【ゴールデングラブ賞2025】キャッチャーの息子を持つパパへ。派手なプレーより伝えたい「扇の要」の準備と心

ゴールデングラブ賞のニュースを親子で見る様子 少年野球パパの応援指南

ゴールデングラブ賞から学ぶ少年野球キャッチャーの「準備」。引退した息子と語る「扇の要」の誇り

2025年のプロ野球シーズンも終わり、ストーブリーグの話題が熱を帯びてきましたね。
中でも、守備の栄誉である「三井ゴールデン・グラブ賞」の発表は、私たち野球パパにとっても大きな関心事ではないでしょうか。

「キャッチャーって、損な役回りだよな……」
そんなふうに、我が子のポジションに対して少し複雑な思いを抱いているパパへ。
まずは、この記事のエッセンスを凝縮した5分間の音声解説をお聴きください。中学野球までキャッチャーを続けた息子のエピソードを交え、親だからこそできる「応援の視点」について語っています。

華麗なダイビングキャッチ、矢のような送球。ニュースで流れるハイライトシーンを見て、「うわぁ、すごい!」「かっこいい!」と親子で盛り上がっているご家庭も多いと思います。

でも、ちょっと待ってください。
もし、あなたのお子さんが「キャッチャー」を守っている、あるいは興味を持っているなら、見てほしいのは「派手なプレー」だけではないんです。

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プロ野球ゴールデングラブ賞発表!パパが注目すべきは「キャッチャー」の受賞理由

プロ野球の守備のベストナインとも言える「ゴールデングラブ賞」。
2025年の受賞者が発表され、セ・リーグ、パ・リーグ共に素晴らしい名手たちが名を連ねました。

日本野球機構 (NPB) オフィシャルサイトでも詳細な得票数や受賞者のコメントが公開されていますが、私たち少年野球パパが特に注目すべきは、やはり「キャッチャー(捕手)」部門の選出理由です。

2025年の受賞選手に共通する「当たり前」の凄さ

今年のゴールデングラブ賞、キャッチャー部門の受賞選手を見て、あなたはどう感じましたか?
「やっぱりあの強肩はすごい」「盗塁阻止率が圧倒的だったからな」
もちろん、そういった目に見えやすい数字や能力は評価の大きな対象です。しかし、プロの記者が投票するこの賞において、評価されるポイントはそれだけではありません。

私が息子と今年の受賞者について話していた時、彼がボソッと言いました。
「この選手、『当たり前』のレベルが違うんだよね」

キャッチャーにおける「当たり前」とは何でしょうか。

  • ピッチャーが投げたボールを、しっかり捕る(キャッチング)。
  • ショートバウンドを、後ろに逸らさず止める(ブロッキング)。
  • 状況に応じた指示を、野手に出す(コーチング)。

これらは、ハイライト映像にはほとんど出てきません。ニュースになるのは、盗塁を刺した瞬間や、ホームでのクロスプレーぐらいです。
しかし、今年の受賞選手たちは、この「ニュースにならない当たり前のプレー」を、シーズンを通してミスなく、高いクオリティで続けました。

例えば、ある試合のワンシーン。
ランナー3塁、1アウト。バッターは外野フライを打ち上げました。
テレビカメラは打球と外野手を追いますが、ゴールデングラブ賞を獲るようなキャッチャーは、その瞬間、猛ダッシュで1塁ベースのバックアップに走っています。あるいは、ホームベース上の土をならし、タッチプレーに備えて位置を確認しています。

「ボールが飛んでいないところ」で、どれだけ動いているか。
どれだけのリスクを想定して、準備をしているか。
そういった「準備の量」と「ミスのなさ」こそが、プロの世界でも最高峰の評価につながっているのです。

盗塁阻止率だけじゃない?プロが評価する「ブロッキング」と「信頼」

少年野球では、どうしても「肩の強さ(盗塁を刺せるか)」でキャッチャーの良し悪しを判断しがちです。
しかし、2025年のゴールデングラブ賞の選考過程を見ていると、「ブロッキング(ワンバウンドを止める技術)」への評価が年々高まっているように感じます。

Full-Count(フルカウント)などの専門メディアのコラムでも度々取り上げられていますが、セイバーメトリクスなどのデータ分析が進んだ現代野球において、「パスボールやワイルドピッチによる進塁をどれだけ防いだか」は、盗塁阻止と同じくらい、あるいはそれ以上に重要視されています。

なぜなら、ワンバウンドを確実に止めてくれるキャッチャーがいると、ピッチャーは安心して低めに変化球を投げ込めるからです。
「低めに投げても、アイツなら止めてくれる」
この「信頼」こそが、ピッチャーの能力を最大限に引き出し、チームの防御率を良化させます。

