飽きる、キャッチボールをしてもすぐに虫を追いかけ始める。
これは子供のせいではありません。練習が「作業」になっているからです。
子供は「遊び」の天才です。ゲームや鬼ごっこなら何時間でも走り回ります。なぜでしょうか? そこには「ルール(制限)」と「スコア(目標)」、そして「フィードバック(達成感)」があるからです。
漫然としたキャッチボールには、これらがありません。「しっかり投げろ」という曖昧な指示(ルール)と、終わりの見えない時間(制限なし)。これでは飽きるのも当然です。
ここで発想を転換しましょう。練習を「ゲーム」にするのです。
「しっかり投げる」ではなく、「2分間で何回できるか」。「きれいに捕る」ではなく、「ミスを何回以下に抑えられるか」。
この「ゲーミフィケーション」の要素を、極限までシンプルに、かつ競技レベルまで高めたのが「キャッチボールクラシック」なのです。
日本生まれの公式競技「キャッチボールクラシック(CBC)」とは何か?
キャッチボールクラシック(以下、CBC)は、日本プロ野球選手会(JPBPA)が振興している公式競技です。そのルールは驚くほどシンプルですが、奥が深いものです。
- 人数: 1チーム9人(5人と4人に分かれて向かい合う)
- 距離: 7メートル
- 時間: 2分間
- ルール: ボールを投げたら、自分の列の最後尾に走って移動する。2分間で何回キャッチボールが成立したかを競う。
たったこれだけです。しかし、実際にやってみると、その運動量と頭の回転の速さに驚かされます。投げた直後にダッシュで列の後ろへ回るため、息が上がります。次々に相手が変わるため、相手の身長や捕球能力に合わせて「取りやすい球」を瞬時に判断して投げなければなりません。
暴投すればタイムロスになります。取りにくい球を投げれば、仲間が苦労します。自然と「相手のために投げる」という意識、つまり「思いやり」がなければ記録が伸びない仕組みになっているのです。
必要なのはボール1つと2分間だけ。親子サイズへの適応可能性
「でも、うちは9人も集められないよ」
その通りです。公式大会に出るには9人が必要ですが、この競技の「エッセンス(本質)」を取り入れるのに、9人は必要ありません。
必要なのは、ボール1つ(できればCBC専用の「ゆうボール」が望ましいですが、軟式球でも可)と、スマホのタイマーだけ。あとは7メートル(低学年なら5メートル)の距離を測るメジャーがあれば完璧です。
親子2人でも、「2分間で何回できるか」を計測することは可能です。これを私たちは「CBCデュオ(Duo)」と呼んで推奨しています。
昨日の記録が「45回」なら、今日は「46回」を目指す。たったそれだけで、ダラダラしていたキャッチボールが、目が血走るような真剣勝負に変わります。「今のボール、ちょっと高かったね!」「次はもっと胸元に投げるよ!」と、具体的な反省と修正が、親子の会話の中で自然に生まれるのです。
しかし、この競技の本当の価値は、単なる「回数競争」ではありません。なぜ、距離は「7メートル」なのか? なぜ「2分間」なのか?
