【40代現役の極意】栗山巧・石川雅規に学ぶ!少年野球から長く楽しむ秘訣
「うちの子、野球始めたけど、いつまで続けてくれるかな…」
「プロ野球選手みたいに、長く活躍できる子に育ってほしいけど、何が大切なんだろう?」
少年野球にお子さんが打ち込む姿を見守るパパママなら、一度はこんなことを考えるのではないでしょうか。特に野球未経験のパパにとっては、どうすれば子供が野球を楽しみ、そして可能なら長く続けてくれるのか、具体的なヒントが欲しいですよね。
プロ野球の世界には、40歳を超えてもなお第一線で輝きを放つ「レジェンド」たちがいます。彼らはなぜ、厳しい競争の中で長きにわたり活躍し続けられるのでしょうか?
この記事では、球界を代表するベテラン、埼玉西武ライオンズの栗山巧選手(41歳 ※2024年6月時点)と、東京ヤクルトスワローズの石川雅規投手(45歳 ※2024年6月時点)の二人にスポットを当てます。
プレースタイルもポジションも異なる二人ですが、その野球人生や日々の取り組みには、少年野球の子どもたちが長く野球を楽しみ、成長していくための普遍的なヒントが数多く隠されています。
そして、この記事の魅力をさらに深掘りし、野球パパ二人がそのポイントをラジオ風の対談形式で分かりやすく解説する音声コンテンツもご用意しました。記事を読む前に、あるいは読みながら、耳からも情報をインプットしてみませんか? きっと、二人のレジェンドの言葉がより深く心に響き、親子で野球について語り合うきっかけにもなるはずです。
さあ、この記事と音声を通じて、栗山選手と石川投手の凄さの秘密、そして少年野球の親子が今日から実践できる「長く野球と付き合うための心構えや行動」を一緒に探っていきましょう。野球未経験のパパにも分かりやすく、具体的なエピソードを交えながら徹底解説します!
なぜ彼らは40代でも現役でいられるのか?~球界のレジェンド、栗山巧選手と石川雅規投手~
まずは、二人の輝かしい球歴を簡単にご紹介しましょう。
栗山巧選手は、2001年に育英高校からドラフト4巡目で西武ライオンズに入団。ライオンズ一筋24年目の外野手です(2024年シーズン時点)。2008年には最多安打のタイトルを獲得し、2021年には球団生え抜き選手として初めて通算2000本安打を達成。さらに2024年5月には通算3000塁打という金字塔を打ち立てました。まさに「ミスターレオ」「生ける伝説」です。
石川雅規投手は、青山学院大学から2001年の自由獲得枠でヤクルトスワローズに入団。プロ24年目の投手です(2024年シーズン時点)。身長167cmとプロ野球選手としては小柄ながら、卓越した技術と投球術で勝ち星を積み重ね、2024年4月にはプロ野球新記録となる24年連続勝利をマーク。通算188勝(2024年6月18日時点)を挙げ、名球会入りの条件である200勝も目前に迫っています。「小さな大投手」として、多くのファンに勇気を与え続けています。
彼らがこれほど長く第一線で活躍し続けられるのは、単に才能に恵まれていたからだけではありません。そこには、想像を絶する努力、野球への深い愛情、そして徹底した自己管理が存在します。次章からは、二人に共通する「長く続ける秘訣」を具体的に見ていきましょう。
【共通点1】揺るぎない野球への探究心と日々の準備
長く活躍する選手に共通するのは、野球に対するどこまでも真摯な姿勢と、尽きることのない探究心です。彼らは現状に満足することなく、常に高みを目指し、新しい知識や技術を貪欲に吸収し続けます。
「野球職人」栗山巧選手の探求心と準備力
栗山選手は、まさに「野球職人」という言葉がふさわしい求道者です。
- 徹底した自己分析と準備: 栗山選手にとって、試合前の練習は理想の打撃を追求し、自身の状態を確認するための重要な「作業」です。数年来、同じ打撃投手に投げてもらうことで、微妙な感覚のズレを修正し、常に最高の状態で試合に臨む準備を怠りません。自主トレーニングでは、手投げのボールとピッチングマシンの球の違いを意識し、打撃の重心を微調整するなど、常に課題を持って練習に取り組んでいます。この周到な準備こそが、長く安定した成績を残す基盤となっています。