息子も中学時代、よく言っていました。
「盗塁を刺すのは『見せ場』だけど、ワンバンを止めるのは『義務』。でも、ピッチャーが一番感謝してくれるのは、盗塁を刺した時より、クソボール(失投)を必死で止めた時なんだよ」

ゴールデングラブ賞を受賞するキャッチャーは、例外なくこの「信頼」を勝ち取っています。
派手な送球の裏には、体中のあちこちに青あざを作りながらボールを止め続けた、地味で痛い「献身」があるのです。

派手なダイビングキャッチの裏にある「予測」と「準備」

内野手や外野手のゴールデングラブ賞受賞シーンでは、横っ飛びで打球を捕るダイビングキャッチがよく映し出されます。
しかし、野球経験者の解説を聞くと、よくこう言われます。
「今のプレー、ファインプレーに見えますけど、最初の一歩目が早かったから追いつけたんですね」

キャッチャーも同じです。
例えば、送りバントの処理。
素早くボールに猛ダッシュして、3塁で刺すスーパープレー。あれは、バッターが構えた瞬間、あるいはその前の配球の時点で、「バントが来るかもしれない」と予測し、重心を前に移動させているからこそ可能なのです。

何も考えずに座っていて、バントされてから「あっ!」と動いたのでは、絶対に間に合いません。
「予測」し、「準備」する。
この思考のプロセスが、0.1秒の差を生み、アウトかセーフかを分けます。

今年のゴールデングラブ賞受賞者たちのプレーを、ぜひお子さんと一緒に「スロー再生」で見てみてください。
ピッチャーが投げる前、バッターが打つ瞬間に、彼らがすでに「次の動き」の準備を始めていることに気づくはずです。
それこそが、プロの凄みであり、少年野球の子供たちにも真似してほしい一番のポイントなのです。

元キャッチャーの息子(中学野球引退)と振り返る「防具の重み」と「投手を支える背中」

試合を作る「扇の要」プロのキャッチャーの集中力
派手なプレーの裏には、投手をリードし試合を作る緻密な「準備」があります。

ここで少し、私自身の話をさせてください。
私の息子は、小学3年生の時に地元の少年野球チームに入り、そこから中学3年の夏まで、約10年間、ほぼキャッチャー一筋でプレーしました。

最初は、「マスクを被るのがかっこいい」「プロテクターがロボットみたい」という、単純な憧れからでした。
しかし、そのポジションの過酷さを知るのに、時間はかかりませんでした。

小学生時代、ワンバウンドを体で止めて泣いていたあの日

忘れもしません。息子が小学4年生の時の練習試合です。
その日は風が強く、砂埃が舞う寒い日でした。相手チームのランナーが3塁にいて、ピンチの場面。
ピッチャーの子が投げたボールは、ホームベースの手前で大きくバウンドしました。

息子は教えられた通り、膝をついて体を正面に向け、ボールを止めようとしました。
しかし、イレギュラーしたボールは、プロテクターのない太ももの内側を直撃。
「うっ……」
マスク越しでもわかるほど顔をしかめ、息子はその場にうずくまりました。それでもボールだけは離しませんでした。

ベンチに戻ってきた息子の目には、涙が溜まっていました。
「痛かったな、大丈夫か?」と声をかけると、彼は悔しそうにこう言いました。
「痛いのはいい。でも、後ろに逸らさなくてよかった。あそこで逸らしてたら、点が入ってたから」

まだ10歳の子供が、自分の痛みよりも「点をやらないこと」を優先したのです。
私はその時、キャッチャーというポジションの特殊性と、それを担う息子の小さな覚悟を見た気がしました。

夏はサウナのような暑さの中で防具をつけ、冬は指先の感覚がなくなる寒さの中でボールを受ける。
突き指は日常茶飯事。ファウルチップが当たれば悶絶するほどの痛み。
それでも、「キャッチャーはチームの要だから、痛い顔を見せちゃダメなんだ」と、家で氷嚢を当てながら笑っていた息子の姿。
それは、親として見ていて辛くもあり、同時に誇らしくもありました。

「ピッチャーを気持ちよく投げさせる」ことの難しさと成長

中学生になると、技術的な課題よりも「精神的な役割」の重さに悩むようになりました。
キャッチャーは、グラウンド上で唯一、みんなと逆の方向を向いて守るポジションです。
チーム全体を見渡し、そして何より、孤独なマウンドに立つピッチャーを支えなければなりません。

「あいつ(エース)、今日は調子が悪くてイライラしてる。どう声をかければいいかわからない」
「サインに首を振られてばかりで、自信がなくなった」

夕食の時、息子はよくそんな愚痴をこぼしていました。
ピッチャーは繊細な生き物です。その日の調子、性格、試合の状況……すべてを考慮して、ベストなボールを引き出さなければなりません。
ただボールを捕るだけでなく、ピッチャーの「心」も受け止めなければならないのです。