その背景には、決して忘れてはならない、ある「冬の物語」があります。
【歴史】2011年、福島の冬。ボールに込められた「FOR OUR KIDS」の誓い

3.11の衝撃と放射線の壁。屋外活動を奪われた子供たち
時計の針を2011年に戻しましょう。3月11日、東日本大震災が発生。東北地方は甚大な被害を受けました。特に福島県は、地震や津波の被害に加え、原発事故による放射能の影響という、見えない恐怖とも戦わなければなりませんでした。
「外で遊んではいけません」
「グラウンドの土に触れてはいけません」
「長時間の屋外活動は控えましょう」
野球が大好きな少年たちから、白球を追う日常が奪われました。学校のグラウンドには除染作業のために重機が入り、仮設住宅が立ち並びました。野球部は活動休止を余儀なくされ、子供たちは運動不足とストレスを抱え込んでいきました。
「このままでは、福島から野球の灯が消えてしまう」
「子供たちの笑顔を取り戻したい」
そんな切実な声が、福島県の中学野球指導者たちから上がりました。しかし、現実には場所も時間も制限されています。以前のように広い球場で、何時間も練習することは許されない状況でした。
「短い時間で、狭い場所でも」プロ野球選手会と地元指導者の苦闘と発明
このSOSに応えたのが、日本プロ野球選手会でした。当時の選手会長であった新井貴浩氏(現・広島東洋カープ監督)らプロ野球選手たちは、「FOR OUR KIDS(子供たちのために)」をスローガンに掲げ、被災地支援に動き出していました。
福島の指導者と選手会が膝を突き合わせ、議論を重ねました。
「広い場所がなくてもできることはないか?」
「短時間でも十分な運動量を確保できないか?」
「ボール一つで、チームの絆を感じられるものはないか?」
多くの制約条件(Constraints)がありました。しかし、逆境は発明の母です。
「キャッチボールなら、狭い場所でもできる」
「ただ投げ合うだけでなく、走る要素を加えれば運動になる」
「時間を区切って競争にすれば、集中力が高まる」
こうして考案されたのが、「キャッチボールクラシック」の原形でした。
派手なホームラン競争でもなく、華麗な守備練習でもない。野球の基本中の基本である「キャッチボール」を競技化する。それは、野球の原点に立ち返るような試みでした。
7メートル・9人・2分間。ルール一つひとつに刻まれた「制限の中の自由」
CBCのルールには、当時の苦悩と工夫が刻まれています。
なぜ「7メートル」なのか?
これは、塁間(約23メートル)の約3分の1であり、学校の体育館や武道場、あるいは教室の廊下でも確保できるギリギリの距離でした。また、初心者でもなんとかノーバウンドで届き、上級者なら高速で投げられる絶妙な距離でもあります。
なぜ「9人」なのか?
野球は9人でやるスポーツ。たとえ試合ができなくても、9人が心を一つにする感覚を忘れないでほしいという願いが込められています。
なぜ「2分間」なのか?
放射線の影響を考慮し、屋外での活動時間を極力短くする必要があった当時の状況において、「短時間集中」は必須条件でした。また、全力で投げ、走り、列に並ぶという動作を繰り返すこの競技において、2分間というのは無酸素運動の限界に近い、非常にタフな設定でもあります。
このルールは、単なる思いつきではありません。「制限」があったからこそ生まれた、究極に研ぎ澄まされたフォーマットなのです。
復興のシンボルから全国へ。2013年オールスターでの飛躍
2011年12月、福島県いわき市で第1回の大会が開催されました。
久しぶりに屋外で、仲間と思いっきりボールを投げ合う子供たち。その顔には、震災以来見たことのないような満面の笑みが溢れていました。
「野球って、やっぱり楽しい!」
その声は、大人たちの涙を誘いました。
2012年には福島県内で本格的に普及が始まり、2013年には大きな転機が訪れます。いわきグリーンスタジアムで開催されたプロ野球オールスターゲーム。その試合前のイベントとして、CBCが行われたのです。
日本を代表するスター選手たちが、福島の子供たちと同じルールで、本気でキャッチボールをする。その姿が全国に放映され、CBCは「被災地のレクリエーション」から「全国規模の競技」へと飛躍しました。
現在では、全国大会が開催され、予選を勝ち抜いた強豪チームが「日本一」をかけてしのぎを削っています。しかし、その根底にあるのは、常に「FOR OUR KIDS」の精神であり、逆境を乗り越える強さなのです。