- 「苦練」を厭わない精神: 栗山選手の練習量は、他の選手を圧倒すると言われます。元チームメイトの呉念庭選手は、栗山選手が練習後に一人でピッチングマシンの前に立ち、1時間以上も無心でバットを振り続け、バットが変色するほど打ち込む姿に衝撃を受けたと証言しています。彼は「野球に嘘をつかない」ことを信条とし、手を抜くことなく、やるべきことを黙々とやり続けます。
- 野球ノートによる自己対話: 栗山選手は入団以来、野球ノートをつけ続けています。その時の思いや気づきを書き留め、調子が悪い時や悩んだ時に見返すことで、課題解決のヒントを得ているそうです。「結局は同じことの繰り返し。今現在思ったり、悩んだりしていることと、昔悩んだことは、技術面も含め、ほぼ一緒」と語り、継続して課題に取り組む重要性を認識しています。
「小さな大投手」石川雅規投手の探究心と柔軟性
石川投手もまた、その探究心と学ぶ姿勢で知られています。
- 「聞き魔」の探究心: 石川投手は「聞き魔」と称されるほど、常に学び続ける姿勢を持っています。若い頃から先輩投手に積極的に質問し、元中日の山本昌投手からは「走り込みと体のケア」の重要性を、元ヤクルトの石井一久投手からは練習への姿勢や的確なアドバイスから多くの刺激を受けました。
- 進化し続ける投球術: 40歳を超えても「まだまだ野球がうまくなりたい」という気持ちが、進化を続ける原動力です。元監督の古田敦也氏からアドバイスを受け、得意のシンカーをブラッシュアップするなど、常に新しい技術の習得に意欲的です。
- 「ピッチングにストーリーがある」: どうすれば1球で打ち取れるかを常に考え続け、足の上げ方や右足を降ろすタイミングを微妙に変えるなど、打者のタイミングを外す工夫を凝らしています。
少年野球への応用:探究心と準備の大切さ
栗山選手や石川投手のように、常に「なぜ?」「どうすればもっと良くなる?」と考える探究心は、少年野球の子どもたちにとっても非常に重要です。
- 「なぜ?」を大切にする: 練習中に疑問に思ったこと、試合で上手くいかなかったことをそのままにせず、コーチに質問したり、親子で話し合ったりする習慣をつけましょう。
- 野球ノートをつけてみる: 栗山選手のように、練習や試合で感じたこと、できるようになったこと、課題などを記録する「野球ノート」は、自分自身と向き合い、成長を促す素晴らしいツールです。野球未経験のパパでも、お子さんと一緒に「今日の発見」を共有する時間を持つことで、子どもの探究心を引き出すことができます。
- 準備の大切さを教える: 試合前のウォーミングアップや道具の手入れなど、「準備」が結果に繋がることを伝えましょう。プロ野球選手の試合前のルーティンなどを一緒に見てみるのも良いかもしれません。
【共通点2】徹底した自己管理能力~体との対話がカギ~

長くプレーするためには、自分の体と対話し、常に最高の状態を維持する自己管理能力が不可欠です。栗山選手も石川投手も、自分自身の体の声に耳を傾け、怪我を未然に防ぎ、最高のパフォーマンスを発揮するための術を知り尽くしています。
栗山巧選手の「怪我をしない体づくり」
栗山選手は、プロ2年目のオフから現在に至るまで、同じトレーナーと二人三脚で肉体づくりに励んでいます。そのトレーニング哲学は「怪我をしない、選手寿命が長く続けられる体づくり」です。
- スロートレーニングの実践: 効率的、効果的、安全という3つの特徴を持つ「スロートレーニング」を採用し、打球を飛ばすためだけの筋肉づくりではなく、長くプレーするための体づくりを目指しています。
- 専門家との連携: シーズン中はコンディションを見ながら週に1回程度のトレーニングやマッサージを行い、オフ期間には週3~4回はジムに通います。「枝葉の部分に気を取られてしまうと、幹を太くするのは難しい」と語り、基本となる「幹」の部分に専念し、細かい「枝葉」の部分は専門家に任せるという考え方です。