ある試合で、ピッチャーが連打を浴びてマウンドで孤立していた時、息子がタイムをとってマウンドに行きました。
何を話しているのかはスタンドからは聞こえません。
しかし、マウンドを降りて戻ってきた息子が、ピッチャーのお尻をポンと叩いた瞬間、ピッチャーの表情がフッと緩んだのがわかりました。
その後、見事に後続を断ち切ったのです。

試合後、息子に「何を話したんだ?」と聞くと、
「『今日の晩御飯、ハンバーグらしいよ』って言っただけ」
と笑いました。
緊張でガチガチになっていたピッチャーをリラックスさせるための、彼なりの「配球」だったのです。

この時、私は思いました。キャッチャーというポジションは、単なる守備位置ではなく、「人間力」を育てる場所なのだと。
人の気持ちを考え、状況を観察し、自分の言葉でチームを動かす。
この経験は、野球以外の人生においても、かけがえのない財産になると確信しました。

引退した今だから言える「キャッチャーをやっていて良かった」こと

中学最後の夏、息子のチームは地方大会の3回戦で敗れました。
泣き崩れるピッチャーを、最後まで気丈に支え、整列の号令をかけたのはキャッチャーである息子でした。

引退して数ヶ月が経ち、受験勉強に向かう息子に、改めて聞いてみました。
「キャッチャー、大変だったろ? 辞めたいと思ったことなかったか?」

息子はペンを回しながら、少し考えてこう答えました。
「んー、キツかったよ。暑いし、痛いし、怒られるし。でもさ、一番いい景色が見れる場所なんだよね、あそこ」

「一番いい景色?」

「うん。ピッチャーが三振取ってガッツポーズする瞬間も、内野手がファインプレーする瞬間も、ベンチのみんなが喜んでる顔も、全部一番特等席で見れるじゃん。あれは、キャッチャーにしか味わえない特権だよ」

そして、こう付け加えました。
「それに、俺がサイン出して、俺が構えたところにボールが来て、バッターが空振りした時のあの感触。あれはね、病みつきになるよ。俺たちが試合を支配してるって感じがしてさ」

この言葉を聞いた時、私は救われたような気持ちになりました。
あざだらけの体も、悩み抜いた夜も、全て報われたのだと。
ゴールデングラブ賞を受賞するようなプロの選手たちも、きっとこの「特等席からの景色」と「試合を作る喜び」を知っているからこそ、あの過酷なポジションを守り続けているのでしょう。

少年野球のパパが「キャッチャーの我が子」にかけてあげたい言葉

泥だらけでボールを止める少年野球のキャッチャー
ワンバウンドを体で止める。その痛みが「投手を助けたい」という責任感を育てます。

今、この記事を読んでいるパパの中には、週末の試合で息子さんがパスボールをして負けてしまい、かける言葉に迷っている方がいるかもしれません。
あるいは、キャッチャーという重責に押しつぶされそうな我が子を、どう励ませばいいか悩んでいる方もいるでしょう。

野球未経験の私たちが、技術的な指導をするのは難しいです。
「もっと体で止めろ!」「配球が悪い!」なんて言っても、子供は「パパはわかってない!」と反発するだけでしょう。

でも、「パパだからこそ気づけること」「パパにしかかけられない言葉」があります。
ここからは、私が10年間、キャッチャーの息子の応援を通じて学んだ「親の関わり方」のヒントをお伝えします。

エラーやパスボールを責める前に見るべき「投球前の準備」

試合中、どうしても私たちは「結果」に目が行きがちです。
ボールを逸らした。盗塁を刺せなかった。キャッチャーフライを落とした。
そのミスを指摘するのは簡単です。しかし、そのミスがなぜ起きたのか、その「前の段階」を見てあげてほしいのです。

例えば、パスボールをした時。
「なんで捕れないんだ!」と怒るのではなく、その前の構えを見てみてください。
腰が高くなっていなかったか? ミットを出すのが遅れていなかったか?
あるいは、もっと前。ピッチャーへの返球が雑になっていなかったか?

ゴールデングラブ賞の話題でも触れましたが、名手と呼ばれる選手は「準備」が完璧です。
子供たちも、ミスをする時はたいてい「準備不足」か「集中力の欠如」が原因です。

もし、お子さんがワンバウンドを逸らしてしまったら、試合後にこう聞いてみてください。
「あの時、『ワンバンが来るかも』って思って構えてた?