【転機】2020年、コロナ禍の絶望が「世界」への扉を開いた

大会中止の危機が生んだ逆転の発想。「オンライン大会」という希望
2020年、世界は新型コロナウイルスという未曾有の危機に直面しました。
再び、子供たちから「野球ができる日常」が奪われました。集まって練習することが禁じられ、目標としていた全国大会も中止。2011年の福島の悪夢が、今度は世界規模で再現されたのです。
しかし、CBCの関係者たちは諦めませんでした。「震災の時もそうだった。工夫すれば道はあるはずだ」。
そこで生まれたのが、「オンライン国際交流大会」というアイデアでした。
CBCは、対戦相手と接触する必要がありません。自分たちのチームだけで記録を出し、それを比較すれば勝負が決まります。つまり、同じ場所にいる必要がないのです。
Zoomなどのビデオ会議システムを使えば、離れた場所にいるチーム同士が、同時に「用意、スタート!」で競技を開始できる。
「これなら、全国、いや世界中の子供たちと繋がれるんじゃないか?」
国境を越えるボール。ネパール、ガーナ、ブラジル…世界20カ国との接続
2020年12月、初のオンライン大会が開催されました。
画面の向こうには、日本の子供たちだけでなく、ネパール、タイ、コスタリカ、ガーナなど、これまで「野球後進国」と呼ばれていた国々の子供たちの姿がありました。
野球道具が満足にない国でも、ボール1つと少しの広場があればできるCBCは、爆発的に普及していました。
福島の体育館にいる子供たちが投げる。
時差を超えて、ブラジルの子供たちが投げる。
ガーナの子供たちが、白い歯を見せて笑いながら投げる。
それらがモニター上で一つの映像となり、世界中が同時に「キャッチボール」をしている。それは、震災復興から始まった小さな種が、10年の時を経て、世界という大樹に育った瞬間でした。
「言葉はいらない」画面越しに共有された笑顔と共通言語としての野球
オンライン大会に参加した子供たちは言います。
「言葉は通じないけど、あっちのチームがミスして『あーっ』てなってるのを見ると、一緒だなって思う」
「すごい速い記録が出た時、画面越しに拍手してくれて嬉しかった」
キャッチボールに言葉はいりません。相手を思いやって投げ、捕る。ミスしたら励ます。それは世界共通のコミュニケーションです。
「野球(Baseball)」という共通言語があれば、人種も国境も貧富の差も超えて繋がれる。CBCはそれを証明しました。
パパ、想像してみてください。
今、庭でお子さんと投げ合っているそのボール。その延長線上に、ヒマラヤの山麓で、あるいはアフリカの大地で、同じように白球を追っている親子がいることを。
そう思うと、何気ない一球が、とても愛おしく、壮大なものに感じられませんか?
【技術論】なぜこの競技が「野球の原点」にして「最強の基礎練習」なのか
物語の次は、少し「技術(スキル)」の話をしましょう。
なぜ、多くのプロ野球選手や指導者が、このCBCを推奨するのか。単に「楽しいから」だけではありません。ここには、野球上達に必要なエッセンスが凝縮されているからです。
「相手の胸元へ」という鉄則。思いやりがなければ記録は伸びない
CBCで好記録(2分間で120回以上など)を出すチームには、共通点があります。それは「捕ってから投げるまでが速い」ことと、「相手が捕りやすい位置に投げている」ことです。
特に重要なのが後者です。どんなに剛速球を投げても、相手がジャンプしたり、ショートバウンドになったりすれば、捕球に時間がかかり、リズムが崩れます。次の走者が捕球位置に入るまでのタイムロスも生まれます。
「次の人が投げやすいように、右胸に投げる」
「背の低い子には、低めに投げる」
これはまさに、野球の守備における「基本」です。ゲッツー(併殺)を取る時、中継プレーをする時、思いやりのないボールはミスを生みます。
CBCでは、自己中心的なプレーは即座に「回数減」という結果として跳ね返ってきます。だからこそ、子供たちは肌感覚で「フォア・ザ・チーム(チームのため)」を学びます。口で「思いやりを持て」と言うより、よほど効果的な教育なのです。
2分間の集中力が養う「判断力」と「リズム感」
2分間、常に動き続けるCBCは、脳のトレーニングでもあります。