- 大きな故障なきキャリア: この徹底した体調管理により、死球による骨折を除いて大きな怪我なくキャリアを積み重ねています。
石川雅規投手のストイックな体のケア
石川投手も、長年にわたって同じトレーニング施設に通い続け、ストイックなまでの自己管理を実践しています。
- 毎朝のルーティン: 球場には午前7時半に入り、まずエアロバイクで体を温めることから一日が始まります。その後、約20分間の入浴と念入りなストレッチで体を最適な状態に整えます。
- 年齢に合わせたトレーニング: 若い頃と同じ練習を続けるのではなく、常に自分の体と対話し、トレーニング内容をアップデートしています。近年は体のキレを維持するためにハードルを使ったジャンプ系のトレーニングやアジリティ系のメニューを導入。オフ期は負荷の高いトレーニングも行いますが、年齢に合わせて負荷を調整しています。
- 食事と休養の徹底管理: 栄養バランスの取れた食事はもちろん、登板日に合わせた食事内容の調整、質の高い睡眠の確保など、休養と回復にも細心の注意を払っています。「食事をストレスにしない」という考えのもと、基本的にバランスの良い食事を摂り、胃腸も強いため厳密な食事制限はしていないそうですが、激しい運動の後でもしっかり食べられることを重視しています。
少年野球への応用:自分の体を知り、大切にすること
プロ選手のような専門的なトレーニングは難しくても、少年野球の段階から自分の体を大切にする意識を持つことは非常に重要です。
- 日々のケアを習慣に: お風呂上がりのストレッチなど、親子で一緒にできる簡単なケアから始めましょう。野球未経験のパパも、お子さんと一緒に体を動かすことで、コミュニケーションも深まります。
- 成長に合わせた練習を: 特に小学生のうちは、体の成長が著しい時期です。低学年のうちは野球の楽しさを知ることを優先し、高学年になるにつれて基礎技術や体力トレーニングの比重を高めるなど、発達段階に合わせたアプローチが大切です。オスグッド病などの成長痛が出やすい時期でもあるため、痛みがあるときは無理をさせないことが鉄則です。
- バランスの取れた食事と十分な睡眠: 丈夫な体を作るためには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。また、十分な睡眠は、体の回復だけでなく、集中力や学習能力にも影響します。親子で早寝早起きの習慣をつけましょう。
【共通点3】困難を乗り越えるメンタルの強さとしなやかさ
どんなトップアスリートでも、スランプや怪我など、困難に直面することはあります。長く活躍する選手は、そうした壁を乗り越えるための強いメンタルと、状況に合わせて柔軟に対応できるしなやかさを持っています。
栗山巧選手の「心技体」と「継続する力」
栗山選手は40歳を超え、「心技体」のバランスの重要性を語ります。特に精神面の強さを重視しており、「絶対に打つんだという気持ちを優先順位の一番に持ってくる」と自身に言い聞かせています。
- 野球ノートでのメンタル整理: 前述の野球ノートは、技術的な振り返りだけでなく、その時の感情や悩みを整理し、メンタルを安定させる役割も果たしています。
- 「35歳からの価値」という信念: 「35歳からどれだけできるかで、プロ野球選手としての真の価値が決まる」という信念を持ち、常に向上心を持って取り組んでいます。
- 後輩への模範となる姿勢: 「ライオンズで長くやることは、こんなに素晴らしいことだという希望のようなものを、僕の後ろ姿を見て、これからの選手たちに伝えたい」と語り、その姿勢でチームを牽引しています。
石川雅規投手の「諦めない心」と「高い目標設定」
石川投手は、「自分で自分の限界を決めてしまっては絶対にダメ」という強い信念を持っています。
- 常に上を目指す目標設定: 「200勝を目指していたら、185勝ぐらいで引退すると思うんです。200勝を目指すには、やっぱり、220から230勝する気持ちじゃないと」と、常に高い目標を設定し、それに向かって努力を続けています。