もし「思ってなかった」と言えば、「次は『来るかも』って準備しておけば、きっと止められるよ」とアドバイスできます。
もし「思ってたけど止められなかった」と言えば、「準備してたならナイスチャレンジだ。次は体の向きを変えてみようか」と、技術的な課題(コーチに聞くなど)にステップアップできます。

結果を責めるのではなく、「準備の意識」を確認する。
これなら、野球未経験のパパでもできますし、子供も「パパはちゃんと見てくれている」と感じてくれます。

佐藤輝明選手(サード)ら他ポジションの受賞者から学ぶ「一歩目の意識」

今回はキャッチャーの話が中心ですが、他のポジションの受賞者からも学べることはたくさんあります。
例えば、阪神タイガースの佐藤輝明選手
彼はかつて、守備でのミスが目立ち、スタメンを外されることもありました。しかし、2025年、彼は見事にゴールデングラブ賞(三塁手部門)を受賞しました。

報道によれば(スポーツニッポン等の記事を参照)、彼の守備が劇的に向上した理由は、特守による技術向上はもちろんですが、何より「一歩目のスタート」への意識改革があったと言われています。
「ボールが飛んでから動く」のではなく、「インパクトの瞬間に合わせて予備動作を入れる」。このコンマ何秒の「準備」が、守備範囲を広げ、送球を安定させたのです。

これは、キャッチャーにも、どのポジションにも通じる真理です。
キャッチャーなら、バント処理やキャッチャーフライへの反応。
「ボールがどこに飛んでも、すぐに動ける準備ができているか?」

佐藤選手の受賞は、「意識と準備を変えれば、守備は必ず上手くなる」という最高の証明です。
「あの佐藤選手だって、昔はエラーして怒られてたんだよ。でも、準備を変えて日本一になったんだ。お前も絶対に上手くなるよ」
そんなふうに、プロ選手のストーリーを借りて、子供に希望を持たせてあげてください。

プロの試合(オフの映像)を親子で見る時の「マニアックな視点」のススメ

オフシーズンは、YouTubeなどで過去の名場面や「好プレー集」を見る機会も増えると思います。
その時、ただ漫然と見るのではなく、パパが「マニアックな視点」を誘導してあげると、子供の野球脳はぐんぐん育ちます。

キャッチャーの子なら、こんな視点がおすすめです。

  • 「今のショートバウンド、キャッチャーはどうやって止めた?」
    • ミットの出し方、膝のつき方、アゴの引き方などを一時停止して観察する。
  • 「盗塁を刺した時、ピッチャーのクイック(投球動作)は何秒だった?」
    • 盗塁阻止はキャッチャーだけの責任ではありません。ピッチャーとの共同作業であることを理解させる。
  • 「ピンチの時、キャッチャーはどこを見て、どんなジェスチャーをしてる?」
    • 野手への指示出し、間合いの取り方など、リーダーシップの動きを学ばせる。

「パパ、細かいところ見すぎ!」と笑われるかもしれません。
でも、そうやって「一つのプレーを深掘りする」楽しさを知れば、子供は自分の練習でも「どうすれば上手くいくか」を深く考えるようになります。
これぞ、まさに「リビングでの英才教育」です。

まとめ:ゴールデングラブ賞は「準備の賞」。冬の間に心を育てよう

ゴールデングラブ賞級キャッチャーの3つの要素
技術だけでなく、準備と心が「扇の要」を作ります。

今回は、ゴールデングラブ賞をテーマに、少年野球のキャッチャーについて深く考えてみました。

ゴールデングラブ賞は、単に「守備が上手い人」に贈られる賞ではありません。
1年間、誰よりも「準備」をし、誰よりもチームのために「献身」し、そして誰よりも仲間から「信頼」された選手に贈られる、誇り高き勲章です。

キャッチャーというポジションは、痛くて、辛くて、損な役回りかもしれません。
でも、そこには「チームを支える喜び」「試合を支配する醍醐味」があります。
それは、他のどのポジションでも味わえない、特別な景色です。

冬のオフシーズンは、派手なプレーの練習よりも、こうした「心」や「意識」を育てるのに最適な時期です。
コタツに入ってプロ野球の動画を見ながら、あるいは、お風呂の中で今日一日の練習を振り返りながら。
ぜひ、お子さんとたくさん話をしてください。

「ゴールデングラブ賞の選手みたいに、『準備』ができる選手になろうな」
「パパは、お前がマスクを被って座っている姿が、一番かっこいいと思うよ」

そんなパパの一言が、冷たい風の中で練習する子供の心を温め、来春のグラウンドで輝くためのエネルギーになるはずです。

私たちパパも、子供の「一番のファン」として、心のゴールデングラブ賞をあげられるような、温かい応援の「準備」をしておきましょう。
さあ、来シーズンも、親子で「ゼロからの挑戦」を楽しんでいきましょう!