列に並んでいる間、子供は前の人の動きを見ています。「あ、次は左利きの子が投げるから、シュート回転してくるかも」「あの子は少し暴投が多いから、カバーの準備をしておこう」。
予測と準備。そして自分の番が来たら、瞬時に捕球し、握り替え、ステップを踏んで正確に投げる。この一連の動作を、心拍数が上がった極限状態で繰り返します。
野球の試合でエラーが出るのは、多くの場合「焦り」や「準備不足」が原因です。CBCで養われる「プレッシャーの中で冷静に正確な動作をする能力」は、実戦の守備力向上に直結します。
専用球「ゆうボール」に見る、初心者と安全への配慮
日本プロ野球選手会は、CBCの普及に合わせて「ゆうボール」という専用ボールを開発しました(内外ゴム株式会社との共同開発)。
これは、見た目や縫い目は硬式ボールに近いですが、中身は柔らかく、当たっても痛くない素材でできています。
「キャッチボールをしたいけど、硬いボールは怖い」
「突き指が心配」
そんな初心者や未就学児、あるいはお母さんでも安心して参加できるように作られています。もちろん、通常の軟式ボールでもCBCは可能ですが、この「ゆうボール」の存在が、野球の敷居を下げ、より多くの人を巻き込む要因となっています。
【実践編】世界大会の熱狂を自宅の庭へ。「親子CBC(デュオ版)」完全ガイド
さあ、いよいよ実践です。
「9人もいないよ」というご家庭のために、親子2人でできる「CBCデュオ」の遊び方を伝授します。今週末、すぐに試せるメニューです。
ルールのアレンジ:9人を「親子2人」に落とし込む具体的メソッド
公式ルールを、親子2人用にカスタマイズします。
- 人数: 2人(パパと子供)
- 距離: 5~7メートル(子供の年齢に合わせて調整)
- 時間: 2分間(長い場合は1分間からスタート)
- ルール:
- 向かい合って立つ。
- 「用意、スタート!」で投げ始める。
- 公式ルールのような「移動」はできないので、その場で「足踏み(ステップ)」を入れる。
- 捕球したら、必ず「右足→左足(右投げの場合)」とステップを踏んでから投げる。手投げはNG。
- 2分間で何回往復できたかをカウントする。
- 【重要】 暴投(逸らして後ろにボールがいった場合)は、取りに行って戻る時間もタイムロスに含まれる(時計は止めない)。
この「暴投したら自分で取りに行く」というルールがミソです。ミスをすると走らなければならず、記録も落ちるため、お互いに必死で「捕りやすい球」を投げようとします。
距離は5mから。スマホのタイマーを使った「2分間チャレンジ」の進め方
Step 1: 環境設定
公園や庭で、メジャーを使って距離を測ります。マーカー(帽子やペットボトルでOK)を置くと、距離が一定になりフェアな記録が出ます。低学年は5m、高学年は7mが目安です。
Step 2: 目標設定
いきなり2分は長いので、まずは1分間でやってみましょう。「今日は1分で20回を目指そう」と具体的な数字を出します。
Step 3: 計測と撮影
パパのスマホでタイマーをセット。できれば、スマホを置いて動画を撮影してください。後でフォームを確認するのに役立ちますし、記録達成の瞬間を残せます。
Step 4: 実践
「スタート!」の声で開始。パパは、子供が捕りやすい胸元へ、愛を込めて投げます。子供が投げた球が逸れても、パパは必死で食らいつきます(パパの守備範囲の見せ所です!)。
Step 5: フィードバック
終わったら、動画を見ながら反省会。「後半バテて手投げになってたね」「今の握り替え、プロみたいに速かったよ!」と、ポジティブな会話を交わします。
「昨日の自分たち」をライバルに。記録ノートで成長を可視化する
CBCの最大の敵は、相手チームではなく「昨日の自分たち」です。
ぜひ、「親子CBCノート」を作ってください。
- 日付
- 距離
- 時間
- 回数
- 一言感想(「新記録達成!」「風が強かった」など)
これを記録していくだけで、子供のモチベーションは爆上がりします。
「先週は40回だったけど、今日は45回いけた!」
この「成長の可視化」こそが、継続の秘訣です。RPGゲームでレベルが上がるのと同じ快感を、現実の練習で味わわせてあげるのです。
失敗した時こそチャンス。「今のドンマイ!」の声かけが子供を救う
2分間の最中に、必ずミスは起きます。子供が悪送球をして、パパの頭上を越えていくこともあるでしょう。
その時、パパはどうしますか?