- 「現状維持ではダメ」という危機感: 「現状維持を目指しているうちは現状維持はできない」という信念を持ち、常に前進する姿勢を貫いています。
- ルーキーのような謙虚な気持ち: 41歳で日本シリーズ勝利を挙げた際も「年齢は関係ないと思っているので。マウンドに上がったらまだまだルーキーの気持ちで投げている」と語るように、常に謙虚な姿勢を保ち続けています。
少年野球への応用:心の強さを育むために
少年野球でも、試合に負けたり、エラーをしたり、上手くいかないことはたくさんあります。そんな時、親子でどのように乗り越えていくかが大切です。
- 目標設定でモチベーションアップ: 親子で一緒に、達成可能な小さな目標から立ててみましょう。「次の試合でヒットを1本打つ」「エラーを一つ減らす」など、具体的な目標が達成感に繋がり、次の挑戦への意欲を引き出します。野球ノートに目標を書き出すのも良いでしょう。
- 「継続は力なり」を伝える: 何事もすぐに結果が出るとは限りません。「3日坊主」という言葉があるように、続けることは難しいものです。しかし、栗山選手や石川投手のように、日々の小さな努力の積み重ねが大きな力になることを伝え、お子さんの頑張りを認め、励まし続けることが大切です。
- 失敗から学ぶ姿勢を: 失敗は成長のチャンスです。エラーや三振を恐れず、そこから何を学べるかを一緒に考える姿勢を持ちましょう。親が結果だけに一喜一憂せず、挑戦する過程を褒めることで、子供は失敗を恐れずにチャレンジできるようになります。
【共通点4】基本を疎かにしない技術の追求と進化
どれだけ経験を積んでも、基本を疎かにせず、常に技術を磨き続ける姿勢も、二人のベテランに共通する特徴です。
栗山巧選手の「基本への回帰」と「泥臭さ」
栗山選手は、常に基本に立ち返ることを重視しています。
- 原点回帰の打撃: 「泥臭く、何とかバットに当てて野手のいない所に打つというのが根本にあった。そこに立ち返りたい」と語るように、調子を崩した時ほど基本に立ち返ることを意識しています。
- 「板グラブ」での守備練習: 外野守備においても、「板グラブ」と呼ばれる捕球面が平らなグラブを使った特訓を行い、正しい捕球と送球の形を体に染み込ませています。これは怪我の防止にも繋がっています。「グラブを球に合わせるのではなく、体の中に球を合わせて捕る」という基本を徹底しています。
石川雅規投手の「学び続ける姿勢」と「投球術の進化」
石川投手は、40歳を超えても新しい技術を学び、投球術を進化させ続けています。
- 得意球のブラッシュアップ: 41歳の時にも、元監督の古田敦也氏からアドバイスを受け、得意のシンカーをさらに磨き上げました。
- クレバーな投球術: 最速130キロ台のストレートでも打者を打ち取れるのは、ボールに強いスピンをかけることでスピードガン以上の威力を生み出し、シンカー、スライダー、カットボールなど6種類以上の変化球を自在に操り、卓越したコントロールとクレバーな投球術で打者を翻弄するからです。
- 打者のタイミングを外す工夫: 足の上げ方や右足を降ろすタイミングを微妙に変えるなど、常に打者のタイミングを外すための工夫を凝らしています。
少年野球への応用:基礎練習の重要性と楽しむ工夫
少年野球では、どうしても試合での活躍や派手なプレーに目が行きがちですが、長く野球を楽しむためには、地道な基礎練習の積み重ねが不可欠です。
- 反復練習の大切さ: キャッチボール、素振り、ゴロ捕球など、基本的な動作を繰り返し練習することで、正しいフォームが身につき、怪我の予防にも繋がります。
- 「正しい形」を意識する: 野球未経験のパパでも、コーチから教わったポイントを意識して、お子さんの練習を見守ってあげましょう。「ボールをしっかり見てるね」「良い音で振れたね」など、具体的な声かけが子供のモチベーションを高めます。
- 楽しみながら技術を習得: 単調な反復練習だけでなく、的当てゲームを取り入れたり、親子で競争したりと、楽しみながら技術を習得できる工夫を取り入れると、子供も飽きずに続けられます。