「どこ投げてるんだ!」と怒鳴りますか?
違います。CBCは「切り替え」のスポーツです。
ボールを取りに走る子供に、「ドンマイ! 次で取り返そう!」「急げ急げ、まだ時間あるぞ!」と声をかけてください。
ミスをした後に、どうリカバリーするか。
萎縮してしまうのか、それとも「次は絶対いい球を投げる」と奮起するのか。
パパの声かけ一つで、子供のメンタルタフネス(精神的な強さ)が育ちます。CBCは、親子の信頼関係を試すリトマス試験紙でもあるのです。
パパから子供へ伝えたい。「逆境を工夫で乗り越える」という生き方
最後に、このCBCを通じて、パパがお子さんに伝えてほしい「マインド」の話をします。
野球は道具や場所がなくてもできる。世界中の野球少年が教えてくれること
「うちには広い庭がないから練習できない」
「バッティングセンターに行くお小遣いがない」
そんな不満を子供が口にしたら、CBCの話をしてあげてください。
「福島のお友達はね、外に出られない時も、廊下で工夫してこのゲームを作ったんだよ」
「ガーナの子供たちは、グローブがなくても、ボロボロのボール一つで、こんなに楽しそうに野球をしているんだよ」
環境のせいにするのは簡単です。でも、本当にかっこいい野球選手は、与えられた環境の中でベストを尽くし、楽しみ方を見つけられる人です。CBCは、そんな「工夫する心」を教えてくれます。
イチロー氏も言及する「時短」の価値。ダラダラ練習からの卒業
2026年1月、イチロー氏が高校野球の「7イニング制」議論について言及し、話題になりました。氏は安易な短縮には反対の立場を示しましたが、その真意は「野球の深みを損なうな」ということであり、「ダラダラ長くやればいい」と言っているわけではありません。むしろ、氏は現役時代から、準備と集中力を何よりも大切にしてきました。
少年野球でも同じです。「何時間練習したか」ではなく「どれだけ集中したか」。
週末の貴重な時間、ただ漫然と2時間キャッチボールをするより、本気の2分間CBCを5セットやった方が、技術も体力も、そして親子の仲も深まるかもしれません。
「時間は有限である」。この当たり前の事実を、タイマーのカウントダウンが教えてくれます。限られた時間の中で全力を出し切る習慣は、野球だけでなく、勉強や将来の仕事にも必ず役立ちます。
今日投げる一球は、福島の、そして世界の誰かと繋がっている
次にキャッチボールをする時、お子さんにこう伝えてみてください。
「このキャッチボール、今はパパと二人だけど、同じ空の下で、世界中の何万人もの野球少年がやってるんだぜ。俺たちも『チーム・ワールド』の一員だな」
大げさかもしれませんが、そんなロマンが、子供の想像力を広げます。
自分は一人じゃない。このボールは、福島へ、ネパールへ、ガーナへと繋がっている。
そう感じられた時、子供が投げる一球には、単なるゴムボール以上の「魂」が宿るはずです。
まとめ:そのボールは「未来」へ続いている

キャッチボールクラシックは、2011年の震災という悲劇から生まれました。しかし、それは今、希望の象徴として世界中を駆け巡っています。
- 楽しさ: ゲーム感覚で熱中できる。
- 技術: 相手を思いやる正確なスローイングが身につく。
- 歴史: 逆境を乗り越えるレジリエンス(回復力)を学べる。
- 絆: パパと息子の、そして世界との繋がりを感じられる。
今週末、もしお子さんが「練習つまんない」と言ったら、ポケットからスマホを取り出し、タイマーをセットして言ってみてください。
「よし、じゃあ世界大会の予選をやろう。制限時間は2分。目標は昨日の俺たち超えだ。用意、スタート!」
その瞬間、あなたの家の庭は、熱狂のスタジアムに変わります。
さあ、パパ。準備はいいですか? ボールはあなたの手の中にあります。