【共通点5】次世代への想いと野球を通じた社会貢献
彼らは自身の活躍だけでなく、野球界の未来や社会への貢献にも目を向けています。受けた恩は倍以上にして返すという栗山選手の信条にも表れているように、彼らは野球を通じて得たものを次世代に還元することを使命と考えています。
栗山巧選手の社会貢献活動
- 「栗山巧杯少年野球大会」の主催: 自身が主催する少年野球大会を通じて、子供たちに野球の原点である「勝つ喜び、負ける悔しさ」を伝え、野球の楽しさを分かち合っています。
- ヒーローインタビューでのメッセージ: 「将来のプロ野球選手たち、しっかり練習して同じフィールドで野球やろう」と呼びかけ、子供たちに夢を与えています。
- 小児がん支援活動: 長年にわたり、小児がんと闘う子供たちへの支援活動も続けており、野球選手としての社会的責任も果たしています。
石川雅規投手の次世代へのメッセージ
- 「諦めない心」を伝える: 野球教室などで、自身の経験を通して子供たちに「野球って小っちゃいから、やっちゃいけないルールないよね?」と語りかけ、体の大小で可能性を諦めないことの重要性を説いています。
- ファンへの感謝: 常にファンへの感謝の気持ちを忘れず、真摯なファンサービスでも知られています。
- 父親としての目標: 二人の息子を持つ父親として、子供たちが物心つくまで現役でいることを目標に投げ続けてきたと語っています。
少年野球への応用:感謝の心と貢献する喜び
野球ができることへの感謝の気持ちや、チームや地域に貢献する喜びを感じることも、子供たちの人間的な成長に繋がります。
- 感謝の気持ちを言葉にする: コーチ、チームメイト、そして練習や試合をサポートしてくれる家族への感謝の気持ちを言葉にする習慣をつけましょう。
- チームのためにできること: 道具の準備や片付け、グラウンド整備など、チームのために自分ができることを見つけて積極的に行動することを促しましょう。
- 地域活動への参加: 地域の清掃活動やイベントの手伝いなど、親子で参加できるボランティア活動を通じて、社会貢献の喜びを体験するのも良い経験になります。
少年野球で「長く野球を楽しむ」ために親子でできること

栗山選手と石川投手の生き様は、少年野球の選手、保護者、そして指導者にとって、多くの重要な示唆を与えてくれます。彼らの姿から学び、目先の勝利だけでなく、子供たちが生涯にわたって野球を愛し続けられるような環境を整えることが、我々大人に課せられた役割と言えるでしょう。
具体的に、少年野球で「長く野球を楽しむ」ために親子でできることは何でしょうか。
- 「勝利至上主義」からの脱却と「楽しむ」原点
元プロ野球選手の桑田真澄氏は、自身が指導した少年野球チームで練習時間を3時間に制限し、野球だけでなく勉強や遊びも大切にするよう説きました。栗山選手も石川投手も、その原点には純粋に「野球が好き」という気持ちがあります。少年野球の段階で過度なプレッシャーや長時間の練習は、子供から野球の楽しさを奪い、「燃え尽き症候群」を招きかねません。まずは親子でキャッチボールを楽しむ、プロ野球を観戦するなど、野球を「楽しむ」経験を共有することが、長く続けるための最も重要な土台となります。 - 個性を尊重し、可能性を狭めない指導
福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手は、少年時代は体が小さく、典型的な1番打者タイプだったが、指導者が彼の「フルスイング」を矯正しなかったことが、後の大成に繋がったと言われています。石川投手が小柄な体格を武器に変えたように、子供の個性や特徴を否定せず、それをどう活かすかを考える視点が重要です。特に小学生のうちは、フォームを細かく指導するよりも、思い切りバットを振らせるなど、力強いプレーを奨励することが、将来の可能性を広げることに繋がります。大人が「勝つため」に子供の個性を矯正することは、その子の才能の芽を摘んでしまう危険性があります。 - 成長期に合わせたアプローチ:技術か、体作りか
成長期において、「技術の習得」と「体作り」のどちらを優先すべきかという議論があります。元福岡ソフトバンクホークス監督の工藤公康氏は「子どものころこそ、正しい技術を身に付けておくべき」と語る一方で、まずは体作りが重要という考え方もあります。正解は一つではありませんが、重要なのは子供の発達段階に合わせたアプローチです。低学年では野球の楽しさを知ることを優先し、高学年になるにつれて基礎技術や体力トレーニングを取り入れる。しかし、過度なトレーニングは成長期の体に負担をかけ、野球肘や野球肩などの怪我に繋がるリスクがあるため、絶対に無理はさせないことが鉄則です。 - 親の理想的なサポート体制
親が子供の野球に熱心になるあまり、過干渉になってしまうケースは少なくありません。しかし、グラウンドでの指示やコーチへの批判は、子供の自主性を奪い、チームの和を乱す原因となります。親の役割は、技術指導者になることではありません。- 見守る姿勢: グラウンドでは指導者に任せ、結果に一喜一憂せず、子供が一生懸命プレーする姿を温かく見守りましょう。
- 共感する力: 試合に負けて悔しがっている時は、まずその気持ちに寄り添い、共感します。すぐにアドバイスをするのではなく、子供の気持ちを受け止めることが先決です。
- 環境を整えるサポート: バランスの取れた食事や十分な睡眠、道具のケアなど、子供が安心して野球に取り組める環境を整えることが、親にできる最大のサポートです。
まとめ:レジェンドから学ぶ「継続する力」と「楽しむ心」
埼玉西武ライオンズの栗山巧選手と東京ヤクルトスワローズの石川雅規投手。40歳を超えてもなお第一線で活躍し続ける二人のレジェンドから、少年野球っ子が長く野球を楽しみ、成長するための多くのヒントが見えてきました。
二人に共通する「長く続ける秘訣」
共通点 | 栗山 巧選手 | 石川 雅規投手 |
野球への真摯な姿勢と探究心 | 「野球に嘘をつかない」が信条。常に理想の打撃を追求し、練習法を工夫。 | 「野球は人生の教科書」。野球への深い愛情と探究心。「聞き魔」として先輩から学び、常に技術をアップデート。 |
地道な努力の継続 | 試合後の打ち込みなど「苦練」を厭わない。 | 日々の体のケアやトレーニングを欠かさない。 |
心身の自己管理能力 | 専門トレーナーと二人三脚で肉体を管理。メンタルコントロールも重視。野球ノートで自己対話。 | 自分の感覚を頼りにトレーニングメニューを構築。食事・休養も徹底管理。常に高い目標設定。 |
基本を疎かにしない技術追求 | 基本に忠実な練習を重視。「泥臭く、何とかバットに当てる」原点回帰。板グラブでの守備練習。 | 得意球シンカーを常にブラッシュアップ。クレバーな投球術と打者のタイミングを外す工夫。 |
次世代への想いと社会貢献 | 少年野球大会の主催。小児がん支援活動。ヒーローインタビューでの子供たちへのメッセージ。 | 野球教室などで子供たちに「諦めない心」を伝える。ファンへの感謝を忘れない。 |
彼らの姿は、才能だけでは長く活躍できないこと、そして日々の地道な努力、自分自身と向き合う力、そして何よりも「野球が好き」という純粋な気持ちが、困難を乗り越え、成長し続けるための原動力になることを教えてくれます。
少年野球に取り組むお子さんを持つパパママへ。
今日からできることは、まずお子さんと一緒に野球を楽しむことです。キャッチボールをする、試合を観に行く、プロ野球選手のすごいプレーについて語り合う。そんな小さな積み重ねが、お子さんの「野球が好き」という気持ちを育み、長く野球と付き合っていくための大切な土台となるでしょう。
そして、栗山選手や石川投手のように、目標に向かって努力することの尊さ、自分の体を大切にすることの重要性、そして感謝の気持ちを持つことの大切さを、親子で一緒に学んでいってください。
野球未経験のパパも、この記事で紹介したヒントを参考に、お子さんの「一番の応援団」として、その成長を温かく見守り、サポートしていきましょう!